■桃山晴衣=著
■杉浦康平=造本
■四六判/フランス装 388頁
■定価=本体4,500円+税
■2016年6月27日発売
「梁塵秘抄」を現代に甦らせ、日本の音を求め創造した稀有な音楽家・桃山晴衣の遺稿集。永六輔、五木寛之が瞠目し、ピーター・ブルック、デレク・ベイリー、ピナ・バウシュと交流を重ねた音楽遍歴の記録を、「随想」と「対話篇」で一冊に凝縮。
気品漂うフランス装、流麗なレイアウト、パール箔をあしらった本表紙……など、校正に校正を重ね、最高の仕上がりを目指した杉浦康平のこだわり抜いた造本も魅力。
●●●担当編集者より●●●
桃山さんのパートナーの土取利行さんから桃山晴衣遺稿集の出版の打診があったのは、もう5年以上も前のこと。生前の桃山さんとは、何度かお話しする機会もあり、渋谷のジァン・ジァンでのわらべ唄コンサートや下北沢でのバンドMOMOとしてのステージなども体験させていただいていた。
桃山さんの音楽には、ほかの日本のミュージシャンにはない「格別な力」を感じた。今回の本『にんげんいっぱい うたいっぱい』では、なかなか一筋縄では表現しにくい桃山晴衣の力の背景にあるものが鮮明になったと思う。それは本来の日本の「うた」が持っていた力でもある。できることなら、この本を読んでから、もういちど桃山さんのステージを体験したかったと切に思う。
本づくりは、桃山さんが大ファンだった杉浦康平さんに託すことができた。また工作舎初のクラウドファンディングを試み、予想以上の多くの方々からの支援を受けた。いまのところ桃山晴衣の名を知る人は、それほど多くはないかもしれないが、今後もおそらく土取利行さんが主宰する立光学舎レーベルからは、多くの未発表音源が発売されるはずだ。本書とともに、新しい桃山ファンが増えることを期待したい。
(米澤)