■齊木崇人=監修
■杉浦康平=企画・構成
■A5判 308頁 オールカラー
■定価=本体3,200円+税
■2016年7月21日発売
靈獣を冠した舟は、水上を滑り、地を曳き、空を舞う……。巨大な鳥を飾るミャンマーの舟山車や信濃のオフネ、バリ島やタイの葬儀山車など、絢爛豪華な山車をテーマに、多様な意匠にやどる物語をひも解く。図版満載、オールカラー。
●●●担当編集者より●●●
靈獣の力をかりて、迎え・送る
出来上がった本を手に「アイスクリームのような表紙だね」と、杉浦先生の声がひときわ清々しい。
ページを開けば、山並み、海波、ミャンマーの黄金の舟と膨らむ人波。タイの祭りはナーガに継ぐナーガにガルーダが絡みつく。わが里山を練り歩く舟山車のそれぞれの意匠に揺られ、中国伝来の龍頭鷁首(りゅうとうげきす)の雅な王朝絵巻の渦中へ。第2部はバリ島とタイ。いずれも葬儀山車というのに、いっこうに静まる気配はない。クライマックスは動物神とともに炎に包まれる棺、その火力で宙を舞う赤い僧衣サンカーティにめまいし、遠方からのどよめきが聴こえて来るような……。だから、いったん表紙に戻って、熱気を冷ましてからじっくり読んでいただくのがよいかもしれない。
「伝統を再発見し、発展させる力を育もう」と願う杉浦康平率いるKDUアジアンデザイン研究所のシンポジウム開催から足掛け3年、私たちが参加させていただいたブラッシュアップの半年間は、先行するスタッフに追いつくのに無我夢中。春の予定が真夏の出版となりました。
(田辺)