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2016年10月21日号 
 

10月の新刊

ライプニッツ著作集 第II期 

第2巻 法学・神学・歴史学

---共通善を求めて

■G・W・ライプニッツ=著
■酒井 潔+佐々木能章=監修
■酒井 潔+長綱啓典+町田 一+川添美央子+津崎良典+佐々木能章+清水洋貴+福島清紀+枝村祥平+今野諒子=訳
■A5判/上製 452頁
■定価=本体8,000円+税
■2016年10月7日刊行

政治的、宗教的混迷の度を深めた17、8世紀ヨーロッパにおいて、宮廷顧問官として活躍しながら、広範かつ深遠な思想を究めた哲人・ライプニッツ。正義や宗教的平和についての省察、歴史学の方法論など、「事実の真理(偶然的真理)」をめぐる多彩な探究プロセスが、300年の時空を超えて全編初訳。

●●●担当編集者より●●●

『ライプニッツ著作集』第II期全3巻の第2弾、『法学・神学・歴史学』をようやく上梓することができました。
没後300年にあたる今年はドイツでも年初からさまざまな行事が開催されており、なかでも7月にハノーファーで開催された最大のイベント、第10回ライプニッツ国際会議では日本ライプニッツ協会主催のセクションも設けられ、ドイツラジオ文化の取材も受けたとのことです(詳細は「ライプニッツ通信」長綱啓典、今野諒子両氏による報告参照)。
大会テーマが、そのまま第2巻のテーマと重なるので、上梓した本を国際会議に集った世界のライプニッツ研究者に披露したいと願っていたのですが、本邦初訳の論考はいずれも一筋縄ではゆかず、なんとかライプニッツの命日の11月14日には間に合ったしだいとなりました。
第1巻『哲学書簡』同様、第2巻も各部ごとに年代順に並べているので、20代はじめ(1667年)から死の前年(1715年)まで、ライプニッツの思想の成熟過程と首尾一貫ぶりを併せて味わうことができます。
第1部「法学」には、正義論や恒久平和論、ユートピア論、教育論など、EUはじめ国際情勢の混迷に直面する私たちにとっても示唆にとむ論考を収載。
第2部「神学」は、ヨーロッパにおける国家論の要ともなる考察を編集。マインツ選帝侯の政治的使命をおびてパリにゆき、最先端の数学にふれて驚嘆したはずの時期に書かれた『哲学者の告白』では、カルチャーショックを受けながらも宗教的問いを問わずにいられなかったライプニッツの底しれぬ活力を思い知らされます。
第3部「歴史学」では、史実をみきわめようとした地道なライプニッツの姿が明かされます。
どの論考をとってもライプニッツの面目躍如。拾い読みするだけでも自ずとエネルギーが満ちてくる心地がします。
(十川治江)

 

11月 刊行予定

分節幻想

---動物のボディプランの起源をめぐる科学思想史

■倉谷 滋=著
■A5判/上製 864頁
■定価=本体9,000円+税
■2016年11月下旬刊行予定

ヒトが属する脊椎動物は、頭の分節性を特徴としており、多くの生物学者が200年以上にわたり解明に挑んできた。しかし、頭部分節という考え自体が、「幻想」として生み出されたものであった。90年代に誕生した「進化発生学」の観点から、分節をめぐる学者たちの探求をたどり、動物形態の起源と進化、自然への眼差しの変遷に迫る。脊椎動物とは、われわれとは何ものか? 「アタマの起源」を探る、刺激的な一書。

 

 

『無限の天才 新装版』 関連情報

いよいよ映画『奇蹟がくれた数式』公開!

---映画公開記念のブックフェア、続々展開中

いよいよ、『無限の天才』を原作にした映画『奇蹟がくれた数式』が明日22日(土)から、公開となります。まずは角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、角川シネマ新宿をはじめ、大阪・テアトル梅田、MOVIX京都、名古屋・センチュリーシネマ、福岡・KBCシネマなどで。その後に順次、全国主要都市の劇場にて公開されます。詳しくは上映館リストへ。
書店では映画公開を記念したブック・フェアが、10月に入ってから続々と展開されています。開催されているのは、神保町・書泉グランデ4F数学書売り場、紀伊國屋書店新宿本店4F、ジュンク堂書店池袋本店7F、ジュンク堂書店ロフト名古屋店、ジュンク堂書店福岡店、戸田書店静岡本店2Fの理工書売り場など。映画公開記念として、さまざまな切り口で選書されています。お近くの書店まで足を運んでみてはいかがでしょうか。詳しくはこちら

 

 

 

 

出店告知

神保町ブックフェスティバル、今年も出店!

---特価で限定販売

今年もこの季節がやってきました。今月末の10月29日(土)、30日(日)は、年に一度の本のお祭り、神保町ブックフェスティバル。出版社によるワゴンセール「本の得々市」では、さまざまなジャンルの本がお得な値段でずらりと並びます。工作舎も例年通りの出店。売れ筋からコアな本まで、ぎっしり詰まったワゴンを携え、神保町すずらん通り・東京メトロ7番出口近くの荒魂書店前あたりでお待ちしております。※写真は昨年の様子

 

kousakusha TOPICS

◆ダンサー・田中泯さんのエッセイ集『僕はずっと裸だった』が、読売新聞「本よみうり堂」にて高山なおみさんが紹介してくださいました。「この本を読んでいると、ここにある、ただひとつの自分の確かなからだ、その大もとに戻ってゆくような感じになります。…意識がはずれたま新しいからだに、泯さんの言葉がしみ込んでゆく」と。詳しくはこちら

◆8月刊行の『となりの生物多様性』、パブリシティが続いています。「日経サイエンス」2016年10月号の「新刊Guide」コーナーでの紹介に、10月9日付南信州新聞での書評、自民党女性局の機関誌「りぶる」2016年10月号での紹介。評判の高さがうかがえます。

◆今年生誕120周年を迎えた宮沢賢治。岩手県花巻市にある宮沢賢治イーハトーブ館では、10月20日(木)より「イーハトーブの石」展が開催中です。監修したのは『賢治と鉱物』の著者・加藤碵一さんと青木正博さん他。本企画展は来年3月末まで続いています。詳しくはこちら

『TRA』『ムーン・トラックス』の著者・タイガー立石さん。10月28日(金)~広島市現代美術館でタイガーさんの作品と横山裕一さんの作品展覧会が開催されます。会期は1月22日まで。詳しくはこちら

◆10月26日(水)から開催される「TOKYO DESIGN WEEK 2016」に合わせ、国立新美術館のミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」で、本の装丁にフォーカスしたブックフェアが開催されます。本の中央に7mmの孔のあいたオブジェ・ブック『人間人形時代』もディスプレイされる予定です。

◆1981年刊行以来ロングセラーの『インプロヴィゼーション 新装版』。好評のため品薄状態が続いていましたが、第7刷が完成しました。

「ライプニッツ通信」第16回が更新されました。今回も、ライプニッツ研究会員のおひとり、今野諒子さんによる国際ライプニッツ会議の報告です。ご自身の本会議との関わり、会議を総括する閉会のスピーチ、次回の展望についても。詳しくはこちら

 

編集後記

今月末に開催される神保町ブックフェスティバル。今年も工作舎ワゴンでは、弊社スタッフが交替制で売り子になる予定です。手に取った本の担当編集者/デザイナーが、レジに立っているかもしれません。ワゴンのなかを見わたして気になった書籍があれば、ぜひお気軽にお声がけください。(葛生)

「本を読むだけなら、図書館でことが足りるかもしれない。しかし、本を探して入手することには、本を読むこと以上の苦労と楽しみとがある。それはたぶん、世界とコミュニケーションすることなのだ。」

―――荒俣宏『本読みまぼろし堂目録』第1部「心朽ちる道楽に寄せて」より