■プリーモ・レーヴィ
■四六判/上製 368頁
■定価=本体2,500円+税
■2017年10月20日刊行
アウシュヴィッツ体験を持つユダヤ系イタリア人作家プリーモ・レーヴィの自伝的短編集。アルゴン、水素、亜鉛、鉄……化学者として歩んできた日々を、周期表の元素とからめて語る。科学と文学を高純度に融け合わせた逸品。
●●●担当編集者より●●●
もう30年近く前のこと。今はなき銀座の洋書店イエナで、本書の英訳版ペーパーバックを手にした。表紙には、分子モデルらしきイメージ写真があしらわれていて、タイトルといい、まさしく科学の入門書のよう。しかし、目を引いたのはタイトル下に掲げられたイタロ・カルヴィーノの推薦文だ。「われらの時代におけるもっとも才能ある作家の驚くほど魅惑的な本」。当時の工作舎では、「プラネタリークラシクス」という風変わりな文学シリーズを出していて、まさにぴったりの本だと即購入。プリーモ・レーヴィの名など知る由もなく、その後すぐに渋谷古書センターの店頭均一でハヤカワ・ノヴェルズ版の『休戦』を入手し、そして最後に渋谷・旭屋書店の棚にあった『アウシュヴィッツは終わらない』にたどり着いた。彼の背景を知った上で本書を読んだときの衝撃!──インターネットがまだ普及していない時代の「出会い」の思い出をつい綴ってしまいましたが、今回の美しい新装版が新しい読者とどのような「出会い」をするのか、とても楽しみです。(石原剛一郎)