■岡原功祐
■四六判変型/フランス装 372頁(写真88頁)
■定価 本体2800円+税
■2018年3月30日刊行
5人の女性たちの自傷行為をめぐるフォト・ドキュメンタリー。「居場所」を求めながら、自らを傷つけずにはいられなかった彼女たちの細やかな心性に、気鋭の写真家・岡原功祐が光をあてる。
●●●担当編集者より●●●
2016年刊『ハンセン病 日本と世界』で知り合った写真家・岡原功祐さん。あるとき彼から、自傷する女性5人を密着取材した、写真と文章ドキュメントの感想を求められた。強烈なテーマに初めはたじろいだが、きづけば写真から目が離せず、緊迫感のある原稿を先を急いで読んでいた。
その後彼はコロンビアの麻薬戦争、原発事故後の福島を撮影するかたわら、「Ibasyo」と題した写真を5冊の手製本にまとめた。世界中の人から人へ渡していく“貸本プロジェクト”を実行したところ、戻った手製本には多くのメッセージが記されていた。今年で取材開始から14年、ようやく写真と文章の両方を出版する運びとなった。
心の動きや傷は外側から見えないものであり、むしろ隠すべきとさえ捉える向きもある。実家の自室、一人暮らしのアパート、恋人が留守の部屋……。誰もいない場所で彼女たちは、自らの体にひっそりと痕跡をのこす。秘匿されがちなこの主題に、写真家は向き合い、外界へとつなげようとした。自身も迷いや悩みを抱えながら綴ったドキュメンタリーが、たくさんの人のもとへ届けられれば幸いである。
(葛生知栄)
※3月23日に荻窪・6次元で開催された刊行記念イベントについては下の[イベント報告]へ。