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2017年1月30日号 
 

1月の新刊

江戸博物文庫 鳥の巻 ---天地に舞う

江戸博物文庫 花草の巻 ---四季を彩る

■工作舎=編
■B6判変型/上製 192頁
■予価=本体1,600円+税
■2017年1月30日 2冊同時刊行

鳥は羽ばたき、草花は色づく。種類豊富な自然物をテーマに、江戸の博物図譜より選りすぐったビジュアルブック。においやかな花鳥の図版それぞれ180点ほどをオールカラーで収載。俗名の由来や四季との縁などを紹介するテキストとともに、華やかでいてどこか儚げな日本的美がたち現れる。『鳥の巻』『花草の巻』2冊同時刊行!

●●●担当編集者より●●●

博物図像とのおつき合いは、荒俣宏さんとの出会いとともに本格的にはじまった。『大博物学時代』の編集を担当したのが、ちょうど荒俣さんが本格的に博物図鑑の収集を始めた頃のこと。当時はまだ西欧のものが中心で、日本でつくられた多くの図譜については、ほとんど何も知らなかったと言っていいだろう。
その後、日本、とりわけ江戸期の博物図譜の、西欧モノとはまた異なる魅力にじわじわと取り憑かれていった。荒俣宏さんによる著作をはじめ、江戸モノを紹介する本も少なからず刊行された。
今度の「江戸博物文庫」では、とくに日本人の自然への眼差しと好奇心に焦点を当てて形にしてみた。江戸人たちの「わくわく」「どきどき」が、少しでも伝われば幸いである。
(米澤)

 

2月 刊行予定

ゴジラ幻論

---日本産怪獣類の一般と個別の博物誌

■倉谷 滋
■四六判/上製 298頁
■定価=本体2,000円+税
■2017年2月中旬刊行予定

2016年、東京に上陸し、丸の内で活動を停止した巨大不明生物、通称「ゴジラ」。従来の生物学の知見では単純に説明することのできない生態や機能、起源と発生プロセスの謎に、進化発生学の最新知見をもって挑む。「シン・ゴジラ」に登場する女性科学者のレポートや、1954年初代「ゴジラ」の山根恭平博士の孫による講演記録など、科学的知識と虚構が入り交じる一書。

パブ情報

書店で江戸の美に触れる

---ABC六本木店でフェア、BK1新宿店でパネル展

『江戸博物文庫 鳥の巻』『江戸博物文庫 花草の巻』の刊行を記念して、青山ブックセンター六本木店では1月23日よりブックフェア「花鳥の美に遊ぶ」がスタート。工作舎編集長・米澤敬が江戸博物関連図書100冊を選書しています。関連図書100冊は「神か妖怪か」「絵師たちの花鳥」「博物学と日本」などの9つのテーマに分けられており、とくに思い入れのある書籍にはコメントが付されています。それらを収載した小冊子も無料配布中です。詳しくはこちら
また1月30日ごろからは、ブックファースト新宿店美術書売り場にてパネル展が開催されます。鮮やかな色合いの鳥や草花の繊細な表現を、ぜひ間近でご覧ください。

 

杉浦康平さんインタビュー記事掲載

---眩惑的なアジアのデザインを語る

11月24日付の読売新聞文化面にて、グラフィックデザイナー・杉浦康平さんのインタビューが大きく掲載されました。7月に工作舎から刊行された著書『靈獣が運ぶ アジアの山車―この世とあの世を結ぶもの』にも言及し、「アジアの山車には、日本の山車を超える豊かな着想がある。そのことを今回の本で体験してほしい」と語りました。
さらに12月29日にはThe Japan Newsに英文に翻訳されて転載。『靈獣が運ぶ アジアの山車―この世とあの世を結ぶもの』に収録されてあるミャンマーのカラウェー船の写真が大きく掲載されました。詳しくはこちら


 

kousakusha TOPICS

◆1月6日付「週刊読書人」にて、『ライプニッツ著作集 第II期 第2巻 法学・神学・歴史学』の書評が掲載されました。評者は青山学院大学教授の茂 牧人氏。「ライプニッツは、普遍性を求める理性に信頼をおき、調和を求める明澄さを追求していたことが、この著作集からも浮き彫りになってくる」と。詳しくはこちら

◆ヘンリー・デイヴィッド・ソロー生誕200年の今年。NHKカルチャーラジオ 文学の世界で、「はじめてのソロー」が放送中です(ラジオ第2放送 毎木曜日午後8:30~)。工作舎で翻訳が刊行された『コッド岬』も第10回放送で取り上げられる予定。ただいま品切中ですが、3月に増刷を予定しています。詳しくはこちら

◆今年生誕120周年を迎える宮沢賢治。2月12日~13日で、宮沢賢治イーハトーブ館の「イーハトーブの石」展や、石と賢治のミュージアム他をめぐる「宮沢賢治生誕120年記念ジオツアー」が、1泊2日で開催されます。ツアーのハイライトは『賢治と鉱物』著者の青木正博さんによる特別講演会です。詳しくはこちら

◆昨夏刊行『となりの生物多様性』のパブが続いています。12月には日本蜘蛛学会学会誌「Acta Arachnologica」Vol. 65(2016) No. 2に書評が掲載され、今月は日本自然保護協会会報「自然保護」2017年1・2月号で紹介していただきました。また1月5日付生産性新聞に著者・宮下直先生の執筆記事が、1月9日付読売新聞環境欄では著者インタビューが掲載されました。詳しくはこちら

◆理化学研究所 脳科学総合研究センター(BSI)設立20周年を記念してオープンしたウェブサイト「BSI LIBRARY ―本でめぐる脳の世界―」。所属研究者の著書が紹介されていますが、工作舎からは『脳科学と芸術』『育つ・学ぶ・癒す 脳図鑑21』が紹介されています。詳しくはこちら

◆「ライプニッツ通信II」の第19回が更新されました。日本ライプニッツ協会の秋大会前日に逝去された福島清紀先生について。『ライプニッツ著作集』第4・5巻、『ライプニッツ著作集 第II期』第2巻で翻訳とコラムの執筆をご担当いただいておりました。詳しくはこちら

 

編集後記

来月刊行予定の『ゴジラ幻論』。近刊情報を解禁したところ、さっそく反響をいただいており、読者のみなさまの関心の高さに目を丸くしています。
著者・倉谷滋さんの近著は『分節幻想』(2016年11月工作舎刊)。「幻」に魅せられた進化発生学者が現実と虚構のあわいを行き交いながら、縦横無尽に怪獣を、そして怪獣映画をひもといていきます。どうぞお楽しみに。(葛生)

「学者はおろか、西洋人の多くが、実物のサイやキリンをみたことがないにもかかわらず、噂や伝承をもとに、想像力をたくましうしながら解説せねばならなかったとしたら、現実の奇獣と伝説上の幻獣との間に、はたしていかほどの差があったであろう。」

―――倉谷 滋『分節幻想』「浪漫の行方---あとがきに代えて」より