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2017年2月21日号 
 

2月の新刊

ゴジラ幻論

---日本産怪獣類の一般と個別の博物誌

■倉谷 滋=著
■四六判/上製 298頁
■定価=本体2,000円+税
■2017年2月18日刊行

2016年、東京に上陸し、丸の内で活動を停止した巨大不明生物、通称「ゴジラ」。従来の生物学の知見では単純に説明することのできない生態や機能、起源と発生プロセスの謎に、生物学の最新知見をもって挑む。「シン・ゴジラ」に登場する女性科学者のレポートや、1954年初代「ゴジラ」の山根恭平博士の孫による講演記録など、科学的知識と虚構が入り交じる一書。

●●●担当編集者より●●●

昨年11月に刊行した分厚い『分節幻想』の編集作業が佳境に入った頃である。理研のニュースレターで、著者の倉谷氏が、子どもの頃に怪獣ファンであることを知った。当方も同様であり、「シン・ゴジラ」に感心していたこともあって、倉谷氏に聞いてみた。「ゴジラ見ましたか?」すると返ってきた答えが「まだ5回しか見てません」だった。当然、「ゴジラの本、書いてみませんか」ということになる。
すでに「ユリイカ」誌に依頼された原稿(『ゴジラ幻論』の冒頭講演のプロトタイプ)ができていたこともあって、2か月もたたないうちに、原稿が届けられた。で、あっという間に本になった次第である。3月にはDVDも出るとのこと。映像と合わせて読んで、楽しんでいただければ幸いである。
(米澤)

 

3月 増刷予定

コッド岬

---海辺の生活

■ヘンリー・デイヴィッド・ソロー=著
■飯田 実=訳
■四六判/上製 404頁
■定価=本体2,500円+税
■初刷1993年11月刊行/第3刷2017年3月刊行予定

1849年、友人の詩人とともにマサチューセッツ州コッド岬を訪れた詩人博物学者・ソロー。海に見られる自然の厳しさと、そこで暮らす人びとのたくましさを活写する。ユーモラスで軽快な文体の旅行記は、『ウォールデン 森の生活』とならぶ代表作。長らく品切だった本書が、ソロー生誕200年を記念して待望の復刊! 人為より自然のままを愛するナチュラリストの価値観が溢れ出る。

フェア・パブ情報

 

『ゴジラ幻論』中村桂子氏書評

---毎日新聞「今週の本棚」掲載

今月18日に発売となった『ゴジラ幻論』。早くも2月19日(日)付毎日新聞にて、JT生命誌研究館館長の中村桂子氏による書評が掲載されました。「著者の専門は進化発生学だが、物質の機能だけから生命現象を語ることが多い中で形態学の歴史を踏まえた比較形態学を進めている。妄想と科学が微妙に重なり合う「亜博物学」、ゴジラ幻論は著者にしか語れない」と。詳しくはこちら
おかげさまで19日には、Amazon売れ筋ランキングで「生物学」のトップに躍り出ました。

 

『江戸博物文庫』2書店でパネル展

---繊細な江戸の博物図譜をぜひ間近で

先月発売になった『江戸博物文庫 鳥の巻』『江戸博物文庫 花草の巻』の刊行を記念して、パネル展が開かれています。ブックファースト新宿店Bゾーン美術書売り場のパネル展は1月30日からはじまり、2月24日ごろまでの開催。オリジナルしおり付で本書を販売していますので、お早めにお買い求めください。詳しくはこちら
ジュンク堂書店池袋本店の9F芸術書売り場では、2月12日からはじまりました。鮮やかな色合いの鳥や草花の繊細な表現を、ぜひ間近でご覧ください。詳しくはこちら
なお、青山ブックセンター六本木店でのブックフェアも開催中です。詳しくはこちら


kousakusha TOPICS

◆毎年、読み巧者たちの前年に読んだ5冊を紹介する月刊「みすず」1・2月合併号の特集「読書アンケート」。このなかで生態学者の川那部浩哉さんが『ヘッケルと進化の夢』を選書してくださいました。「一般にかなり良く渉猟されており、その後の研究者の仕事にも、配慮がなされている」と。詳しくはこちら

『生命のニューサイエンス』『世界を変える七つの実験』『あなたの帰りがわかる犬』の著者ルパート・シェルドレイク。テクノロジーを考える季刊誌「WIRED」2017年春号の特集「サイエンスのゆくえ」のなかで、異端の科学者シェルドレイクのインタビュー記事が掲載されています。「「日常に潜む不思議」に迫ってきた博士の姿から、いま、わたしたちが学ぶべきこととは何か?」と。詳しくはこちら

『感覚する服 Sensing Garment』の著者でありファッションデザイナーの松居エリさんが、2月23日(木)23:30~放送予定のBSジャパン「お金のなる気分」に出演されます。番組ウェブサイトには「宇宙用ウエディングドレス?科学や数学を取り入れた異色のデザイナー、唯一無二の創り方とは!」との紹介が。詳しくはこちら

◆昨年12月に改訂版を刊行した『タオは笑っている』。著者で論理数学者のレイモンド・スマリヤン氏が2月6日に逝去されました。ご冥福をお祈り申し上げます。詳しくはこちら

◆江戸川橋ちかくにオープンした「CATALOG&BOOKs」。1968年に創刊された伝説の雑誌『ホール・アース・カタログ』の編集部が運営していたお店をモデルにした書店です。ここでは「工作舎コーナー」が設けられており、「遊」のバックナンバーや『カオスの自然学』『タオ自然学』などのニューサイエンス本が置かれています。ディスプレイ用のケースの中には非売品の『遊』創刊号と『全宇宙誌』も。詳しくはこちら

◆今月25日に発売予定の『NHKスペシャル 新・映像の世紀 大全』(NHK出版)。このなかに掲載されている映像史の年表作成にあたって『映像体験ミュージアム<増補版>』が参照引用されたとのことで、工作舎も協力者としてクレジットしていただきました。

◆「ライプニッツ通信II」の第20回が更新されました。ライプニッツとオルダス・ハクスリーとを論じる「永遠の哲学の息吹」。詳しくはこちら

 

編集後記

刊行直後の『ゴジラ幻論』ですが、すでに大きな反響をいただいています。生物学と虚構が入り交じる第1章と第2章は、とくにTwitterでもさっそく話題に。「妄想から科学へ」の帯文のとおり、大ヒット怪獣映画を読み解いていくうちに、知らぬ間に進化論や形態学の奥地へと引き込まれていきます。(葛生)

「そしてより重要なことは、「幻をみずしては、科学もまた前へは決して進まない」ということなのである。形態学研究の初期にあって、原型論が進化論の不在を埋めていたように……。」

―――倉谷 滋『分節幻想』「浪漫の行方――あとがきに代えて」より