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2018年3月7日号 
 

2月の新刊

三つの脳の進化 新装版
反射脳・情動脳・理性脳と「人間らしさ」の起源

■ポール・D・マクリーン
■法橋 登=編訳・解説
■四六判/上製 316頁
■定価 本体3400円+税
■2018年2月28日刊行

人間の脳は長い生物進化の歴史を内臓し、爬虫類脳、哺乳類脳、人間脳の相互作用で働くとするポール・マクリーンの「三位一体脳モデル」。各界を震撼させた理論の全貌が、新装版で甦る。


●●●担当編集者より●●●

P・マクリーンの名前とその三位一体仮説については、ずいぶん昔から気になっていた。ジェインズのバイキャメラル・マインド説やプリブラムのホログラフィ論とともに、脳の不思議に分け入るためのまたとない地図でもあった。ケストラーやセイガンによる紹介によって、三位一体脳は、戦争や差別から個人による犯罪まで、人類悲劇の解決しがたい根拠とされた。「悪の起源」であるかのような言説も流布していた。訳者の法橋から本書の存在を知らされるまで、当のマクリーンによる三位一体仮説の一般向解説書があることを知らなかった。もちろんすぐに翻訳出版は実現することになる(初版1994年)。しかし実は、マクリーン自身は脳の悲劇性を訴えているわけではなかった。むしろ読了後には、ウマの脳や情動脳とも呼ばれる大脳辺縁系は、人間の行動や思考に豊かなニュアンスを与えるものだという印象が残る。個人的には、それは編集脳でさえあると考えるようになった。一筋縄ではとらえがたい人間の性(さが)を考えるためにも、新装版として蘇った本書を、近刊、福島清紀『寛容とは何か』と併読することをお勧めしたい。(米澤敬)

 

近刊情報

Ibasyo 自傷する少女たち“存在の証明”

■岡原功祐
■四六判変型/フランス装 370頁(写真88頁)
■定価 本体2800円+税
■2018年3月30日刊行予定

5人の女性たちの自傷行為をめぐるフォト・ドキュメンタリー。「居場所」を求めながら、自らを傷つけずにはいられなかった彼女たちの細やかな心性に、気鋭の写真家・岡原功祐が光をあてる。

※刊行記念イベント開催。詳細は下記へ。

イベント告知



2018年3月24日(土)荻窪・6次元
 『Ibasyo』刊行記念イベント

---【写真家にとっての居場所】

◆『Ibasyo』の刊行に先立って著者・岡原功祐さんのトークイベント「写真家にとっての居場所」を、荻窪・6次元で開催します。岡原さんは「人の居場所」を主なテーマに撮影を続け、これまでに『Contact #1』『消逝的世界』『Almost Paradise』『 Fukushima Fragments』などを出版しているドキュメンタリー写真家。

◆6次元のナカムラクニオさんの司会で、場所や国籍にとらわれず活躍する岡原さんに『Ibasyo』の取材秘話から、写真家としての居場所の見つけかたを、また、装丁を手がけた工作舎アートディレクター宮城安総も交えて、制作秘話を語り尽くします。

◆会場では『Ibasyo』を先行発売いたします。岡原さんのサインもOK。残席僅かですので、お早めにご予約ください。

【写真家にとっての居場所】
出演:岡原功祐(写真家)、宮城安総(工作舎アートディレクター)
聞き手:ナカムラクニオ(6次元)

日時:2018年3月24日(土)18:00〜20:00(17:30開場)
料金:1500円
会場:6次元 (https://www.6jigen.com)
詳細は6次元NEWSをご覧ください。
予約・お問い合せはメールで、 rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp 6次元・中村さんまで。

kousakusha TOPICS

◆森須磨子著『しめかざり——新年の願いを結ぶかたち』が1月3日 朝日新聞「天声人語」にて紹介され大反響! その他、「コンフォルト」2018年2月号で巻頭記事、朝日新聞の多摩地域タウン紙、asacoco(アサココ)2月15日発行号での紹介、神社新報では書評が掲載されました。1月上旬には品切となり、第3刷が2月半ばに出来ました。今なお注文は続きます。もはや「お正月」商品の枠を超え、日本の伝統文化として、より多くの関心を集めているようです。

◆恒例の月刊「みすず」2017年読書アンケートに小説家・編集者の松家仁之氏が倉谷滋著『分節幻想』をあげてくださいました。「たいへんな労作であり、著者の今後の研究、著作活動から目が離せない。」

◆宮澤賢治が盛岡高等農林学校を卒業して100年を迎えます。その記念イベントが3月24日(土)14時から岩手大学農学部附属農業教育資料館(旧盛岡高等農林学校本館)で開催されます。それに先立つ12時からは同会場にて宮沢賢治学会イーハトーブセンター春季セミナーが開催され、『賢治と鉱物』の加藤碵一氏が講演します。詳しくはこちら。

◆八王子夢美術館では「ムットーニワールド からくりシアターIV」が3月27日まで開催中。作品集『ムットーニ・カフェ』も販売していただいています。

『古書の森 逍遙』の著者、黒岩比佐子さんの旧蔵書の表紙をインスタグラムにアップするプロジェクトがスタートしました。詳しくはこちらへ。

◆web連載「ライプニッツ通信II」第32回 錬金術と化学の汽水域第33回 私をみがく道具立てとしての省察を更新。ともに『ライプニッツ著作集』第II期第3巻に収録される論考について。第32回が「医学」のハイライト「シュタール医学論への反論」(松田毅訳)、第33回はライプニッツのモットーの原点『省察の使用について』(津崎良典訳)をめぐるエッセイです。第3巻は5月刊行予定。

◆web連載「ルネサンス・バロックのブックガイド」は、第7回 ヨハネス・ケプラー 『宇宙の神秘』『新天文学』『宇宙の調和』を占星術家・鏡リュウジさんが、第8回 カウフマン『綺想の帝国』を科学史研究者の住田朋久さんが紹介。ともに渋谷・Bunkamura ザ・ミュージアム「ルドルフ2世の驚異の世界展」の関連として。第9回 イエイツ『薔薇十字の覚醒』は宗教哲学の若手研究者・熊谷友里さんの紹介です。

1月に新刊がなかったため、2018年最初のメールニュースとなりました。3月なのに1月の天声人語のニュースもお伝えすることに。(岩下)