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2018年8月20日号 
 

8月の新刊

親鸞への接近

■四方田犬彦
■四六上製 528頁
■定価 本体3000円+税
■2018年8月27日刊行

親鸞論が絶筆となった三木清、伝記映画を監督制作した三國連太郎、親鸞の晩年について集中的に論じた吉本隆明…。『歎異抄』『教行信証』を独自の視点で読み解くとともに、3人の知識人を通して親鸞思想の現代的意味を問う、渾身の書下し!

●●●担当編集者より●●●

四方田さんは2018年に入ってから、本書も含めて、すでに6冊もの著書/編著書/翻訳書を出されている。しかも年内には、さらに3冊の著作が準備中というから、まさに「月刊四方田」状態だ。さぞかし筆が早くて、あっという間に一冊を書き上げてしまう方だと、思われるだろう。たしかに執筆スピードは遅いほうではない。ある新書などは、ひと夏で書き上げてしまったとお聞きしたこともある。しかし、この『親鸞への接近』は、当初の企画から5年ほどかかっている。最初は「戦中派の思想家たち」というテーマで、準備が進められていた。そのときの成果が、本書の第3部にあたる三木清、三國連太郎、吉本隆明らの章に活かされている。親鸞にシフトを切ってから、集中的に原典と向き合い、思索を深めていかれたのは、3年前のニューヨーク滞在中。当時、『歎異抄』の一節と、パティ・スミスの「グローリア」の一節を並べて、これは比較文化論の主題になるかもとおっしゃっていたが、残念ながら執筆はされなかった。こうして完成した本書は、全集等の編著を除いて、四方田さんの156冊目の著作となる。「新大陸への渡航の最初の結実」との思いが込められた、渾身の書下ろし、ぜひ手にお取り下さい。(編集部・石原剛一郎)

※8/24 刊行記念イベント開催。下の[イベント告知]をお読みください。

 

近刊情報

ライプニッツ著作集 第I期 新装版
[8]前期哲学

■G・W・ライプニッツ
■A5判上製 448頁+手稿8頁
■定価 本体9000円+税
■2018年9月刊行予定

天才の時代の最も天才的な天才と呼ばれたライプニッツ。その普遍的精神の全容をまとめた『ライプニッツ著作集 第I期(全10巻)』を9月より新装復刊! 第1回配本は品切だった第8巻前期哲学。『形而上学叙説』、『アルノーとの往復書簡』など1702年までの小品を収載した名著が甦る。

イベント告知

8/24 東京堂書店にて
四方田犬彦さんトーク&サイン会

『親鸞への接近』刊行を記念して、2018年8月24日(金)19時から神保町・東京堂書店にて、四方田犬彦さんトーク&サイン会を開催します。題して「人はなぜ生涯のある時点で親鸞と出逢うのか」。

西洋の思想哲学に影響を受けた知識人たちが、なぜ生涯の後半に親鸞へと赴き、彼についての著作を残すのか。四方田さん自身も、長い間、親鸞を封印してきましたが、あることをきっかけに、目前に親鸞が立ち現われてくるのを感じます。なぜ今、親鸞に向き合うことになったのか、さらには親鸞周辺のテキストの魅力についても語っていただきます。
なお、参加者にもれなく特製リーフレット「四方田犬彦全著作目録」を配布。詳しくはこちらへ。

『親鸞への接近』は8月27日の発売になりますが、東京堂書店では24日から先行発売します。

◆8月17日からは同店3Fでブックフェア「四方田犬彦を読み尽くせ!!」がはじまりました。入手可能な著作が一堂に会します。ロシア語、韓国語、中国語に翻訳された四方田本の数々も特別展示。

kousakusha TOPICS

◆8月2日 日本経済新聞に『アイスペインティング』の原田雅嗣氏記事。アイスペインティング作品もカラーで紹介。原田氏のアート作品集は本書のみのため、大きな反響があります。こちらへ。

◆丸善ラゾーナ川崎店で開催中の「海外文学僅少本フェア」。大好評のためフィニ『夢先案内猫』、ダヴィデンコ『快傑デカルト』を追加。8月末まで開催。

◆「みんなのレオ・レオーニ展」が8月11日スタートの兵庫県・伊丹市立美術館を皮切りに、新潟県立万代島美術館、ひろしま美術館、東京・損保ジャパン日本東亜美術館、鹿児島・長島美術館、沖縄県立博物館・美術館の全国6会場を巡回(朝日新聞社主催)。ショップでは『平行植物』も販売。

◆江戸の博物画を集めた小さなビジュアルブック『江戸博物文庫』シリーズ。そのなかでもダントツ人気の『花草の巻』を増刷します。9月7日にできます。

◆6月20日 宗教新聞に『双頭の鷲』書評。「教育者たる北條を浮かび上がらせようと、彼の師や弟子たち、周辺にいた人々のことも物語っていく。まるで、金沢の「偉人館」を巡るような感覚を覚える」

◆web連載「ライプニッツ通信II」第38回 逝きし恩人たちを更新。1980年代初頭に『ライプニッツ著作集』の企画を下村寅太郎先生にご相談して以来、多くの方々のご支援・ご協力を仰いできました。他界された方々のことをエピソードとともに綴ります。

◆web連載「ルネサンス・バロックのブックガイド」第16回 菊地原洋平『パラケルススと魔術的ルネサンス』。気鋭の宗教史研究者・村瀬天出夫さんによる紹介です。「日本におけるパラケルスス研究のスタンダードとなる力作」

【編集後記】ついに四方田犬彦さんの新刊『親鸞への接近』が発売になります。ルドンの絵「神秘の帆船」をトレーシングペーパーのカバーで包んだ装丁。親鸞にルドン…不思議と似合うのです。神々しいせいでしょうか。画面ではデザインの質感が伝わりづらいので、ぜひお手にとってご覧ください。
◎最初に入手できるのは8月24日の神保町の東京堂書店。夜には四方田さんのトークイベントを開催。四方田さんはフェイスブックでトークについて記されています。「著者にとってはこれはとても重要なことなのです。4年も5年も、誰も知らないところで、誰にも知られないままに本を書いてきて、はじめてどんな顔の人たちがどんなふうにその本を手に取り、読んでくれているかを知ることのできる、唯一の機会だからです」。四方田さんの話に耳を傾け、サインもいただいてくださいね。 時間があったら3Fのフェアへもどうぞ。東京堂書店は21時閉店です。
◎9月下旬にはライプニッツ関係のイベントも予定しています。近々発表できると思いますので、こちらもよろしくお願いします。(岩下)