■四方田犬彦
■四六上製 528頁
■定価 本体3000円+税
■2018年8月27日刊行
親鸞論が絶筆となった三木清、伝記映画を監督制作した三國連太郎、親鸞の晩年について集中的に論じた吉本隆明…。『歎異抄』『教行信証』を独自の視点で読み解くとともに、3人の知識人を通して親鸞思想の現代的意味を問う、渾身の書下し!
●●●担当編集者より●●●
四方田さんは2018年に入ってから、本書も含めて、すでに6冊もの著書/編著書/翻訳書を出されている。しかも年内には、さらに3冊の著作が準備中というから、まさに「月刊四方田」状態だ。さぞかし筆が早くて、あっという間に一冊を書き上げてしまう方だと、思われるだろう。たしかに執筆スピードは遅いほうではない。ある新書などは、ひと夏で書き上げてしまったとお聞きしたこともある。しかし、この『親鸞への接近』は、当初の企画から5年ほどかかっている。最初は「戦中派の思想家たち」というテーマで、準備が進められていた。そのときの成果が、本書の第3部にあたる三木清、三國連太郎、吉本隆明らの章に活かされている。親鸞にシフトを切ってから、集中的に原典と向き合い、思索を深めていかれたのは、3年前のニューヨーク滞在中。当時、『歎異抄』の一節と、パティ・スミスの「グローリア」の一節を並べて、これは比較文化論の主題になるかもとおっしゃっていたが、残念ながら執筆はされなかった。こうして完成した本書は、全集等の編著を除いて、四方田さんの156冊目の著作となる。「新大陸への渡航の最初の結実」との思いが込められた、渾身の書下ろし、ぜひ手にお取り下さい。(編集部・石原剛一郎)
※8/24 刊行記念イベント開催。下の[イベント告知]をお読みください。