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2019年4月18日号
 

3月の新刊


ライプニッツ著作集 第I期 新装版
[6]宗教哲学[弁神論…上]
[7]宗教哲学[弁神論…下]

■G・W・ライプニッツ
■下村寅太郎+山本 信+中村幸四郎+原 亨吉=監修
■佐々木能章=訳
■[6]A5判上製 352頁+手稿8頁 定価 本体8200円+税
■[7]A5判上製 336頁+手稿8頁 定価 本体8200円+税
■2019年3月25日刊行(2冊同時発売)

政治的にも宗教的にも混迷をきわめた17・18世紀のヨーロッパにあって、「この世になぜ悪は存在するのか」を問い続けたライプニッツ。ライプニッツの聡明な弟子にして庇護者でもあったプロイセン王妃ゾフィー・シャルロッテ追想の書としてライプニッツが生前に刊行した唯一の哲学書。
[6]序文、緒論、本論「神の正義、人間の自由、悪の起源について」第2部まで、[7]第3部、附論3編、ラテン語文「神の大義」。

●●●担当編集者より●●●

第I期『ライプニッツ著作集』新装復刊は、順調に隔月のリズムをきざみ、第4弾として『弁神論』(上巻初版 1990)を上梓することができました。ライプニッツの予定調和説を批判したピエール・ベールへの反論の書であり、その反論を共に吟味したライプニッツの聡明な弟子にして有力な庇護者、プロイセン王妃ゾフィー・シャルロッテ追想の一著です。
第II期第1巻 『哲学書簡』に収録した「ベールとの往復書簡」(1687 − 1702)により、第I期刊行時には実感することができなかった編集者にしてラディカルな思想家ベールの生きざまが想起できるようになりました。
間をあけながらも15年間にわたって交信を重ねたベールに対して、『弁神論』序文で「弁舌も洞察力もともに優れ、博識を余すところなく発揮」し、「事物の根本に関わること以外では私より優れている」とライプニッツが評したのも、社交辞令ではなかったと得心できます。
「悪はなぜ存在するのか?」「正義とは?」「自由とは?」……筒井康隆が「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長編」と宣言した『モナドの領域』(2015 新潮社)でもテーマにした人類普遍の難題、この機会にぜひ新たな吟味を加えてください。(十川治江)

 

近刊情報

哺乳類の卵
発生学の父、フォン・ベーアの生涯

■石川裕二
■四六判上製 176頁 定価 本体2000円+税
■2019年5月中旬刊行予定

進化論もiPS細胞も、ここから始まった。生殖医療では人間の卵子を日常的に取り扱う。ここに至るまでには発生学の長い歴史があった。近代発生学の父であり、再生医療や進化発生学の原点を創出したフォン・ベーアについて平易に解説した、本邦初の評伝。

 

ライプニッツ著作集 第I期 新装版
[3]数学・自然学

■G・W・ライプニッツ
■下村寅太郎+山本 信+中村幸四郎+原 亨吉=監修
■原 亨吉+横山雅彦+三浦伸夫+馬場 郁+倉田 隆+西 敬尚+長島秀男=訳
■A5判上製 624頁+手稿8頁 定価 本体17000円+税
■2019年5月下旬刊行予定

微積分学を創始し、二進法や位置解析の道をひらき、デカルトの力学を超える動力学を創出した数学・自然学分野の主要論考を編む。『すべての数を1と0によって表わす驚くべき表記法…』『微分算の歴史と起源』『自然法則に関するデカルト…たちの顕著な誤謬についての簡潔な証明』ほか収録。

kousakusha TOPICS

◆4月13日〜5月12日、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2019にて、岡原功祐さんがフューチャーアーティストの一人に選ばれ、堀川御池ギャラリーで「Ibasyo─自傷/存在の証明」展開催中。インフォメーションのあるNTT西日本 三条コラボレーションプラザにはブックショップも設けられ、岡原さん著書『Ibasyo』も販売中。

◆東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTギャラリーにて開催中の「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」。4月17日より「Vendhing Machine」がスタートし、工作舎も本を提供いたしました。500円で思いがけない本が入手できます。ぜひお試しください。

◆4月20日よりひろしま美術館で「みんなのレオ・レオーニ展」開催(〜6月2日)。ミュージアムショップでは『平行植物』を販売していただきます。また、東京・銀座ではレオ・レオニ カフェが期間限定でオープン(〜7月31日)。ガトーショコラの「平行植物ショコラ」もあります。

『ルネサンス・バロックのブックガイド』3月10日の読売新聞紹介に続き、4月20日付図書新聞に黒川宗之進氏に「最良・最適のブックガイド」と書評していただきました。こちらへ。

『普通のデザイン』。2016年惜しまれつつ世を去った日本を代表するインテリアデザイナー内田繁さんのロングセラーの講演録。今回で5刷になりました。

◆ストレス学説の創設者ハンス・セリエの『生命とストレス—超分子生物学のための事例』が静かに売れ続け、増刷することになりました。4月26日にできます。

【編集後記】4月は新刊がなかったのですが、2本の増刷ができました。さらに5月には品切にしていた『生命潮流』もカバーをつくって復活させます。1981年刊行の本書はライアル・ワトソンの代表作であり、「百匹目のサル」の言葉とともに大ヒット。38刷を数え、工作舎の顔とも言える本でした。
これを書いているときに『生命潮流』の翻訳者の一人、木幡和枝さんが4月15日に亡くなったとの知らせを受けました。『遊』時代からさまざまな形でお世話になりました。とりわけ、2014年の『デレク・ベイリー』は木幡さんのご尽力なくしては刊行できませんでした。本書に収録の2本のベイリーへのインタビューと訳者あとがきは圧巻です。謹んでご冥福をお祈りいたします。 (岩下)