ライプニッツ著作集 第I期 新装版
[6]宗教哲学[弁神論…上]
[7]宗教哲学[弁神論…下]
■G・W・ライプニッツ
■下村寅太郎+山本 信+中村幸四郎+原 亨吉=監修
■佐々木能章=訳
■[6]A5判上製 352頁+手稿8頁 定価 本体8200円+税
■[7]A5判上製 336頁+手稿8頁 定価 本体8200円+税
■2019年3月25日刊行(2冊同時発売)
政治的にも宗教的にも混迷をきわめた17・18世紀のヨーロッパにあって、「この世になぜ悪は存在するのか」を問い続けたライプニッツ。ライプニッツの聡明な弟子にして庇護者でもあったプロイセン王妃ゾフィー・シャルロッテ追想の書としてライプニッツが生前に刊行した唯一の哲学書。
[6]序文、緒論、本論「神の正義、人間の自由、悪の起源について」第2部まで、[7]第3部、附論3編、ラテン語文「神の大義」。
●●●担当編集者より●●●
第I期『ライプニッツ著作集』新装復刊は、順調に隔月のリズムをきざみ、第4弾として『弁神論』(上巻初版 1990)を上梓することができました。ライプニッツの予定調和説を批判したピエール・ベールへの反論の書であり、その反論を共に吟味したライプニッツの聡明な弟子にして有力な庇護者、プロイセン王妃ゾフィー・シャルロッテ追想の一著です。
第II期第1巻 『哲学書簡』に収録した「ベールとの往復書簡」(1687 − 1702)により、第I期刊行時には実感することができなかった編集者にしてラディカルな思想家ベールの生きざまが想起できるようになりました。
間をあけながらも15年間にわたって交信を重ねたベールに対して、『弁神論』序文で「弁舌も洞察力もともに優れ、博識を余すところなく発揮」し、「事物の根本に関わること以外では私より優れている」とライプニッツが評したのも、社交辞令ではなかったと得心できます。
「悪はなぜ存在するのか?」「正義とは?」「自由とは?」……筒井康隆が「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長編」と宣言した『モナドの領域』(2015 新潮社)でもテーマにした人類普遍の難題、この機会にぜひ新たな吟味を加えてください。(十川治江)