■石川裕二
■四六判上製 176頁 定価 本体2000円+税
■2019年5月21日刊行
進化論もiPS細胞も、ここから始まった。生殖医療では人間の卵子を日常的に取り扱う。ここに至るまでには発生学の長い歴史があった。近代発生学の父であり、再生医療や進化発生学の原点を創出したフォン・ベーアについて平易に解説した、本邦初の評伝。
●●●担当編集者より●●●
ダーウインやメンデルほどには一般には知られてはいませんが、フォン・ベーア(1792-1876)は、「進化」をテーマとする本には、必ずといっていいほど登場するキーパーソンです。故国エストニアでは、紙幣デザインにその肖像が採用されるほどの科学的英雄でもあります。ダーウィンをはじめとして、古生物学のスティーヴン・ジェイ・グールドから人智学のルドルフ・シュタイナーまで、分野を越えてベーアの思想に影響を受けた人は多く、「哺乳類の卵子の発見」をはじめとする胚発生の研究は、iPS細胞等の最新の再生医療の礎にもなっています。『哺乳類の卵』は、そんなベーアの実像を、一人でも多くの人に知って欲しいという著者、石川裕二氏の想いが結実した一冊です。19世紀のヨーロッパの時代状況を背景に、発生学の創始者であるとともに、動物学者、人類学者、地理学者、探検家、そして類い稀な博物学者だったとも評価される、ベーアの多彩でユニークな活躍が生き生きと描き出されます。(米澤 敬)