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2019年7月10日号
 

7月上旬の新刊

社会実装の手引き
研究開発成果を社会に届ける仕掛け

■JST-RISTEX[研究開発成果実装支援プログラム]=編
■四六判並製 248頁 定価 本体1200円+税
■2019年7月9日刊行

こども、高齢者・弱者支援、環境問題など生活に深く関わる問題を解決していくためには研究開発だけでなく、それを普及させる「社会実装」が大切。48の実例とともに「社会実装」を知る1冊。

写真はこちら

●●●担当編集者より●●●

「社会実装」という言葉は一般にはなじみがないものかもしれません。大学や研究機関で研究開発された技術をメーカーなどに移管することを社会実装と呼ぶ例もありますが、本書では社会問題を解決するために行ってきた研究開発の成果を実際に社会の中で実践し普及させることをそう呼んでいます。本書では様々な社会問題の解決に取り組んだ48の実例とともに、社会実装を進めていくためのノウハウを詳しく紹介しています。研究者のおもいだけでなく、利害関係者をうまく巻き込み、継続した活動のための組織づくり、ゴールをどこに設定するのかなど、社会実装を成功させるためには多角的な視点が必要です。ぜひ各自治体の担当者、福祉関係者、NPO、学生の皆さんにお読みいただいて、実際の活動に活かしてほしいと思います。(堤靖彦)

 

近刊情報

ライプニッツ著作集 第I期 新装版
[2]数学論・数学

■G・W・ライプニッツ
■下村寅太郎+山本 信+中村幸四郎+原 亨吉=監修
■原 亨吉+佐々木 力+三浦伸夫+馬場 郁+斎藤 憲+安藤正人+倉田 隆=訳・解説
■A5判上製 400頁+手稿8頁 定価 本体12000円+税
■2019年7月25日刊行予定

『普遍数学』の思想的背景から微積分の創始、ホイヘンスやニュートンとの交渉まで、時代の最先端を切り拓いた数学精神のダイナミズムを編む。『数学の形而上学的基礎』『無限算へのアプローチ』『極大・極小ならびに接線を求める新しい方法』『ニュートンへの手紙』

kousakusha TOPICS

◆全国巡回中の「みんなのレオ・レオーニ展」が、7月13日より東京で開催されます(9月29日まで)。会場は損保ジャパン日本興亜美術館。スイミーの原画をはじめ、「平行植物」の絵画作品も。ミュージアムショップで『平行植物』を販売していただきます。なお銀座の「レオ・レオニ カフェ」も好評のため9月29日まで会期延長。

◆9月、哲学者ウィトゲンシュタインの若き日を描いた戯曲本『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』を刊行します。『論理哲学論考』誕生前夜の第一次世界大戦が舞台。著者は劇作家・演出家の谷賢一さんです。現在、谷賢一さんは原発を誘致した町の50年を描く『福島三部作』を制作中。8月8日〜28日東京芸術劇場で公演予定。8月31日〜9月2日大阪公演も。くわしくはこちらへ。

◆現代美術における世界的な雑誌『ARTFORUM』に木幡和枝さんの追悼記事が掲載されました。筆者のAlana HeissさんはニューヨークのMOMA PS1のディレクターで、1970年代から木幡さんとさまざまな企画を推進し、2007年には「1980-2005 岡田正人写真展:田中泯 海やまのあひだ」も開催しました。ニューヨークや東京のエピソード、田中泯さんやスーザン・ソンタグさんとの関係などを取り上げています。

◆6月29日付図書新聞に、清水高志氏によるミシェル・セール追悼記事が掲載されました。2019年6月1日に亡くなられたセールの処女作は『ライプニッツとその数学的システム』。ライプニッツにも言及されています。清水氏は『ライプニッツ著作集 第II期 [1]哲学書簡』所載の「マルブランシュとの往復書簡(1676-1712)」を翻訳者。

◆web連載「アルス・ロンガ」スタート。美術史家のペーター・シュプリンガーさんと前川久美子さんの執筆で、芸術家の人生は短いが、作品は長く残るという意味もある格言「アルス・ロンガ、ヴィタ・ブレヴィス」から、美術家と作品の関係を多角的に考察します。第1回は「作品の中に消える美術家」。中国の伝説、作品と一体化をめざしたポロックなど。

【編集後記】新刊『社会実装の手引き』は社会問題を扱った本です。といっても、諸問題の解決法を普及させるためのノウハウ書で、具体的には津波防災啓発活動、バス運転手への睡眠時無呼吸症診断、虐待する父親の更正などの実例が紹介されています。
ややこしいのは、課題自体が社会系でも、実装責任者の大半が理工・医学系の研究者であること。そのため書店では、社会 > 行政、理工書 > 科学研究など、さまざまな棚に置かれ、書店員さんの試行錯誤がうかがえます。そう思うと、ジャンルありきで本を売らざるを得ないリアル書店の大変さを痛感しました。(岩下)