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2019年8月26日号
 

7月の新刊

ライプニッツ著作集 第I期 新装版
[2]数学論・数学

■G・W・ライプニッツ
■下村寅太郎+山本 信+中村幸四郎+原 亨吉=監修
■原 亨吉+佐々木 力+三浦伸夫+馬場 郁+斎藤 憲+安藤正人+倉田 隆=訳・解説
■A5判上製 400頁+手稿8頁 定価 本体12000円+税
■2019年7月25日刊行

『普遍数学』の思想的背景から微積分の創始、ホイヘンスやニュートンとの交渉まで、時代の最先端を切り拓いた数学精神のダイナミズムを編む。『数学の形而上学的基礎』『無限算へのアプローチ』『極大・極小ならびに接線を求める新しい方法』『ニュートンへの手紙』。

●●●担当編集者より●●●

第I期『ライプニッツ著作集』新装復刊第6弾は、ライプニッツの数学精神の粋を集成した2『数学論・数学』。 「数学論」には、正しく判断し発見するための普遍学の確立に生涯をささげたライプニッツの思想的エッセンスを示す3論考を収載。 「数学」には、パリに出て、いきなり当時の最先端の数学的テーマと格闘することとなったライプニッツの緊迫感あふれる発見プロセスを集成。数学の新しい方法を求めてホイヘンスやニュートンと手紙を通して学問的交流を重ねることのできた幸福な日々のドキュメントです。(十川治江)

 

8月の新刊

[NSRI選書]
近未来モビリティとまちづくり

■安藤 章
■B6変型 248頁+カラー口絵8頁 定価 本体1400円+税
■2019年8月26日刊行

電気自動車や自動運転などCASE大変革を迎えつつある。モビリティとは移動であり生きることとの視点から、幸福な都市のための交通システムの可能性を探る。

●●●担当編集者より●●●

お盆休みの東京の電車はすいていて、路線図を握る3歳未満と思われる男の子の夢中も、余裕で包み込んでくれる。背丈に見合った位置を得ると、彼はただただ行き交う電車の挙動に釘づけである。そういえば、大通りを見渡せる歩道に立ちつくし、目の前の自動車の車種名を次々と言い当てる幼な子もいた。
著者の安藤さんも、そんな子どもだったのではないだろうか。やがて都市・交通計画に携わるようになり、現在も東奔西走の日々にある。というと、夢へ向かって一直線に来たように思われるが、じつは学生の頃から「幸福とは何か」を問い続けてきのだという。時と場合によっては「幸福論」発言が訝しがられることもあるが、本書をまとめるに当たっては、それが厚みとなったと思う。社会学や医学や心理学分野へのジャンル横超の取組みが功を奏し、建築・都市業界の専門家とその周辺の各種プロバイダーとの出会いの場に立ち会う機会も増えた。
異業種間の融合を図るべき時代の到来をいち早くとらえ、そのためのプラットフォームを立ち上げることが自らの役目なのではないかと、安藤さんはこの本の結びに記している。(田辺澄江)

 

近刊情報

従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔の上で辿り着いた最後の一行「──およそ語り得るものについては明晰に語られ得る/しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならない」という言葉により何を殺し何を生きようと祈ったのか? という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語

略称:従軍中のウィトゲンシュタイン

■谷 賢一
■四六判 184頁 定価 本体1400円+税
■2019年9月上旬刊行予定

気鋭の劇作家・演出家、谷賢一による、哲学者ウィトゲンシュタインの若き日を描いた戯曲。『論理哲学論考』を読んだ方、挫折した方におすすめの物語。

*8月、谷賢一さんは東京芸術劇場で話題の最新作『福島3部作』を公演中。『3部作』を一挙上演する8月23日〜28日は、見本ができたばかりの『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』を先行発売します。8月31日〜9月2日には大阪公演も。くわしくはこちらへ。

 

ライプニッツ著作集 第I期 新装版
[9]後期哲学

■G・W・ライプニッツ
■下村寅太郎+山本 信+中村幸四郎+原 亨吉=監修
■西谷裕作+米山 優+佐々木能章=訳
■A5判上製 456頁+手稿8頁 定価 本体9500円+税
■2019年9月下旬刊行予定

ライプニッツ哲学のエッセンス「モナドロジー」をはじめ、ニュートンの代弁者クラークとの最晩年の論争まで、自然学と不可分の思想を編成。「理性に基づく自然と恩寵の原理」ほか。

kousakusha TOPICS

◆ジュンク堂書店池袋本店にて工作舎僅少本フェア開催中。4F人文書カウンター横で、ふだん新刊書店ではみかけない掘り出し本70点余がお待ちしています。すでに売れてしまった本もありますので、お早めにお出かけください。10月末まで。

◆野矢茂樹氏新刊『そっとページをめくる』(岩波書店刊)で、岡原功祐著『Ibasyo』を紹介してくださいました。「この本が確かに私たちに差し出すものがある。それは、彼女たちの人生の重みだろう」。

ウラゲツ☆ブログ『ライプニッツ著作集 第I期新装版 第2巻』をご紹介いただきました。第2巻に所載された「オルデンバーグへの手紙」をフォーカスして、「17世紀科学・情報革命の総合演出者」と。

「あきたブックネット」にて、インテリアショップ&カフェ momotose代表、沓澤優子さんがメーテルリンクの『花の知恵』を紹介。「足元に咲くどんな小さな花も、反骨精神や粘り強さ、創意工夫の結果であり、同時に私たちの手本であることに気づかせてくれる良書」。

◆web連載「アルス・ロンガ」第2回「作品によるオマージュ」では、彫刻家カノーヴァと画家ティツィアーノを記念する壮麗なモニュメントを、第3回「肖像から作品へ」ではミケランジェロ広場のモニュメントを中心に考察します。

【編集後記】9月の新刊『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』はお読みいただいたように、164文字のとても長いタイトルです。最近長いタイトルが話題とはいえ、おそらく出版界で最も長いタイトルに数え上げられるのでは。もともと2013年に上演(2015年再演)し話題になった同名タイトルの演劇作品なので、あえてそのままのタイトルで出版します。表紙はもちろん、背表紙にもこの長いタイトルが入っています。デザイナーの苦労をみてやってください。9月上旬に書店に並びます。どうぞお楽しみに。(岩下)