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2019年12月20日号
 

11月下旬の新刊

ライプニッツ著作集 第I期 新装版
[1]論理学

■G・W・ライプニッツ
■下村寅太郎+山本 信+中村幸四郎+原 亨吉=監修
■澤口昭聿=訳
■A5判上製 416頁+手稿8頁 定価 本体10000円+税
■2019年11月27日刊行

『ライプニッツ著作集』第I期新装版、ついに完結! ライプニッツ生涯の企画書といわれる「結合法論」、「普遍的記号法の原理」「概念と真理の解析についての一般的研究」など、普遍学構想の基盤となる記号論理学の形成過程を追う。


●●●担当編集者より●●●
第I期『ライプニッツ著作集』新装復刊の掉尾を飾るのは、第1巻『論理学』。これで第I期全10巻と第II期全3巻、計13巻が勢揃して、「千年にひとりの天才」(坂部恵)と評されたバロックの巨人の全容が改めて甦りました。
 ライプニッツが20歳の時にまとめた生涯の企画書「結合法論」ではじまり、「普遍的記号法の原理」「概念と真理の解析についての一般的研究」「理性の数学」など、誤謬に惑わされることなく正しく推論し、計算するように思考して、新しい知見や洞察をひらき、その成果を人類共有の財産とすることを夢見たライプニッツの基礎体力を養った試行の足跡をつぶさにたどることができます。(十川治江)

 

熨斗袋
選ぶ 書く 伝わる

■川邊りえこ
■A5判上製 77頁 定価 本体1800円+税
■2019年11月28日刊行

筆で書くと、想いが届く。人間関係を大切にする心を表す熨斗袋。書道家の著者が、筆書きの作法、水引の結びの意味、熨斗袋にまつわる歴史や慣習などを紹介する。


●●●担当編集者より●●●
編集者として、校正、つまり原稿やゲラに修正や指示を書き入れるときには、極力、読みやすい文字になるよう心掛けてはいる。ただし、自分の文字に自信を持ったことは、ただの一度もない。だいたい小学校の書道の授業は、算盤のそれとともに、大嫌いな時間だった。
 そうは言っても、筆、あるいは筆ペンで文字を書かなくてはならない場面はある。熨斗(のし)袋と芳名帳である。前者は文字のきれいな知人に頼むという手もあるが、芳名帳はそうはいかない。結果として、つたない筆文字で恥をさらすことになる。これではますます筆文字が嫌いになってしまう。しかし、もっと気楽に構えてもいいのかもしれない。肩の力、というか余計な自意識を抜いて、自分が書ける文字を書けばいいだけの話である。決まり事の基本さえ押さえておけば、熨斗袋だって無闇に怖れることはない。来年の年賀状は、あえて筆ペンでしたためることにしてみようか。川邊さんの『熨斗袋』は、そんな気分にさせてくれる一冊である。(米澤 敬)

 

復刊情報

ヴァンパイアと屍体
死と埋葬のフォークロア

■ポール・バーバー
■野村美紀子=訳
■四六判上製 456頁 定価 本体3200円+税

映画・小説でおなじみのヴァンパイアの正体は? 東欧、北ドイツ、ロシアに伝わる吸血鬼伝説を詳細に分析し、現代法医学の知見から「腐敗現象を起こした死体」と喝破する画期的書。長らく品切れでしたがカバーを増刷して復活!

 

フェア情報

12/31〜ジュンク堂書店池袋本店にて、
『地球外生物学』刊行記念 倉谷滋選書フェア開催

●話題の新刊『地球外生物学』の刊行記念フェアをジュンク堂書店池袋本店 7F理工書コーナーにて、2019年12月31日から2020年2月28日まで開催いたします。著者の倉谷滋さんが影響を受けた本、専門分野の研究書はもちろん、SF・幻想怪奇作品まで幅広く紹介。

●倉谷さんによるコメントPOPも展開し、ブックリストを無料配布します。
"生物進化をテーマにしたハードSFだが、まるで19世紀以来の比較動物学にも似た、クラシックな博物学的味わいが素晴らしい。「動物形態学はこうでなくっちゃ」と思わず言いたくなる、他に例を見ない良作。"(ジェイムズ・P・ホーガン著、『星を継ぐもの』のコメントより)生物学者の視点からのコメントが新鮮です。ぜひ書店へ!

 

kousakusha TOPICS

◆12月15日夜、NHK「ラジオ深夜便」にて、書評家の永江朗さんに四方田犬彦『女王の肖像』をご紹介いただき、大反響! また同日12月15日付 東京新聞/中日新聞朝刊の書評欄にて短評掲載、12月17日付 東京新聞/中日新聞夕刊のコラム〈大波小波〉でも紹介。詳細ページへ。

◆11月30日付 日本経済新聞朝刊にて『地球外生物学』短評掲載。 「「竹取物語」を筆頭に、かつての「宇宙人」のイメージは、人間そのものだった。近代以降、火星人はタコのような存在としてたびたび描写された。…」詳しくはこちらへ。

『近未来モビリティとまちづくり』の著者、安藤章さんインタビューが、日経BP「未来コトハジメ」に掲載。「MaaS社会や自動運転社会が本格的に訪れれば、モビリティーのあり方は大きく変わります。当然、道路・駐車場や車寄せなどの交通インフラ・施設を通して自動車交通とも密接に関わる都市・建築のあり方も変わっていくはずです。…」詳しくはこちら。

『熨斗袋』婦人画報 2020年1月号にて紹介。「お金を紙に包んで渡すのは日本固有の雅な文化。祝意、弔意、それぞれの場合でしきたりが異なり、独特の気持ちの込め方がある」。こちらへ。また、12月27日夕刊フジにて掲載予定。

◆12月20日付 週刊読書人「2019年回顧」科学技術に、横山輝雄氏が『哺乳類の卵』を挙げてくださいました。「200年ほど前にはじめて哺乳類の卵を発見し、現在の再生医療などの出発点をつくった科学者の生涯を描く。」また同紙、演劇に高橋宏幸氏が『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』を取り上げてくださいました。「オーソドックスなドラマだが、世間の注目を得ようとする企画力がある。」

◆「なごみ」 2019年12月号にて、『茶室とインテリア』紹介。Pebbles Books の久禮亮太さんによる選書。「茶室の身体性、侘びと寂びの感受性、数寄の精神性といった茶道の叡智。その成り立ちを読み解き、現代的意味を掴みだし、私たちの暮らしと住まいの新しい形を予感させる」。

『賢治と鉱物』の青木正博氏、NHK「ブラタモリ」に出演。「花巻〜花巻はなぜ宮沢賢治を生んだ?〜」1月7日11:50〜再放送。

【編集後記】
●東京堂書店神田神保町店に行くと、ショーウィンドウに週間ベスト本が並んでいますが、訪れるたびにチェックしていると、傾向としてフェミニズム関連本が必ず上位にあります。工作舎でも、科学史関連や他、女性・ジェンダーを扱った書籍を何冊か出しております。
●かくいうわたしもフェミニズムに関心があり、本を読んだり映画を観たりしていますが、今年観た映画の中でよかったものは、新作ではないですが加藤泰監督の『骨までしゃぶる』です。女郎であるお絹が、遊郭から脱出し、女性としていかに生きるかという大傑作人間ドラマなのです。お絹は遊郭から脱出し連れ戻されそうになった時に、公娼制度廃止のビラを隠れて何度も読んでいたため、ビラで覚えた法を盾に抗議しますが、このシーンは胸がすっとします。搾取する者から、自らの人生を勝ち取る、痛快な映画でした。
●今年最後のメールニュースになります。年末年始は12月28日から1月5日までお休みをいただきます。営業は1月6日からです。年末年始は読書をする方もいらっしゃるかと思います。わたしも積読本を読んで過ごそうかと…。みなさま、本年もありがとうございました。よいお年をお過ごしください!(門谷 風花)