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2020年3月9日号
 

2月の新刊

アルス・ロンガ
美術家たちの記憶の戦略

■ペーター・シュプリンガー+前川久美子
■A5判上製 360頁 定価 本体4500円+税
■2020年2月27日刊行

ミケランジェロのダヴィデ像、ゴッホの向日葵のように、美術家が作品と一体化し、作品の中で永遠に生き続けているかのように見える例を紹介し、美術家と作品の関係を多角的に考察する。図版300点余収録。


●●●担当編集者より●●●
死を意識したときに何を残したいと思いますか? 芸術家であれば、渾身の力を込めて最後の作品にとりくむでしょう。そうした作品は観る者の心を揺さぶり、作者があたかも生きているように感じても不思議ではありません。
タイトルは格言「アルス・ロンガ、ヴィタ・ブレヴィス」より。ここでは「芸術家の人生は短いが、作品は長く残る」の意味で用い、格言どおりに数多の美術家が死と向き合って制作した作品、自分の集大成をどう残したのか、さらには自ら作品と融合(!)を試みた例を次々と紹介します。
ゴッホの《向日葵》、ロダンの《考える人》、アングルの《トルコ風呂》、ミケランジェロの《ピエタ》、ベックリーンの《死の島》、カノーヴァやプッサンを記念したモニュメント、ジャコメッティのアトリエ、ピカソの椅子、ラファエッロの墓、ダリ劇場美術館、ウォーホル最後の作品等等、人々の記憶に残るようにどのような戦略をたてたのか、お読みください。(岩下祐子)

 

3月の増刷

[NSRI選書]
近未来モビリティとまちづくり

■安藤 章
■B6変型 248頁+カラー口絵8頁 定価 本体1400円+税

電気自動車や自動運転などCASE大変革を迎えつつある。モビリティとは移動であり生きることとの視点から、幸福な都市のための交通システムの可能性を探る。


*話題のテーマのため、売れ行き好調。2019年8月に刊行し、3月に増刷できました。
*日建設計総合研究所(NSRI)によるシリーズはこちら。→ NSRI選書
 
 

書評情報

『女王の肖像』好評発売中

10月に刊行した四方田犬彦著の『女王の肖像』。引き続きメディアで紹介いただいてます。

●地方紙26紙(沖縄タイムスなど)に、小説家・木村紅美さんによる書評。
「…時にタイムスリップし、(切手)一枚ごとの背景の複雑さに触れ、世界中を旅する気分を味わえる一冊だ。」

●郵趣2020年1月号に書評。
「…少年(著者)は巻紙にポツンとあった軍事切手から歴史的文脈を読み解く面白さを知り、海外切手では未知の国の植民地風景に思いを馳せ、切手を通じて世界へつながる幾つもの扉を探す冒険家となった。」

●郵趣2020年3月号では、架空切手サービスについて写真付きで紹介。続々とご利用いただいています!

 

kousakusha TOPICS

『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』の著者、谷賢一さんが『福島三部作』で第64回 岸田國士戯曲賞&第23回鶴屋南北賞をW受賞!谷さんの著作はこの2点のみ。詳しくは こちら

◆日経新聞・科学書評で有名な竹内薫さんの新刊、『竹内薫の「科学の名著」案内』(徳間書店)で『四次元の冒険』紹介。ラヴロック『ガイアの復讐』(中央公論新社)の紹介文では、ラヴロックが世界的に注目をされたきっかけとして『地球生命圏』にも言及。

◆科学エッセイ『ガイアの素顔』の、物理学者フリーマン・ダイソン博士、2020年2月28日に死去。博士が在籍していたプリンストン高等学術研究所の科学者たちを綴った『アインシュタインの部屋』の下巻(カバー汚れ本のみ在庫)ではダイソン博士の人物像が垣間見えます。詳しくは、HP「今週の一枚」へ。

◆全国巡回中の「みんなのレオ・レオーニ展」2/28より沖縄県立博物館・美術館にてはじまりましたが現在中断中。くわしくは美術館サイトへ。

◆藤枝市郷土博物館にて「ムットーニからくりシアター展」開催中。(〜3/29まで)作品集『ムットーニ・カフェ』ショップで販売。詳細はこちら

◆web連載「アルス・ロンガ」第6回(最終回)「アルス・ロンガ」では、ロスコ・チャペルにおける、作品と美術家の関係性を考察。「…たとえ作品が永久に存続しないとしても、それは、作者の名前に結びついている限り、作者の死を超えてその名声を守る。作品が作者の名前との結びつきを失っても、制作者の名声を生き延びさせる。」

【編集後記】
●コロナウイルスの影響でイベントなども中止になったり、参加を控えたりする方もいらっしゃるかと思います。どうかお気をつけください。わたしも最近はあまり映画館に行けていないのですが観た作品でよかったものを。
●先月、国立フィルムアーカイブで「戦後日本ドキュメンタリー映画再考」特集(現在休映中)で、科学映画3本立て『女王蜂の神秘』『真正粘菌の生活史』『きのこの世界』を観ました。その撮影技術もさることながら、映し出される極微の世界に驚き!なかでも『女王蜂の神秘』は、蜜蜂の生態を記録しているのですが、巣単位の社会がまるでひとつの身体のよう。働き蜂が幼虫のために作る花粉団子は、昔絵本で出てきたのを思い出しました。本当にあるのですね。美味しそうです。
●蜜蜂といえば、メーテルリンク『蜜蜂の生活』をめくってみると、また印象が違い、やはりメーテルリンクは文学の人だなぁ、と…。蜜蜂一匹一匹を個として捉えることで詩的なスケッチになっているのですね。観察する眼の、カメラと人の違いでしょうか。本との違いが新鮮でした。(門谷風花)