■佐々木 敦
■四六判 528頁 定価 本体2700円+税
■2020年8月26日刊行
文芸、音楽、映画など、多彩な領域に筆鋒鋭利に切り込んできた批評家が、卒業を宣言。その活動最後の総まとめとして、ジャンルを問わず「ただそれだけを読んでも面白い」78編を厳選、批評スタイル別に編集した画期的なアンソロジー。
●●●担当編集者より●●●
さまざまなジャンルの批評文を集大成しているので、批評王』は「バラエティ・ブック」と、捉えられるかもしれない。佐々木氏は2005年に、『ソフトアンドハード』(太田出版)という編集も造本も凝りに凝った、王道のバラエティ・ブックを出されている。『批評王』は、その第2弾? そうとっていただいてもかまわないが、本書にはバラエティ・ブックにつきものの、ジャンルごとに段組みを変えたりといった工夫は、新聞書評を集めた第6章を除いて一切していない。むしろ、極力すべてのテキストを、フラットに読んでいただけるように心がけた。画期的なYMO論「グルーヴ・トーン・アトモスフィア」も、日本ミステリの新ジャンルを読み解く「“日常の謎”の原理」も、A・タブッキをすぐに読みたくなる「善行にかんするエスキス」も、新宿ガード下のギター弾きの素描「グルパリ」も、みんな同じ扱いに。そうすることで、時間軸もジャンル分けも超えて通貫している佐々木氏の批評精神といったものを浮き彫りにしたかったからである。そのブレなさを堪能するために、第1章から順番に読み進めていくことをお薦めする。(石原剛一郎)
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