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2020年9月8日号
 

8月の新刊

批評王
終わりなき思考のレッスン

■佐々木 敦
■四六判 528頁 定価 本体2700円+税
■2020年8月26日刊行

文芸、音楽、映画など、多彩な領域に筆鋒鋭利に切り込んできた批評家が、卒業を宣言。その活動最後の総まとめとして、ジャンルを問わず「ただそれだけを読んでも面白い」78編を厳選、批評スタイル別に編集した画期的なアンソロジー。


●●●担当編集者より●●●
さまざまなジャンルの批評文を集大成しているので、批評王』は「バラエティ・ブック」と、捉えられるかもしれない。佐々木氏は2005年に、『ソフトアンドハード』(太田出版)という編集も造本も凝りに凝った、王道のバラエティ・ブックを出されている。『批評王』は、その第2弾? そうとっていただいてもかまわないが、本書にはバラエティ・ブックにつきものの、ジャンルごとに段組みを変えたりといった工夫は、新聞書評を集めた第6章を除いて一切していない。むしろ、極力すべてのテキストを、フラットに読んでいただけるように心がけた。画期的なYMO論「グルーヴ・トーン・アトモスフィア」も、日本ミステリの新ジャンルを読み解く「“日常の謎”の原理」も、A・タブッキをすぐに読みたくなる「善行にかんするエスキス」も、新宿ガード下のギター弾きの素描「グルパリ」も、みんな同じ扱いに。そうすることで、時間軸もジャンル分けも超えて通貫している佐々木氏の批評精神といったものを浮き彫りにしたかったからである。そのブレなさを堪能するために、第1章から順番に読み進めていくことをお薦めする。(石原剛一郎)


*関連情報は下の[ブックフェア&イベント]へ。
 

近刊情報

図解き 論理的哲学史逍遙
ポルフィリオスの樹にはじまる

■山下正男
■四六判/上製 240頁 定価 本体2400円+税
■2020年9月中旬発売

古代ギリシア論理学 & 哲学のエッセンスを示す図「ポルフィリオスの樹」。その図は、中世神学全盛期をへて、近代科学の誕生、記号論理学や論理実証主義の発展など、西洋思想史をつらぬいてきた。この抽象構造をめぐる。


 

6月の増刷

平行植物

■レオ・レオーニ
■A5判変型/上製 304頁 定価 本体2200円+税

時空のあわいに棲み、われらの知覚を退ける植物群…。別の時空に存在するという植物群の生態、神話伝承などを、学術書の体裁でまことしやかに記述した幻想の博物誌。

SNSで話題! 一番人気です。7月15日にAmazon イタリア文学ランキング1位、honto イタリア文学ランキング1位、楽天ブックス 文学ランキング1位を獲得しました。

*10月24日からは板橋区立美術館にて「だれも知らないレオ・レオーニ展」開催(2021年1月11日まで)。玄光社さんから発売された『だれも知らないレオ・レオーニ』には、書籍の『平行植物』も新旧版とも紹介されています。

 

ブックフェア & イベント





佐々木敦さん『批評王』刊行記念

発売早々『批評王』が絶好調! 刊行記念ブックフェア、イベント、ラジオ出演など企画多数。

下北沢・本屋B&B 9月19日(土)19:00〜
佐々木敦×矢野利裕 トークイベント「何もかも論じ(ようとし)た男」
『批評王:終わりなき思考のレッスン』(工作舎)『絶体絶命文芸時評』(書肆侃侃房)W刊行記念
来店参加(10名限定)と配信参加が選べ、書籍付き配信チケットには特典がつきます。

特典とは、購入特典『「批評王」の省察──佐々木敦、全著作を語る。』のこと。単著、共著、責任編集を含めて全42冊の著作を、佐々木氏自らが一冊ずつ詳細に解説。ブックガイドにして、「批評王」の“キセキ”をたどることができる超充実オリジナル・ブックレットです。

B&Bのほか、下記のフェア開催3書店、青山ブックセンター本店、六本木 蔦屋書店、ディスクユニオン各店舗 & 通販で取り扱い中。通販を行っている書店が多いので、遠方にお住まいの方は各書店にお問い合わせください。

紀伊國屋書店新宿本店2F 刊行記念フェア「佐々木敦 批評王のキセキ」
デビュー作『映画的最前線』(水声社、1993)をはじめ、佐々木さんの著作が並び、壮観です。所狭しと壁に貼られた白いPOPには、品切れ、未刊、構想も。

ジュンク堂書店池袋本店3F 刊行記念フェア「佐々木敦祭」
エスカレータ脇の好位置に、佐々木さんの著作がズラリ。9月30日まで開催です。お早めに。

東京堂書店神田神保町店3F 刊行記念フェア「批評王の退位記念」
佐々木さんの著書をはじめ、最近の読書、解説を担当した本、これまで批評した書物たちが参集。

TOKYO FM「未来授業」佐々木敦さん出演
9月14日(月)〜17日(木) 19:52〜20:00
「批評とは何か」「社会にとっての批評家の役割」という『批評王』で展開された話題を皮切りに、「なぜいま批評から小説に向かったのか」などを語ります。

 
 

noteで連載はじめました

佐々木敦さんが語る

佐々木敦さんの『批評王——終わりなき思考のレッスン』の刊行カウントダウン企画です。3時間におよぶインタビューを5回にわたって連載。8月18日に公開した最終回は「批評にこだわってきた男が批評家をやめると言うとき」

桃山鈴子 イモムシ本制作記

驚異のイモムシ描き、虫めづるイラストレーター桃山鈴子さん。 2021年春の発行に向けて、イモムシだらけの作品集を制作中。 孵化した幼虫が脱皮を重ねてどんどん成長していくような、 本づくりのプロセスを担当編集者がつづります。最新は9月8日公開の「vol.2 どうして工作舎がイモムシ本をつくるのか? 」。月1〜2回程度の更新予定。

森須磨子 しめかざり探訪記

『しめかざり—新年の願いを結ぶかたち』が大好評の森須磨子さん。年末年始、全国各地へしめかざりを探し求めて旅した記録「しめかざり探訪記」を連載します。 8月11日公開の第1回は、鹿児島:「ナンゲンノガホシイノ?」。月1回程度の更新予定。

 

kousakusha TOPICS

◆8月26日より1ヶ月程度、名古屋市の紀伊國屋書店mozoワンダーシティ店にて、工作舎フェア「知的好奇心の旅へ」開催中。新刊の『批評王』をはじめ、『平行植物』『ヴァンパイアと屍体』など、選りすぐりの30点が並びます。詳しくはこちらへ

◆8月21日 毎日新聞【 論点 「脱東京」地方の目】に玉田樹さん登場。玉田さんは「移住より2地域居住に軸を」と。著書『地方に社会システム産業をつくる』でも都市と地方の2地域居住の重要性を説いています。

◆8月5日、NHK Eテレ「又吉直樹のヘウレーカ!」に倉谷滋先生ご登場! この日は「ゴジラはほんとにやってくる?!」がテーマ。著書『ゴジラ幻論』『地球外生物学』『怪獣生物学入門』(集英社インターナショナルさん)の書影も登場。

◆週刊東洋経済8月8日号「特集 コロナ時代の新教養」で黒崎政男氏が、ライプニッツの「ペスト対策の提言」に言及されています。「…今日のコロナ対策は、あたかもこのライプニッツの意見の後追いのように見えてきており、『確実な予防措置はいまだに医師諸氏によって見いだされていないので、政治に基づく予防措置に訴えざるをえない』というあり方は、感染症の本質を鋭くうがっている…」 ライプニッツの「ペスト対策の提言」は11月14日(ライプニッツ命日)まで公開中です。

◆世田谷文学館コレクション展にて「綴じられた時間の物語—ムットーニからくり文学館」開催中(7/7-2021/3/31予定)。事前予約制なのでご注意ください。ショップでは 『ムットーニ・カフェ』も販売。

【編集後記】
『批評王』の販促は、緊急事態宣言下の5月にはじまりました。紀伊國屋書店新宿本店2Fご担当のUさんが佐々木敦さんの新刊にいち早く反応され、フェアが即決。ツイッターで話題となった「批評家をやめる宣言」の理由を知りたいとも。そこで6月には佐々木さんに編集の石原とインタビューすることになりました。
●佐々木さんは、批評家をやめる理由をはじめ今までの歩みに1時間、全著作のコメントに2時間と、疲れも見せずに熱く語ってくださいました。前者がnote連載になり、後者が特典になったという次第です。特典のデザインも評判よく、版元在庫はなくなりました。ご希望の方は上記の書店さんへ!(岩下)