■ロバート・カニーゲル/熊倉鴻之助=訳
■四六判/上製 512頁 定価 本体2800円+税
■2020年12月28日発売
一握りの科学エリートたちが多くの発見をし、栄誉を獲得していくのはなぜか? その背景には、師弟の連鎖「メンター・チェーン」が存在していた! コロナ禍で話題のNIH(米国国立衛生研究所)/ジョンズ・ホプキンス大学に息づく「系譜」の秘密に迫った傑作サイエンス・ノンフィクション。
●●●担当編集者より●●●
さまざまな現場がオンライン中心に転換しつつある今、本書が問いかけるテーマは、きわめて重要度を増してきているように思う。つまり、「師弟の密な関係からしか得られない価値」というものが確実にあり、それが、メンター・チェーン(師弟の連鎖)によって、すぐれた「系譜」をかたちづくり、やがてはノーベル賞級の発見を促し、人類の知を切り拓いていくのだという。こんなことを言われれば、じゃあその「価値」ってなんなの? となるだろう。それが分かっているのなら、オンラインにも取り入れていけばいいじゃないの、と。それは単なる特定の知識とか技術などではない。何世代にもわたる伝言ゲームでも、決して歪んだり、ボケたりすることのない特別の何か。残念ながら、ここでその種明かしをするわけにはいかない。本書には、サイエンスの現場からの証言で、具体的な指針がいくつも挙げられている。当然、それらはビジネスや教育の現場にも応用が可能だ。科学読み物ではあるが、きわめて啓発的で、実用的な一冊なのである。「メンター・チェーン」は、今こそ活用されるべきキーワードと言っていいだろう。(石原剛一郎)
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