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2021年2月12日号
 

1月の新刊

うたかたの国
日本は歌でできている

■松岡正剛
■四六判/並製 428頁 定価 本体1800円+税
■2021年1月21日発売

物語も、日記も、信心も、日本は歌とともにあった。袖振る万葉からJ-POPまで、百月一首から琉歌まで、松岡詩歌論30余冊をリミックス。歌で辿る日本の文化。


●●●担当編集者より●●●
落語の「道灌」ではないが、もともと歌道のみならず日本文化全般に暗かった。他ならぬ松岡正剛さんのエディトリアル・ディレクションのもとで、講談社の美術全集「アート・ジャパネスク」シリーズの一巻を担当したときには、北山文化と東山文化はおろか、南北朝と室町幕府と応仁の乱の後先も覚束ないほどだった。担当したのは「絵巻と物語」の巻。物語についての多少の関心はあったものの、ほとんど白紙からの編集スタートとなった。古代や中世の物語を渉猟するうちに、日本の物語の根本は「歌物語」にあることを知った。「古事記」も「竹取」も「源氏」も、もちろん「伊勢」も、歌が主役である。いわゆる「物語」は、「歌」を導くための「ト書き」のようなものだとも思った。なるほど日本の言葉は「歌」によってつくられてきたのだ。その後、歌が言葉をつくっただけではなく、歌は言葉に先行していたのではないかと思うようになった。鴬の「ホーホケキョ」も歌にほかならない。それは言葉ではないものの、情報満載である。ヒトもまた自身の「ホーホケキョ」を分節することで、なんとか言葉を獲得したのかもしれない。そんな想いを背負いつつ編集したのが『うたかたの国』である。本書の誕生の「物語」については、松岡事務所の「セイゴオちゃんねる」をご覧いただければ、と思う。→https://seigowchannel-neo.com/publishing/3566(米澤 敬)

 
 

近刊情報

田園都市と千年王国
宗教改革からブルーノ・タウトへ

■長谷川 章
■A5判/上製 616頁(カラー8頁含) 予価 本体4800円+税
■2021年3月下旬発売予定

ハワードにはじまる田園都市構想は、千年王国思想におけるユートピアを源流とする。心霊主義、ピューリタニズム、ドイツ神秘主義等の精神世界の視座から、英米独の田園都市を考察し、西欧モダニズムの概念を再検証した意欲作。


 

書評



『メンター・チェーン』 2月6日 日本経済新聞 書評

横山広美氏(東京大学教授)
科学エリートの系譜をたどる

「研究で成功するために必須なことは、卓越した奨学金でもなければ、抜きんでた知能でもなく、モティベーション(強い動機)とコミットメント(研究への没頭)である」との言葉には頷ける。

*神保町・東京堂書店で刊行記念フェア開催中。

 

 

 



『ワンダーレシピ』暮しの手帖 2-3月号 紹介

かもめブックス 宮崎麻紀さん
料理への飽くなき探究

…本の販売に携わる中で出会った指折りの食いしん坊といえば、レシピとスケッチとエッセイを一度に味わえる『ワンダーレシピ』の著者・添田浩さん。…料理の手順を細密かつ立体的に表現したスケッチは、調理中の匂いや音までしてきそう! スケッチの緻密さとは裏腹に、豪快な人柄を思わせるエッセイでは、レシピとの出合いや作り方のコツが綴られていて、料理への愛情と情熱がムンムンしています。…

 

kousakusha TOPICS

◆仙台・八文字屋書店泉店にて工作舎フェア開催中。新刊の『うたかたの国』など売り切れタイトル続出のため、2度追加注文をいただきました。好評のため、2月末まで延長開催。

◆ジュンク堂書店池袋本店7F理工書売り場にて、「科学史ブックフェア」が開催中。人類が築いた科学の歴史を書籍を通して振り返り、人類のこれからを考察するブックフェア。ケプラーの天文三部作『宇宙の神秘』『宇宙の調和』『新天文学』も燦然と輝いています。2月末まで。写真はこちら

『コンパクトシティはどうつくる?』1/27 建設通信新聞 著者・竹村 登さんインタビュー。「都市を単純に縮退させるのがコンパクトシティではありません。また高密度に人や機能を1カ所に集約するものでもありません。場所の特性を生かして人を引きつける、人が中心の、歩いて楽しいまちこそがコンパクトシティです」と明快に説く。

『十二支妖異譚』nippon.comにて、泉 宣道氏書評。「著者が選りすぐった古典話が時代を超えて読者を魅了するのは、そこに人生訓や世の中のはかなさを読み取れるからだろう。」

◆担当編集者・李によるnote連載「桃山鈴子 イモムシ本制作記」 vol.6「幼虫のまま越冬してしまった! 起きなくちゃ! 来週入稿だよ! 」。この本は5月発売予定です。

◆工作舎創立50周年企画の一環として、note連載「土星紀セレクション」スタート。紙の手触りは伝わりませんが、色・デザインだけでも残したい、という連載です。第1回 土星紀 0055(1986年4月発行)〜第3回 土星紀 0058(1986年7月発行)。

【編集後記】
●note新連載の「土星紀セレクション」がようやくはじまり、記念出版第1弾『最後に残るのは本』(工作舎編)の応援体制が整いつつあります。この本は延期につぐ延期で今のところ4月中旬。4月は記念出版第2弾『仏に逢うては仏を殺せ—吉福伸逸と日本のニューエイジ』(稲葉小太郎著)も発売予定です。吉福さんといえば、『タオ自然学』をはじめ、ニューサイエンスを日本に紹介した恩人。その中の1冊、アーサー・ケストラーの名著『ホロン革命』も、新装復刊予定。
●この3冊を記念出版として50周年企画を計画中。4月の創立記念をめざして、書店ブックフェア、読者プレゼント…社内で闊達な意見が飛び交っています。どんな企画になるのか、乞うご期待。(岩下)