■松岡正剛
■四六判/並製 428頁 定価 本体1800円+税
■2021年1月21日発売
物語も、日記も、信心も、日本は歌とともにあった。袖振る万葉からJ-POPまで、百月一首から琉歌まで、松岡詩歌論30余冊をリミックス。歌で辿る日本の文化。
●●●担当編集者より●●●
落語の「道灌」ではないが、もともと歌道のみならず日本文化全般に暗かった。他ならぬ松岡正剛さんのエディトリアル・ディレクションのもとで、講談社の美術全集「アート・ジャパネスク」シリーズの一巻を担当したときには、北山文化と東山文化はおろか、南北朝と室町幕府と応仁の乱の後先も覚束ないほどだった。担当したのは「絵巻と物語」の巻。物語についての多少の関心はあったものの、ほとんど白紙からの編集スタートとなった。古代や中世の物語を渉猟するうちに、日本の物語の根本は「歌物語」にあることを知った。「古事記」も「竹取」も「源氏」も、もちろん「伊勢」も、歌が主役である。いわゆる「物語」は、「歌」を導くための「ト書き」のようなものだとも思った。なるほど日本の言葉は「歌」によってつくられてきたのだ。その後、歌が言葉をつくっただけではなく、歌は言葉に先行していたのではないかと思うようになった。鴬の「ホーホケキョ」も歌にほかならない。それは言葉ではないものの、情報満載である。ヒトもまた自身の「ホーホケキョ」を分節することで、なんとか言葉を獲得したのかもしれない。そんな想いを背負いつつ編集したのが『うたかたの国』である。本書の誕生の「物語」については、松岡事務所の「セイゴオちゃんねる」をご覧いただければ、と思う。→https://seigowchannel-neo.com/publishing/3566(米澤 敬)