Facebook icon Twitter icon Forward icon
2021年4月5日号
 

3月の新刊

田園都市と千年王国
宗教改革からブルーノ・タウトへ

■長谷川 章
■A5判/上製 616頁(カラー8頁含) 定価 本体4800円+税
■2021年3月26日発売

ハワードにはじまる田園都市構想は、千年王国思想におけるユートピアを源流とする。心霊主義、ピューリタニズム、ドイツ神秘主義等の精神世界の視座から、英米独の田園都市を考察し、西欧モダニズムの概念を再検証した意欲作。

●●●担当編集者より●●●
西洋文明の背景として、新教と旧教という二つの「キリスト教」を措定しておくと、哲学・科学から食文化まで、なんとなく割り切れるような気がするが、もちろんコトはそんなに単純ではない。本書は「田園都市」をモチーフにしながら、そんな一筋縄ではいかない欧米の神秘思想史の入門書でもある。キルヒャーもベーメもブレイクもオッカムも、そしてソローもメスマーも登場する。そもそも田園都市は、多くの日本人がイメージするような郊外型のベッドタウンなどではなかった。それは千年王国実現のための一つの試みであり、四分五裂したプロテスタンティズムの心性が色濃く投影しているのである。個人的には、特にアメリカという国の見方が一変した。偏見ではあることは重々承知の上で、平板で能天気な国だというイメージを持っていたアメリカが、かなり不気味な陰影を帯びていることを思い知らされた。うがった見方をするなら、あの国がトランプを産み落としたことにも合点がいった。そしてGAFAの揺籃だったヒッピーたちのコミューン・ムーヴメントも、ディズニーランドもまた、千年王国=田園都市の末裔だったのである。(米澤 敬)

 
 

近刊情報

仏に逢うては仏を殺せ
吉福伸逸とニューエイジの魂の旅

■稲葉 小太郎
■四六判/上製 312頁 定価 本体2200円+税
■2021年4月下旬発売予定

『タオ自然学』をはじめ、精神世界、ニューサイエンス、トランスパーソナル心理学を紹介し、日本の精神文化に多大な影響を与えた吉福伸逸。その魂の軌跡を追う。工作舎50周年記念出版(下のお知らせもご覧ください)


 

書評



『うたかたの国』書評が相次ぎ増刷中!

3月6日 朝日新聞 いとうせいこう氏
切断と融合 編集が導く新思考

…松岡の宇宙大の知識がより詩的に整理されているから、読んでいる間ずっと知的刺激が絶えない。

3月20日 東京新聞/中日新聞 石関善治郎氏(フリー編集者)
古代から現代の論考を「再編」
…松岡には、本居宣長の『古事記伝』と桑田佳祐を一緒にみる深い視点があり、宗教や「あはれ」「いき」を論じながら「歌」に結びつく著書が多い。その勘所が一冊に。

*4月16日に増刷ができます。品薄でご迷惑をおかけします。

 



『メンター・チェーン』 も書評ぞくぞく

週刊東洋経済2021.2.27号 首藤淳哉氏(HONZレビュアー)
オンライン時代にあえて読みたい「密」な関係の物語
…良いメンターに出会えるかどうかは運命に委ねるしかない

フレグランスジャーナル 2021.3月号
選りすぐられた科学の誕生

…情熱、賞賛、「山ほどの励まし」がある一方で、葛藤、不満、嫉妬、怒り、恨みもちらほら、いや、ずばずば。人間離れ、浮世離れ(と私たちが誤解)している科学者たちの生々しさ、人間臭さがぷんぷん。

3月24日 聖教新聞
“師弟の絆”で結ばれた科学者たちの物語

…思うような結果が出ない弟子に“自分を信じて、一歩ずつ進め”と鼓舞する師匠の姿。

 
 

お知らせ



工作舎は2021年4月に、おかげさまで50周年を迎えました。

50年にわたる出版活動に深く関わる内容の新刊、
『仏に逢うては仏を殺せ 吉福伸逸とニューエイジの魂の旅』(稲葉小太郎=著)
・『ホロン革命 新装版』(アーサー・ケストラー=著/6月刊行予定)
・『最後に残るのは本』(工作舎=編/6月刊行予定)
の3点を記念出版として、読者プレゼントを実施いたします。

[読者プレゼント]
A 土星マーク・コットン製トートバッグ(3色のうち1つ)
B 厚手キャンバス地トートバッグ(2種類のうち1つ)
C 本体1万円までのお好きな工作舎本

記念出版物の帯についている応募券を切り取ってご郵送ください。2021年12月末日  詳しくはこちら。

 

kousakusha TOPICS

◆4月10日より千葉市美術館で「大・タイガー立石展」がはじまります(7月4日まで)。『ムーン・トラックス』収録作品はほぼすべての原画、『TRA』収録作品も多数の原画が展示されます。書籍でファンになった方も、大きな原画を目の前でじっくりご覧ください。招待券プレゼントはこちら。

◆mRNAワクチン開発のパイオニア的科学者にして、新型コロナウイルス ワクチンの生みの親として話題のカタリン・カリコ氏。3月9日『クーリエ・ジャポン』と3月29日インタビューで最も影響を受けた本として、ハンス・セリエの『生命とストレス』をあげてくださいました。反響大!

◆担当編集者・李によるnote連載「桃山鈴子 イモムシ本制作記」 vol.7「桃山鈴子作品集『わたしはイモムシ』色校が出ました。」。この本は5月発売予定です。

◆note連載「土星紀セレクション」毎週更新中。最新は第9回 土星紀 0072(1987年12月発行)

【編集後記】
●工作舎の創立記念日は4月5日と、長年対外的にアピールしてきました。しかし、会社設立は12月だとか、「遊」創刊は9月だとか、50周年にもなると意見がでてきて、4月創立説が揺らぎはじめました。
●4月とは、工作舎が松岡正剛氏率いる雑誌「遊」の編集制作チームとして発足し、池袋東口の池ビルに事務所設立したのが1971年4月なのだそうです。
●なにはともあれ、この4月をめざして50周年記念出版づくりが進行し、『仏に逢うては仏を殺せ』がようやく第1弾として間に合いました。もっと前に出るはずだった『最後に残るのは本』は6月刊行になってしまったけれど、メドがついてほっとしています。(岩下)