■桃山鈴子
■B5判変型/上製 148頁(カラー128頁) 定価 本体3800円+税
■2021年6月4日発売
体長わずか数センチのイモムシを虫眼鏡で覗き込むと、そこには小さな天の川のような世界が広がっていた。飼育観察しながらイモムシを描く、虫愛づる画家の作品68点を収録した、美しき細密点描イモムシ画譜!
帯文はヤマザキマリさん。
●●●担当編集者より●●●
雨や陽光を浴びて輝く緑。その緑をもりもりと食べる幼虫があちこちで見つかる季節。
イモムシを飼育しながら描く画家・桃山鈴子さんの本『わたしはイモムシ』が誕生しました。点描で丹念に描き込まれた絵は写実に徹した博物画というより、画家の愛と想像力がこめられた肖像画です。
私が桃山さんに企画を持ちかけたのは2020年早春。ちょうど国内でも新型コロナの感染が騒がれ始めた頃でした。その後、またたくまにコロナ禍は広がり、さまざまな表現活動が自粛や規制を強いられるなか、遠隔地に住む桃山さんとリモートでコツコツと共同作業を進めていきました。
「おととい散歩中にセスジスズメの幼虫に出会いました」「羽化寸前のアサギマダラのサナギを描いていて手が離せませんでした」。桃山さんからのメールには、ときどきイモムシの近況が書かれていました。目に見えないウイルスに振り回される人間世界の足元では、虫たちが当たり前のように生まれたり、脱皮したり、生きたり死んだりしている。そんなことを感じました。
美しく、不気味で、はかなく、たくましい、小さな虫けらたちの肖像画をどうぞお楽しみください。
(李 栄恵)