■アーサー・ケストラー/田中三彦+吉岡佳子=訳
■四六判/上製 416頁 定価 本体2800円+税
■2021年6月3日発売
生物、社会、宇宙全体において、絶対的な[部分]や[全体]は存在しない。有機体は部分と全体の両面をもつ[ホロン]からなる多層システムである。[ホロン]の創造性を提唱したシステム論、待望の新装復刊。工作舎50周年記念出版
●●●担当編集者より●●●
吉福伸逸さんの評伝『仏に逢うては仏を殺せ』と相前後して『ホロン革命 新装版』が工作舎50周年記念出版として蘇えるとは!?
本書は長い間品切れ状態がつづいており、訳者の田中三彦さんには新たな「あとがき」で復刊させたいと、折にふれてお願いしてきました。
ただ田中さんは、福島原発事故の国会事故調委員としての任期(2011.12〜2012.12)を終えた後も、柏崎・刈羽反原発訴訟をはじめとする各地の裁判の重要な証言者として多忙な日々を過ごしており、果たせないままになっていました。
コロナで移動できなくなったせいもあり、ようやく去年後半から多少の余裕ができ、年初にケストラーの自殺と相前後した本書刊行の経緯を書き下ろしてくださったおかげで、結果的にはまたとないタイミングで刊行のはこびとなりました。
吉福さんと田中さんはカプラ『タオ自然学』の翻訳をきっかけに生涯の盟友となった間柄。『仏に逢うては……』にも田中さんは重要な証言者としてたびたび登場します。
ケストラーはカプラよりほぼ四半世紀上の世代にもかかわらず、旧来の物質観を超える観点として、本書13章「物質と精神の対話」で『タオ自然学』の要点を紹介しています。
カバー(宮城安総+小倉佐知子)は工作舎発足時の大いなる精神的支柱、稲垣足穂の「六月の夜の都会の空」を想起させる雰囲気。田中さんがあとがきで引用したケストラーの「目に見えぬインクで書かれた指令書」とも響き合っています。(十川治江)