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2021年7月8日号
 
 

6月の新刊 2

ホロン革命 新装版

■アーサー・ケストラー/田中三彦+吉岡佳子=訳
■四六判/上製 416頁 定価 本体2800円+税
■2021年6月3日発売

生物、社会、宇宙全体において、絶対的な[部分]や[全体]は存在しない。有機体は部分と全体の両面をもつ[ホロン]からなる多層システムである。[ホロン]の創造性を提唱したシステム論、待望の新装復刊。工作舎50周年記念出版


●●●担当編集者より●●●
吉福伸逸さんの評伝『仏に逢うては仏を殺せ』と相前後して『ホロン革命 新装版』が工作舎50周年記念出版として蘇えるとは!?
本書は長い間品切れ状態がつづいており、訳者の田中三彦さんには新たな「あとがき」で復刊させたいと、折にふれてお願いしてきました。
ただ田中さんは、福島原発事故の国会事故調委員としての任期(2011.12〜2012.12)を終えた後も、柏崎・刈羽反原発訴訟をはじめとする各地の裁判の重要な証言者として多忙な日々を過ごしており、果たせないままになっていました。
コロナで移動できなくなったせいもあり、ようやく去年後半から多少の余裕ができ、年初にケストラーの自殺と相前後した本書刊行の経緯を書き下ろしてくださったおかげで、結果的にはまたとないタイミングで刊行のはこびとなりました。
吉福さんと田中さんはカプラ『タオ自然学』の翻訳をきっかけに生涯の盟友となった間柄。『仏に逢うては……』にも田中さんは重要な証言者としてたびたび登場します。
ケストラーはカプラよりほぼ四半世紀上の世代にもかかわらず、旧来の物質観を超える観点として、本書13章「物質と精神の対話」で『タオ自然学』の要点を紹介しています。
カバー(宮城安総+小倉佐知子)は工作舎発足時の大いなる精神的支柱、稲垣足穂の「六月の夜の都会の空」を想起させる雰囲気。田中さんがあとがきで引用したケストラーの「目に見えぬインクで書かれた指令書」とも響き合っています。(十川治江)

 
 

6月の新刊 3

最後に残るのは本

■工作舎=編
■四六判/上製 244頁(カラー8頁含) 定価 本体2500円+税
■2021年6月18日発売

小松和彦、養老孟司、池澤夏樹、鶴岡真弓、松浦寿輝など総勢67人の書物をめぐるエッセイ集。工作舎の本にはさみこんだ新刊案内[土星紀]の連載をまとめました。表題は多田智満子のエッセイより。工作舎50周年記念出版


●●●担当編集者より●●●
工作舎の新刊案内「土星紀」で、本と読書をテーマにしたリレーエッセイ「標本箱」がスタートしたのは、もう40年ほど前のことになる。60余人の方々にバトンを繋いでいただいた。力の入ったもの、力が抜けたもの、様々だが、いずれも書き手の人柄がしみじみと伝わってくる。どことなく懐かしさを感じるのは、昔の原稿であるためではないと思う。本や読書というものが、いつの時代にあっても、どこかに懐かしさを纏っているからだろう。
これまで何度か、一冊にまとめようという企画が持ち上がったものの、なかなか形にならなかった。分厚い本もいいけれど、鞄の中に忍ばせておいて、気の向いたときに、気になるところからつまみ食いできるコンパクトな本というのは、作り手にとっても心が踊るものである。たまたま、工作舎の創立50周年のタイミングで形にすることができた。パンデミックの最中に『最後に残るのは…』というタイトルは、何とも象徴的だ、と感心してくれた執筆者もいる。もちろん、それもたまたまである。でも、偶然と必然は紙一重なのだとも思う。 (米澤 敬)

 
 

7月の新刊

地球を駆ける
世界のハンセン病の現場から

■笹川陽平
■A5判/上製 936頁(オールカラー) 定価 本体2800円+税
■2021年7月13日発売

ハンセン病は現在進行形の病気である。日本財団会長であり、WHOハンセン病制圧大使を務める笹川陽平の、ハンセン病撲滅とハンセン病差別撤廃に向けた闘いの記録。2001年から2020年まで約70カ国におよぶ活動を収める。カラー写真多数収録。

 

お知らせ



タイガー立石『TRA』、日曜美術館で大反響

6月13日NHK Eテレ「日曜美術館」で「七転八虎不二〜変容する画家 タイガー立石〜」が放送されました。番組後半で、デザイナーの祖父江慎さんが登場し、自らデザインした『TRA』を手に取りながら、デザインに込めたタイガーさんの自由奔放な世界観を解説してくださったため、全国から『TRA』の注文殺到!

『TRA』は、デジタルなアナログ、道理で不条理、赤塚不二夫に影響を与えたナンセンスギャグを満載した漫画作品の作品集。コマ割り絵画作品集『ムーン・トラックス』も好調で、2冊とも品切れに。『TRA』は、7月21日重版出来、『ムーン・トラックス』は、印刷の色をよくするために時間がかかり、重版出来は7月下旬〜8月初旬の予定です。

 



工作舎50周年フェア

7月10日から、紀伊國屋書店新宿本店3F人文書売り場にて「工作舎50周年記念フェア」がはじまります。僅少本188点200余冊を含む、工作舎のほぼ全点500冊超が集結。希少価値が高い、松岡正剛×杉浦康平造本の伝説の書『全宇宙誌』、『遊 創刊号』と『遊1001相似律』セット、『二十一世紀精神』初版は、期間中展示し、フェア終了後に抽選で購入いただきます。応募方法と僅少本リストはHPにまとめました。

「工作舎ベスト50 最後に残るのは本」フェア開催書店
【7月スタート】
東京  ジュンク堂書店池袋本店7F  7月16日〜
金沢  うつのみや金沢香林坊店  7月6日〜
富山  BOOKSなかだ掛尾本店  7月26日〜

*8月以降の開催は改めてお知らせします。
フェア開催中の書店はこちら

 
 

kousakusha TOPICS

◆7月7日13時より、装丁家の矢萩多聞さんとデザイナーいわながさとこさんの「本とこラジオ」にて、『わたしはイモムシ』の桃山鈴子さんがゲスト出演しました。アーカイブをで視聴できます。https://hontoco.net

◆6月16日 静岡新聞朝刊にて静岡市の書店ひばりブックスの太田原さんの推薦で『わたしはイモムシ』紹介。同店では8/24〜9/5に原画展開催予定。芸術新潮8月号(7月25日発売)など、パブリシティ予定続々。

◆担当編集者・李によるnote連載「桃山鈴子 イモムシ本制作記」が好評。「vol.10 青山ブックセンターさんにイモムシが大量発生します」は、6月23日〜7月6日に開催した青山ブックセンター本店での原画展について。

◆武蔵野美術大学 美術館・図書館の所蔵資料「杉浦康平デザインアーカイブ」を紹介する特設ウェブサイト「デザイン・コスモス」が公開されました。「デザイン手法」は15のカテゴリ/119の手法ものインデックスが構築され、リンク先の各作品には詳細な解説・画像が掲載された壮大なサイト。工作舎の書籍も多数紹介され、『全宇宙誌』『人間人形時代』『ライプニッツ著作集』には杉浦先生ご本人による解説動画もあります。

◆週刊読書人2021年7月2日号6面に「工作舎50周年」の広告を出しました。記念出版の『仏に逢うては仏を殺せ 吉福伸逸とニューエイジの魂の旅』『ホロン革命 新装版』『最後に残るのは本』と同名の記念フェアの告知。

◆note連載「土星紀セレクション」更新中。最新は第15回 土星紀 土星紀 0083(1989年7月発行)

【編集後記】
●50周年の読者プレゼントの応募が届きはじめました。応募期間が6月から12月なので当然なのですが、A〜Cのプレゼントのうち、Aの土星マーク・コットン製トートバッグはサンプルも画像もない状態でした。「3色のうち1つ」と書いているだけで、何色だろうと思った方も多かったのでは。
●ようやく、色が決まり、発注用の画像をアップできました。1. 生成・文字 蛍光オレンジ 2. 生成・文字 蛍光グリーン 3. 黒地・文字グレーです。コットン製トートバッグは折りたたんでカバンに入れることもできます。色も選べるようにしました。社内では3の黒地に人気が集まるのではと予測していますが、さてどうなることか。ぜひご応募ください。 (岩下)