■ヨアン・ペテル・クリアーノ/桂 芳樹=訳
■四六判/上製 364頁 定価 本体3800円+税
■2021年8月27日発売
ギルガメシュの冒険、オシリス神の死と再生、ダンテの『神曲』… 神話・伝説・宗教に見られる数多の“この世の外”の体験は、古代シャーマニズムから発する霊魂の旅だった。変性意識、多次元世界に続く、めくるめく異世界探求史。
●●●担当編集者より●●●
人間には魂と肉体があって、その魂が飛翔する世界はどのようなものか…本書では、神話、さまざまな宗教、伝説などから、魂が体験する天国や煉獄等「この世の外」の世界を探究します。それは、古代シャーマニズムから現代の体外離脱体験、多次元世界にまで及びます。
世界各地の一見異なる歴史の諸相に普遍性を見出そうとするクリアーノの姿勢は、1991年刊『ルネサンスのエロスと魔術』(工作舎)でも遺憾なく発揮されていました。
この刊行後ほどなく著者クリアーノ暗殺(享年41歳)の悲報が入り、訳者の桂芳樹先生とその学究のエネルギッシュな姿勢、才気の早すぎる喪失を惜しんだことでした。
諸々の事情により、『霊魂離脱(エクスタシス)とグノーシス』(岩波書店)が先に刊行され、『異界への旅』はずいぶん遅れてしまいました。残念なことに、桂先生は本文訳了後鬼籍に入られましたが、これら三書の訳はすべて先生の手になるもの。クリアーノという、一つの知の形の紹介にご尽力くださったことに感謝しております。(森下 知)