■福井栄一
■B6変型/丸フランス装 188頁 定価 本体1600円+税
■2021年10月20日刊行
頭のてっぺんからつま先まで、「人体」にまつわる怪談・奇譚・珍談を、古典文学から集めて現代語訳。妖しくて愉しいカラダのフシギをときあかす。
●●●担当編集者より●●●
『十二支妖異譚』に続く、福井栄一版「日本むかし話」の第2弾である。折しも新型コロナで世間が右往左往している最中での刊行となった。これほど自分の体の変調が気になることは、久しくなかった。マスクという異物が顔に貼りついただけで、身のこなし方も微妙に変わったし、世の中の光景も奇妙なものに変貌した。「文明」にどっぷり浸かって、どんなに自然から遠ざかってみても、最後までついて回るのが、身体という自然。いちばん近くていちばん厄介な自然が、ほかならぬ身体であるのかもしれない。八百万の神といい、森羅万象に仏や妖怪が宿るように、身体においてもまた、不可思議は尽きることがない。福井氏はそんな不可思議を、古典の山の奥深くに分け入り、丁寧に掘り出して、サービス満点の一冊にまとめあげてくれた。軽妙でユニークな日本人論でもある。実は、福井版「日本むかし話」は、第3弾、第4弾と発行準備が整いつつある。次はどんな不可思議劇場が展開されるか、乞うご期待!(米澤 敬)