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2021年11月12日号
 
 

10月の新刊

解體珍書(かいたいちんしょ)
カラダのフシギなモノガタリ

■福井栄一
■B6変型/丸フランス装 188頁 定価 本体1600円+税
■2021年10月20日刊行

頭のてっぺんからつま先まで、「人体」にまつわる怪談・奇譚・珍談を、古典文学から集めて現代語訳。妖しくて愉しいカラダのフシギをときあかす。


●●●担当編集者より●●●
『十二支妖異譚』に続く、福井栄一版「日本むかし話」の第2弾である。折しも新型コロナで世間が右往左往している最中での刊行となった。これほど自分の体の変調が気になることは、久しくなかった。マスクという異物が顔に貼りついただけで、身のこなし方も微妙に変わったし、世の中の光景も奇妙なものに変貌した。「文明」にどっぷり浸かって、どんなに自然から遠ざかってみても、最後までついて回るのが、身体という自然。いちばん近くていちばん厄介な自然が、ほかならぬ身体であるのかもしれない。八百万の神といい、森羅万象に仏や妖怪が宿るように、身体においてもまた、不可思議は尽きることがない。福井氏はそんな不可思議を、古典の山の奥深くに分け入り、丁寧に掘り出して、サービス満点の一冊にまとめあげてくれた。軽妙でユニークな日本人論でもある。実は、福井版「日本むかし話」は、第3弾、第4弾と発行準備が整いつつある。次はどんな不可思議劇場が展開されるか、乞うご期待!(米澤 敬)

 
 

近刊情報 1

変わり続ける! シブヤ系まちづくり

■渋谷未来デザイン=編・著
■A5判変型 224頁 定価 本体2000円+税
■2021年11月24日発売予定

渋谷ヒカリエ、渋谷スクランブルスクエア、MIYASHITA PARK…渋谷は今、百年に一度のダイナミックな変貌の途上にある。まちづくりのエキスパート41人が語る、未来の街をつくるヒント。

*MARUZEN & ジュンク堂書店渋谷店にて刊行記念フェア/パネル展を開催予定。ぜひお出かけください。

 
 

近刊情報 2

進化理論の構造 I・II(全2巻)

■スティーブン・ジェイ・グールド/渡辺政隆=訳
■[I]A5判上製 808頁 定価 本体9000円+税
■[II]A5判上製 1120頁 定価 本体11000円+税
■2021年11月25日刊行予定(2冊同時発売)

グールドが20年の歳月をかけて書き上げた進化理論史の集大成。ダーウィニズムの長大な論証を経て、ダーウィン進化論の拡張を試みた大傑作。世界中のファンを今も魅了する洒脱にして重厚な文体が冴え渡るドラマティックなエピソードが満載。
I巻は、ゲーテ、ラマルク、ダーウィンから現代総合説までの[歴史篇]。II巻は、創造説との闘い、ドーキンスとの角逐、自身の断続平衡説をめぐる論争などを収めた[現代篇]。

 

お知らせ



日曜美術館のアンコール放送で、タイガー立石『TRA』第3刷!

NHK Eテレ「日曜美術館」で「七転八虎不二〜変容する画家 タイガー立石〜」が10月24日にアンコール放送され、再び『TRA』に注文が殺到し品切れになりました。6月13日の本放送時も品切れになり、第2刷ができたのが7月下旬。こんなに早く第3刷をつくることになろうとは! 

『TRA』は、デジタルなアナログ、道理で不条理、赤塚不二夫に影響を与えたナンセンスギャグを満載した漫画作品の作品集。「日曜美術館」では番組後半にデザイナーの祖父江慎さんが登場し、自らデザインした『TRA』を手に取りながら、デザインに込めたタイガーさんの自由奔放な世界観を解説してくださっています。これを見たらたしかに本が欲しくなります。祖父江さんほんとうにありがとうございます。『TRA』第3刷は11月25日頃にできますので、お待ちください。

11月16日からは「大・タイガー立石展」が、埼玉県立近代美術館・うらわ美術館の2館同時開催。埼玉県立近代美術館では画業の全体像を回顧、うらわ美術館では漫画、絵本にフォーカス。2つの美術館をめぐると2館目の観覧料が割引になる「とら割」もあるそうです。展覧会の大きなテーマ、コマ割絵画なら、作品集『ムーン・トラックス』もどうぞ。

 



工作舎50周年フェア

工作舎50周年記念の「工作舎ベスト50 最後に残るのは本」フェアが各地で好評開催中です。

【11月スタート】
大阪 ジュンク堂書店難波店  11月1日〜12月末

【12月スタート】
東京 ジュンク堂書店吉祥寺店  12月1日〜12月末

フェア開催中の書店はこちら

 

kousakusha TOPICS

『異界への旅』の書評が、ムー12月号に掲載されました。「全世界の主要な「異界」をほぼ網羅」と。本書のプレゼントもあります。

『スマートシティはどうつくる?』を増刷します。ソトコト11月号の「道の駅をつくる本」特集で、川端由美さん(自動車評論家/環境ジャーナリスト)が紹介するなど、話題が途切れない良書。

◆ハンス・セリエの『生命とストレス』。10月に刊行された『世界を救うmRNAワクチンの開発者 カタリン・カリコ』(増田ユリヤ著/ポプラ新書)で何度も言及され、売れ行き絶好調です! 「この本は私の人生に影響を与えてくれました。自分にできることに集中をして、他の人を気にしない方法をこの本から学んだのです。…」(カリコ氏)

◆10月8日 週刊読書人で『地球を駆ける』刊行記念、笹川陽平×高山文彦対談「生きること、死ぬこと、声を上げること」を掲載。広告も出しました。

◆日本生活協同組合連合会「co・op navi」に森須磨子さんのインタビュー掲載。著書『しめかざり』も「森さんが収集したしめかざりを系統立てて紹介し、土地の作り手との交流や、しめかざりに込められた想いが溢れる一冊」と紹介。そして『しめかざり』も増刷します。こちらは第5刷!

◆森須磨子さんのnote連載「しめかざり探訪記」も好評です。最新は「[7]愛媛県松山市 記憶の中のしめかざり」

◆担当編集者・李によるnote連載「桃山鈴子 イモムシ本制作記」「vol.14 イモムシ、ひばりと出会う。『わたしはイモムシ』原画展が静岡のひばりブックスさんに出張 」

◆note連載「土星紀セレクション」更新中。最新は第20回 土星紀 0090(1990年3月発行)

【編集後記】
●11月下旬発売の『進化理論の構造』の前評判が高いです。『ワンダフル・ライフ』(早川書房)などヒット作が多いスティーブン・ジェイ・グールドの遺作にして「最高傑作」と言われる本が、翻訳の名手・渡辺政隆さんの手により原著刊行20年を経て刊行されるとあって、研究者や書店外商界隈で盛り上がっています。
●2巻本なのですが、当初は函入り・分売不可で進行していました。デズモンド+ムーアの『ダーウィン』(こちらも渡辺政隆さん訳の名著)のように。しかし、予想以上に函の制作費がかさみ、分売可の2巻本になりました。かえって一般読者にも手が届きやすくなったので、I巻だけでもどうぞ。ミラノ大聖堂の比喩が秀逸です。なお、上下ではなく、I・IIとしたのは編集者のこだわりだそうです。(岩下)