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2021年12月10日号
 
 

11月の新刊 1

進化理論の構造 I・II(全2巻)

■スティーブン・ジェイ・グールド/渡辺政隆=訳
■[I]A5判上製 808頁 定価 本体9000円+税
■[II]A5判上製 1120頁 定価 本体11000円+税
■2021年11月25日刊行(2冊同時発売)

グールドが20年の歳月をかけて書き上げた進化理論史の集大成。ダーウィニズムの長大な論証を経て、ダーウィン進化論の拡張を試みた大傑作。世界中のファンを今も魅了する洒脱にして重厚な文体が冴え渡るドラマティックなエピソードが満載。
I巻は、ゲーテ、ラマルク、ダーウィンから現代総合説までの[歴史篇]。II巻は、創造説との闘い、ドーキンスとの角逐、自身の断続平衡説をめぐる論争などを収めた[現代篇]。


●●●担当編集者より●●●
 本書がなんとか校了を迎えつつあるこの10月初旬、柳家小三治が亡くなった。小三治とグールド、どちらもマクラの名手である。もちろんグールドの遺著となる本書もまた、例外ではない。グールドの逝去は2002年の5月。同年末には、松井秀喜がニューヨーク・ヤンキースと契約している。現地新聞は「ゴジラがブロンクスにやってくる」と報じた。熱烈なヤンキース・ファンだったグールドならば、間違いなくゴジラ松井のエピソードを、エッセイのマクラに使ったと思う。別にベースボールや松井のファンではない当方としても、やはりグールドによる松井マクラは読んでみたかった。
 ともあれ、本書は原著刊行から20年近くかけてかたちになった。なにしろ2000ページである(原著も1600ページ)。訳者の渡辺政隆さんの苦闘には、脱帽するしかない。編集担当としては、最初の日本版読者の立場を存分に楽しませていただいた。編集者冥利とはこのことである。あとはもう、グールドが縦横無尽かつ精妙緻密に筆を進めた、進化理論の大河ドラマに浸る喜びを、一人でも多くの読者と共有したいと願うばかりである。(米澤 敬)

 
 

11月の新刊 2

変わり続ける! シブヤ系まちづくり

■渋谷未来デザイン=編・著
■A5判変型 224頁 定価 本体2000円+税
■2021年11月24日発売

渋谷ヒカリエ、渋谷スクランブルスクエア、MIYASHITA PARK…渋谷は今、百年に一度のダイナミックな変貌の途上にある。まちづくりのエキスパート41人が語る、未来の街をつくるヒント。

*MARUZEN & ジュンク堂書店渋谷店にて刊行記念フェア/パネル展を開催中。下の[お知らせ]をご覧ください。


●●●担当者より●●●
 創立50周年の工作舎は、1977年から2005年まで、渋谷を拠点とした。オブジェマガジン「遊」III期の頃、不夜城と噂された若い時代もどっぷり渋谷だった。山手通り沿いという渋谷区のはずれにあって、空が白み始めるころに昼間とは気配を異にするまちなかを駅に向かうこともあった。
 縁あって出版の機会に恵まれた本書では、TOD(駅まち一体開発)を展開する日建設計をはじめとするまちづくりの専門家や渋谷にゆかりの深い方々が語り合う。ならばあそこは、気になるあの「川?」についてはどうか。「地域の宝であり、課題でもあった渋谷川」の見出しを発見。課題すなわち「臭い、汚い、暗い」とあるので確信した、あそこは渋谷川なのだと。かつては童謡「春の小川」のモデルだったそう・・・。
 喧噪のなかに巣作りをして天敵から雛を護るというツバメのように、近くに鬱蒼とした林や森があるのにカラスもまた、なかなか寝静まらない街路樹にカラフルな巣作りをしたりする。生業の多様さ、たくましさに目を見張る、ここも渋谷。
 「変わり続ける」まちの一方で多くの不変に気づかされる。共生という普遍にも。 (田辺澄江)

 
 

近刊情報

留学生たちの母国とニッポン
70か国・地域からの80人にインタビュー

■久保田登輝子
■四六判変型 352頁 定価 本体2200円+税
■2021年12月21日刊行予定

ルワンダの義肢製作者、アフガニスタンの小麦研究者、スロバキアの書道愛好家など、70か国・地域からの留学生たち80人。横浜在住のひとりの主婦/日本語教師がおこなったインタビューから、彼らの目に映る日本が浮かび上がる。

 

お知らせ




MARUZEN & ジュンク堂書店渋谷店『変わり続ける! シブヤ系まちづくり』刊行記念フェア&パネル展

●MARUZEN & ジュンク堂書店渋谷店にて、『変わり続ける! シブヤ系まちづくり』刊行記念フェア&パネル展が、3カ所で大きく展開。

理工書 通路側平台では、本書のサンプルページのパネル9枚を展示。
理工書奥では『渋谷の秘密』(パルコ出版刊行)、『シブヤ遺産』(バジリコ刊行)など渋谷本から、NSRI選書、『新建築』バックナンバーなどまちづくり関連本のブックフェアと、大きめサイズのパネルで展開。
さらにレジ前にも平積みされ、ひときわ目を引きます。フェアは12月末まで。ぜひお出かけください。

●その他、マークシティの啓文堂書店渋谷店、スクランブル交差点前の大盛堂書店 入り口、紀伊國屋書店新宿本店8F理工書売り場でも展開中。

 



『しめかざり』の森須磨子さん情報

べにや民芸店「日本各地のしめ飾り展」にて、森さんが「一日店員」に!
2021年12月12日(日)13時〜19時 
しめかざりを見たい!買いたい!森さんと「しめトーク」したい!というかたはぜひお立ち寄りください。 店内では書籍『しめかざり』も販売し、サインも可能。
べにや民芸店
東京都目黒区駒場1-33-8-2F(駒場東大前駅)水曜定休

月刊誌「NHKラジオ深夜便」1月号(2021年12月18日発売)に、森須磨子さんが出演した「しめ飾りに魅せられて」(2021年1月1日放送)再録
「放送ベストセレクション特別企画」として、巻頭フルカラー7ページ、写真も10点以上掲載予定。

美の壺「新年を彩る お正月飾り」再放送
2022年1月3日(月)午前6:45〜7:14
NHK-BSプレミアム ※BS4Kでも同時放送(初回放送2018/12/21)

◆森須磨子さんのnote連載「しめかざり探訪記」も好評です。最新は[8]広島県庄原市東城町 「おっかけ」に会いたい

 



工作舎50周年フェア

工作舎50周年記念の「工作舎ベスト50 最後に残るのは本」フェアは、いよいよ12月末まで。多くの書店に参加していただきました。本当にありがとうございました。

【開催中】
大阪 ジュンク堂書店難波店  11月1日〜12月末
東京 ジュンク堂書店吉祥寺店  12月1日〜12月末

こちらには今まで開催してくださった書店のフェア写真を掲載しています。
オリジナル・トートバッグなどが当たるプレゼントの応募期限も12月末まで。ご応募お待ちしています。

kousakusha TOPICS

◆タイガー立石さんの作品集『ムーン・トラックス』を、ライムスター宇多丸さんのラジオ番組「アフター6ジャンクション」(TBSラジオ)にて、芸人にして漫画家のカラテカ矢部太郎さんが推薦してくださいました。また、日曜美術館での紹介で注文が殺到した『TRA』の第3刷もできました。

『異界への旅』ブックファースト新宿店のフェア「名著百選」に松岡正剛さん推薦。12月末まで開催。

◆女性科学者の先駆けにして地球化学者の先駆け、猿橋勝子さんの番組が放映されます。12月16日(木)22時〜NHK-BS《コズミックフロント》「地球科学者の先駆け 猿橋勝子」『ジェンダーは科学を変える!?』の訳者・小川眞里子さんも登場。

◆担当編集者・李によるnote連載「桃山鈴子 イモムシ本制作記」。最新はvol.15 「養老孟司×細見コレクション」で養老先生にお会いした

◆note連載「土星紀セレクション」更新中。最新は第21回 土星紀 0091(1990年5月発行)

【編集後記】
●2021年も残すところあとわずか。社内では1月の新刊『テルミンとわたし─かたちのない、音のかたちを求めて』の制作が佳境を迎えています。著者は、日本におけるテルミン演奏と普及活動の第一人者、竹内正実さん。
●竹内さんの前著『テルミン─エーテル音楽と20世紀ロシアを生きた男』(岳陽舎/2000年刊行)が出た頃、映画『テルミン』が話題となり、2007年には「大人の科学マガジン」テルミン特集号が20万部を超えるヒットに。このブームは竹内さん抜きに語れませんでした。
●あれから十数年。竹内さんが病に倒れ、障がいを抱えながらも演奏・普及活動に邁進されていることを本書で知りました。触れずに奏でるテルミンは、まさにバリアフリーな楽器。障がい者に広める竹内さんの記事が、朝日新聞デジタルをはじめメディアで次々と取り上げられています。詳しくは竹内さんのマンダリンエレクトロンをご覧ください。新刊は次号で詳細をお知らせします。

●さて、年末の営業は12月28日まで。年始は1月6日から営業します。少し早いですが、よいお年をお迎えください。(岩下)