■スティーブン・ジェイ・グールド/渡辺政隆=訳
■[I]A5判上製 808頁 定価 本体9000円+税
■[II]A5判上製 1120頁 定価 本体11000円+税
■2021年11月25日刊行(2冊同時発売)
グールドが20年の歳月をかけて書き上げた進化理論史の集大成。ダーウィニズムの長大な論証を経て、ダーウィン進化論の拡張を試みた大傑作。世界中のファンを今も魅了する洒脱にして重厚な文体が冴え渡るドラマティックなエピソードが満載。
I巻は、ゲーテ、ラマルク、ダーウィンから現代総合説までの[歴史篇]。II巻は、創造説との闘い、ドーキンスとの角逐、自身の断続平衡説をめぐる論争などを収めた[現代篇]。
●●●担当編集者より●●●
本書がなんとか校了を迎えつつあるこの10月初旬、柳家小三治が亡くなった。小三治とグールド、どちらもマクラの名手である。もちろんグールドの遺著となる本書もまた、例外ではない。グールドの逝去は2002年の5月。同年末には、松井秀喜がニューヨーク・ヤンキースと契約している。現地新聞は「ゴジラがブロンクスにやってくる」と報じた。熱烈なヤンキース・ファンだったグールドならば、間違いなくゴジラ松井のエピソードを、エッセイのマクラに使ったと思う。別にベースボールや松井のファンではない当方としても、やはりグールドによる松井マクラは読んでみたかった。
ともあれ、本書は原著刊行から20年近くかけてかたちになった。なにしろ2000ページである(原著も1600ページ)。訳者の渡辺政隆さんの苦闘には、脱帽するしかない。編集担当としては、最初の日本版読者の立場を存分に楽しませていただいた。編集者冥利とはこのことである。あとはもう、グールドが縦横無尽かつ精妙緻密に筆を進めた、進化理論の大河ドラマに浸る喜びを、一人でも多くの読者と共有したいと願うばかりである。(米澤 敬)