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2022年1月28日号
 
 

1月の新刊

テルミンとわたし
かたちのない、音のかたちを求めて

■竹内正実
■四六判変型上製 268頁(カラー8頁含む) 定価 本体2300円+税
■2022年1月24日刊行

触れずに奏でる世界初の電子楽器テルミン。日本での演奏・普及に努めてきた第一人者が四半世紀のあゆみを振り返る。発明者レフ・テルミンの足跡、自身を襲った脳卒中、障がいを抱えながらの世界記録挑戦、身体論・習得法なども盛り込んだ決定版。

*ジュンク堂書店池袋本店にて刊行記念フェアを開催中。下の[お知らせ]をご覧ください。

●●●担当編集者より●●●
竹内正実さんと出会って20年。最初の本『テルミン』(岳陽舎)に感銘を受け、取材したりコンサートに足を運んだりした。
 それから十数年たち、久しぶりに連絡をいただいたのが3年前。執筆中の文章が添えられていて、2016年のコンサート出演中に脳卒中を発症、現在は後遺症で右半身が麻痺されていることを知った。発症から緊急搬送、入院、診断、リハビリへと続く過程が克明に綴られている。鍵盤も指板もない、触れずに奏でる特別な楽器に再び向き合うための懸命な取り組み。これは竹内さんにしか書けない内容だと、本にまとめる決意をした。
 こうして少しずつ他の章を書き進めていただいたのだが、昨年になって、自ら開発したマトリョーシカ型テルミン「マトリョミン」が、自分のように障がいを負った人にも演奏できるバリアフリーな楽器だったことを改めて発見したとするテキストが送られてきた。思わずなるほどと膝を打った。だって片手で演奏できるわけだから。本書はこんなふうに一歩一歩可能性を切り拓いていく竹内さんに伴走して完成した。編集の醍醐味を味わえた一冊である。(石原剛一郎)

 
 

12月の新刊

留学生たちの母国とニッポン
70か国・地域からの80人にインタビュー

■久保田登輝子
■四六判変型 352頁 定価 本体2200円+税
■2021年12月21日刊行

ルワンダの義肢製作者、アフガニスタンの小麦研究者、スロバキアの書道愛好家など、70か国・地域からの留学生たち80人。横浜在住のひとりの主婦/日本語教師がおこなったインタビューから、彼らの目に映る日本が浮かび上がる。

●●●担当編集者より●●●
『留学生たちの母国とニッポン』は各国からきた留学生たちの人柄や、実際に暮らして感じた日本の印象を、彼ら自身の言葉で伝える。かつて日本語教師を務め、今も国際交流に心血をそそぐ著者がおこなった70か国・地域から来た総勢80人へのインタビュー。期間は2007年からコロナ禍の直前の2019年まで、12年間にも及ぶ。
 くつろいだ雰囲気の中で行われたインタビューの場で、留学生たちは自分が日本に興味を持った理由を話す。自分の生まれた土地のこと、残してきた家族のことを話す。そして彼らは自らの夢を明かしてくれる。ひとりひとりの言葉を通して、単に「留学生」と言ってひとまとめにしてしまえない、温かみのある人間の姿が立ち上がってくる。
 コロナ禍の現在、留学生たちの多くが、日本へ入国することができず苦境に陥っている。日本でのキャリアが白紙となり将来の見通しが立たなくなるなど、精神面や経済面での不安を深めている。留学生たちについて知ることを通して、彼らの苦境に思いを馳せて欲しい。本書がそのための一助となれば幸いである。(山田達士)

 
 

近刊情報

デカルトの生涯 校訂完訳版

■アドリアン・バイエ
■山田弘明+香川知晶+小沢明也+今井悠介=訳
■アニー・ビトボル =エスペリエス=緒論・注解
■A5判上製/函入 1296頁(2分冊/分売不可)
■定価 本体12000円+税/2022年2月28日刊行予定

近代哲学の祖デカルトの人と思想について、同時代に書かれた最も詳細で浩瀚な伝記。実生活の負の側面や17世紀の社会情勢までも緻密に描き、後世のデカルト解釈に影響を与えたことで知られる名著を、完全訳かつ校訂版として刊行。

 

お知らせ



『テルミンとわたし』と著者・竹内正実さん情報

ジュンク堂書店池袋本店9F芸術書売り場にて、『テルミンとわたし』刊行記念フェアが展開中。 POPや無料配布のリーフレットは、著者・竹内正実さんの動画にリンクするQRコードつき。ぜひスマホをかざしてサウンドを体験してください。書籍購入特典もあります。

ディスクユニオン各店舗とオンラインショップでも、特典つき『テルミンとわたし』を取り扱い中。この他特典は、恵文社一乗寺店、長野県小布施町の燕游舎・スワロー亭、浜松市のフェイヴァリットブックスLなど一部の店限定。また、著者竹内さんの会社「マンダリンエレクトロン」ショップでも購入可能。

●1月29日(土)NHK「おはよう日本」内の6時台コーナー「土曜の朝のショートストーリー」で、竹内さんの活動が放送されます。 1月12日にNHK名古屋、NHK静岡で放送されたニュースの短縮版。NHK静岡のニュースは、Webサイトに特集「障害を乗り越え演奏を」として掲載されています。

 



『変わり続ける! シブヤ系まちづくり』増刷出来

●発売以来好調な『変わり続ける! シブヤ系まちづくり』。年末から在庫が少なくなり、1月28日に増刷いたしました。一時期品切れとなりご迷惑をおかけしました。

●「現在進行形の再開発の内部を知ることができる」(「新建築1月号」評)、「渋谷のまちづくりの考えなどに思いを馳せながら歩くための渋谷の街のブックガイドでもある」(「建築技術2月号」評)と、書評が続きます。

MARUZEN & ジュンク堂書店渋谷店でのフェア&パネル展は、大好評のため、当初予定の12月末より延長され継続中。

kousakusha TOPICS

◆犬童一心監督による、田中泯さんのドキュメンタリー映画『名付けようのない踊り』がついに1月28日公開。青土社『ユリイカ』2月号でも「田中泯」特集。初エッセイ『僕はずっと裸だった』、写真集『田中泯 海やまのあひだ』好評発売中。

◆日本テレビ・ドラマ「二月の勝者」の12月18日放送の最終話で、ローレン・アイズリー『星投げびと』が重要シーンで取り上げられました。おかげさまで在庫がなくなり増刷中。2月20日頃にできます。

◆1月20日(木)21時〜NHK-BSプレミアムで放送されたザ・プロファイラー「電気の魔術師 ニコラ・テスラ」。 テスラ研究家の新戸雅章さんもご出演。新戸さんが絶賛する決定版伝記がチェニー著『テスラ—発明王エジソンを超えた偉才』、ロングセラーです。あわせてお読みください。

『メンター・チェーン—ノーベル賞科学者の師弟の絆』、週刊現代1月29日・2月5日号「リレー読書日記」にてご紹介いただきました。評者は脳科学者の毛内拡氏。

◆下北沢のダーウィンルーム恒例の「DARWIN DAY 2022」をオンライン開催。大著『進化理論の構造』の翻訳でも話題の渡辺政隆さんをメインホストに、向井万起男さんとの対談「スティーヴ・グールドという生き方」を2月12日に開催。13日は川端裕人さんとの「ドードーをめぐる尽きない話」。詳しくはこちら。

◆桃山鈴子さんの作品が、京都・細見美術館「虫めづる日本の美−養老孟司×細見コレクション」の特別展示コーナー「虫博士が贈る美しき虫の世界」に1月より展示。ミュージアムショップでは作品集『わたしはイモムシ』ほかzine、ポストカードなども販売。1月30日まで。

◆note連載「桃山鈴子 イモムシ本制作記」でも、「わたしのイモムシ、京都へゆく。細見美術館で展示絵日記 by 桃山鈴子」

◆note連載「土星紀セレクション」更新中。最新は第22回 土星紀 0092(1990年6月発行)

【編集後記】
●2021年12月末日をもって、工作舎50周年記念フェアが終了し、読者プレゼントの応募も締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。 1月に社内で抽選し、1月24日に当選した方々に発送しました。 外れてしまった方には申し訳ありません。何通もの熱いメッセージを添えて応募してくださった方が少なくなく、励みになりました。深く感謝申しあげます。
●記念フェアも一部地域でしか開催できませんでしたので、読者のための企画を設けたいと考えています。改めてお知らせいたしますので、しばらくお待ちください。(岩下)