■竹内正実
■四六判変型上製 268頁(カラー8頁含む) 定価 本体2300円+税
■2022年1月24日刊行
触れずに奏でる世界初の電子楽器テルミン。日本での演奏・普及に努めてきた第一人者が四半世紀のあゆみを振り返る。発明者レフ・テルミンの足跡、自身を襲った脳卒中、障がいを抱えながらの世界記録挑戦、身体論・習得法なども盛り込んだ決定版。
*ジュンク堂書店池袋本店にて刊行記念フェアを開催中。下の[お知らせ]をご覧ください。
●●●担当編集者より●●●
竹内正実さんと出会って20年。最初の本『テルミン』(岳陽舎)に感銘を受け、取材したりコンサートに足を運んだりした。
それから十数年たち、久しぶりに連絡をいただいたのが3年前。執筆中の文章が添えられていて、2016年のコンサート出演中に脳卒中を発症、現在は後遺症で右半身が麻痺されていることを知った。発症から緊急搬送、入院、診断、リハビリへと続く過程が克明に綴られている。鍵盤も指板もない、触れずに奏でる特別な楽器に再び向き合うための懸命な取り組み。これは竹内さんにしか書けない内容だと、本にまとめる決意をした。
こうして少しずつ他の章を書き進めていただいたのだが、昨年になって、自ら開発したマトリョーシカ型テルミン「マトリョミン」が、自分のように障がいを負った人にも演奏できるバリアフリーな楽器だったことを改めて発見したとするテキストが送られてきた。思わずなるほどと膝を打った。だって片手で演奏できるわけだから。本書はこんなふうに一歩一歩可能性を切り拓いていく竹内さんに伴走して完成した。編集の醍醐味を味わえた一冊である。(石原剛一郎)