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2022年3月4日号
 
 

2月の新刊

デカルトの生涯 校訂完訳版

■アドリアン・バイエ
■山田弘明+香川知晶+小沢明也+今井悠介=訳
■アニー・ビトボル =エスペリエス=緒論・注解
■A5判上製/函入 1306頁(2分冊/分売不可)
■定価 本体12000円+税/2022年2月28日刊行

近代哲学の祖デカルトの人と思想について、同時代に書かれた最も詳細で浩瀚な伝記。実生活の負の側面や17世紀の社会情勢までも緻密に描き、後世のデカルト解釈に影響を与えたことで知られる名著を、完全訳かつ校訂版として刊行。


●●●担当編集者より●●●
バイエの『デカルトの生涯』(1691)を意識したのは、日本ライプニッツ協会春大会(2018年3月31日、於:聖心女子大学)で、本書の翻訳に着手されていた山田弘明先生が「ライプニッツからみたバイエ『デカルト伝』」と題して発表されたおりのこと。
 力学や生命観でデカルトを批判したライプニッツですが、この大著を1/4に圧縮した要約版(1692)を読んでメモ(1693)を残し、「[デカルトの死後]彼を越えさえする偉大な人が輩出されたが、彼ほど広い視野をもち、透徹した深い洞察を併せもった人を私は知らない」と記していたというのです。
 邦訳されているのはこの要約版のみ(『デカルト伝』井沢義雄・井上庄七訳、講談社 1979)。当時はこの大著の版元になろうとは夢にも思っていませんでしたが、縁あってこのたび【校訂完訳版】の上梓の運びとなりました。
 デカルト自身の思想的遍歴やダンディな生き様はもちろん、ケプラーやガリレイ、ホイヘンス父子やパスカル父子、エリザベト王女やクリスティナ女王など、同時代の個性豊かな人びとの動向を時代背景とともに活写した比類なき一著です。(十川治江)

 
 

近刊情報1

公園が主役のまちづくり
パブリックスペースのつくり方・活かし方

■小川貴裕[NSRI(日建設計総合研究所)]
■A5判 152頁オールカラー 定価 本体2000円+税
■2022年3月下旬刊行予定

日常生活の新しいスタイルが模索される現在、公共空間=「パブリックスペース」の重要性が再認識されている。都市公園を中心とした、活気のある住み心地の良いまちづくりの取り組みについて、大阪・千里南公園や東京・池袋イケ・サンパークなどの実例を豊富に交えながらわかりやすく解説する。

 
 

近刊情報2

モナドから現存在へ
酒井潔教授退職記念献呈論集

■陶久明日香・長綱啓典・渡辺和典=編
■A5判上製 456頁 定価 本体4000円+税
■2022年3月下旬刊行予定

日本ライプニッツ協会の会長を務め、世界のライプニッツ研究を牽引した酒井潔教授のもとで、徹底した原典読解に基づく教えを受けた23名の学者・研究者たちによる退職記念献呈論文集。最終講義『ハイデッガーによるライプニッツ「二十四の命題」読解』完全収録。

 

お知らせ

紀伊國屋書店梅田本店「6社合同 良書発掘フェア」

●3月17日より2週間、紀伊國屋書店梅田本店にて「6社合同 良書発掘フェア」が開催予定。 みすず書房、平凡社、白水社、青土社、国書刊行会、そして工作舎という独創的な書籍を発行してきた出版社6社が、自信をもってお薦めする良書をセレクト。

●工作舎では、最新刊の『デカルトの生涯』から、僅少本の『ジオメトリック・アート』まで、300点600冊強を出荷し、大阪、いや西日本では久々の大規模展開。詳しくは、近々工作舎HPに掲載します。乞うご期待。

●期間 3/17(木)〜3/31(木)最終日は18時閉場
場所 紀伊國屋書店梅田本店 店内イベントコーナー

 



『星投げびと』増刷出来

●表題作が日本テレビ系ドラマ「二月の勝者」最終話の重要シーンで取り上げられ、おかげさまで在庫がなくなり2月20日に増刷いたしました。一時期品切れとなってしまい、ご迷惑をおかけしました。

●著者ローレン・アイズリーは、ソロー、エマソンの系譜をつぐナチュラリストにして、アメリカを代表するエッセイスト、詩人として知られています。自然との関わりの中で、自然-宇宙とのつながり、生命の本質を思索した傑作短編集。これから手に取る読み手によって、今まで現れることのなかった意味が見出されるかもしれない。刊行から時を経てなお、新たな読みの可能性を秘めた一冊です。ぜひご一読ください。

kousakusha TOPICS

『進化理論の構造 I・II』、2月25日発売の日経サイエンス4月号に、進化生物学者の三中信宏氏による書評が掲載されました。「…本書を手に取った読者には登攀を満願成就し、頂上からの雄大な眺めを満喫されんことを。グールドは今も生きている。」

『テルミンとわたし』、著者の竹内実さんが週間読書人2022.2.11号「著者から読者へ」に寄稿しています。全文が読書人WEBで公開されています。 ぜひお読みください。また、Tower Recordsフリーマガジンintoxicate(vol.156 2022.2.20発行)でもご紹介をいただきました。抜粋をこちらでご覧いただけます。

『異界への旅』、図書新聞2/26号に佐々木啓氏の書評が掲載されました。

『留学生たちの母国とニッポン』、お母さん業界新聞(発行:お母さん大学)2月号にてご紹介いただきました。さらに、タウンニュース横浜市戸塚区版2022年1月27日号に著者・久保田登輝子さんのインタビューが掲載されています。

◆前衛舞踏家・田中泯さんのドキュメンタリー映画『名付けようのない踊り』(監督・犬童一心)が全国で公開中です。唯一のエッセイ『僕はずっと裸だった』、写真集『田中泯 海やまのあひだ』好評発売中。

◆自動からくり人形作家「ムットーニ」こと武藤政彦さんの展覧会「ムットーニからくりシアター2〜魅惑のムットーニ劇場へようこそ!〜」が静岡県藤枝市郷土博物館・文学館にて開催中。作品集『ムットーニ・カフェ』もミュージアムショップにてご購入いただけます。3月27日まで。

◆note連載「桃山鈴子 イモムシ本制作記」、2月16日に更新されました。最新は、「私に描けるだろうか? いや、描くのだ! 猫の手も借りながら…細見美術館レポ完結篇 」

◆note連載「森須磨子 しめかざり探訪記」2月7日に更新されました。最新は「しめかざり探訪記[9]——佐賀県佐賀市  鼓の音のするほうへ 」

【編集後記】
●今月号よりこのメールニュースの編集を担当することになりました山田達士です。昨年までは書店に勤めていました。本が好きで、書店には暇さえあれば出かけています。先週の末、三省堂書店神保町本店に行きました。本社ビルの建て替えに伴い5月で一旦営業を終了する、という発表に衝撃を受けた方も多かったのではないかと思います。神保町の空気に馴染んだ建物と、店内の落ち着いた佇まい、さすがの豊富な品揃え…時間を忘れて店内を周遊しました。
●神保町といえばカレー、というわけで、お昼には隠れ家的名店の『ヒナタ屋』へ行きました。珍しい手動のエレベーターがある古い雑居ビルの4階の、大きな窓から明るい光の差し込むお店です。スパイスの風味を最大限に引き出したチキンカレーは後味までもが素晴らしく、食後に頼んだマサラチャイはほっとする味わいでした。店主の「ごゆっくりどうぞ」のひと言も嬉しいものでした。
●『ヒナタ屋』のほど近くの路地裏に、ポルトガル菓子のお店『ドース・イスピーガ』があります。砂糖と卵をふんだんに使った焼き菓子はどれもが非常に濃厚な甘さで。食べると口の中が幸せになります。コーヒーのお供、読書のお供に最適です。よかったらぜひ行ってみてください。【山田】