■アドリアン・バイエ
■山田弘明+香川知晶+小沢明也+今井悠介=訳
■アニー・ビトボル =エスペリエス=緒論・注解
■A5判上製/函入 1306頁(2分冊/分売不可)
■定価 本体12000円+税/2022年2月28日刊行
近代哲学の祖デカルトの人と思想について、同時代に書かれた最も詳細で浩瀚な伝記。実生活の負の側面や17世紀の社会情勢までも緻密に描き、後世のデカルト解釈に影響を与えたことで知られる名著を、完全訳かつ校訂版として刊行。
●●●担当編集者より●●●
バイエの『デカルトの生涯』(1691)を意識したのは、日本ライプニッツ協会春大会(2018年3月31日、於:聖心女子大学)で、本書の翻訳に着手されていた山田弘明先生が「ライプニッツからみたバイエ『デカルト伝』」と題して発表されたおりのこと。
力学や生命観でデカルトを批判したライプニッツですが、この大著を1/4に圧縮した要約版(1692)を読んでメモ(1693)を残し、「[デカルトの死後]彼を越えさえする偉大な人が輩出されたが、彼ほど広い視野をもち、透徹した深い洞察を併せもった人を私は知らない」と記していたというのです。
邦訳されているのはこの要約版のみ(『デカルト伝』井沢義雄・井上庄七訳、講談社 1979)。当時はこの大著の版元になろうとは夢にも思っていませんでしたが、縁あってこのたび【校訂完訳版】の上梓の運びとなりました。
デカルト自身の思想的遍歴やダンディな生き様はもちろん、ケプラーやガリレイ、ホイヘンス父子やパスカル父子、エリザベト王女やクリスティナ女王など、同時代の個性豊かな人びとの動向を時代背景とともに活写した比類なき一著です。(十川治江)