公園が主役のまちづくり
パブリックスペースのつくり方・活かし方
■小川貴裕[NSRI(日建設計総合研究所)]
■A5判 152頁オールカラー 定価 本体2000円+税
■2022年3月22日刊行
日常生活の新しいスタイルが模索される現在、公共空間=「パブリックスペース」の重要性が再認識されている。都市公園を中心とした、活気のある住み心地の良いまちづくりの取り組みについて、大阪・千里南公園や東京・池袋イケ・サンパークなどの実例を豊富に交えながらわかりやすく解説する。
●●●担当編集者より●●●
周辺住民の誰もが望む公共施設をつくるなど、当事者でなくとも、どれほど大変なことかと想像します。本書の著者は、まさにそうした官民の間で公共空間イノベーションに取り組む都市プランナーです。
話は少し飛びますが、あるとき著者の小川さんがマラソンランナーでもあることを知りました。聞けば、35歳で42.195㎞を完走して以来15年、毎年フルマラソンに挑んできたそうです。そんなベテラン市民ランナーにとっての公園とは、「渡り鳥たちの止まり木(樹)のよう」なのだとか。止まり木となりうる公園は、日本全国に11万箇所。シャワー設備があれば、朝のジョギングの汗を流して着替えて出社することもできます。おしゃれなカフェがあれば、走ることでリセットした心身に、しばしの休息を与えることもできるでしょう。しかし著者が一番に望むのは、幅広い年齢層の人々の楽しそうな声が交差する「にぎわいのある公園」です。
ここ数年のパンデミックにより、私たちのライフスタイルは変わりつつあります。新たな人とのつながりを見いだし、まちぐるみで暮らしを刷新することもできます。本書の官民連携による公共空間づくりのアプローチが、次への一歩を後押しするかもしれません。(田辺澄江)