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2022年9月2日号
 
 

8月の新刊

桂離宮のブルーノ・タウト
ドイツ・ロマン主義と禅の精神世界

■長谷川 章
■A5判上製 304頁 定価 本体3600円+税
■2022年8月24日刊行

桂離宮の美しさを世界に伝えた建築家ブルーノ・タウト。毛筆で一気に描き上げた二十六葉の『画帖桂離宮』を、ドイツ思想に造詣の深い著者が原文を丹念に読み解き、タウトが見出した 「関係性の美学」に迫る。

●●●担当編集者より●●●
京都にはよく出かける。コロナが流行してからも、年に4、5回は「上京」している。たいていは仕事なので、神社仏閣庭園史跡などに立ち寄る機会はあまりない。桂離宮も未見である。というか、桂が京都のどの辺りに位置するのかについても、最近まで意識したことがなかった。ブルーノ・タウトに対しても似たようなものだ。むしろ坂口安吾のタウト批判を、安吾に肩入れして読んだクチである。それでいて、桂もタウトもずっと気になる存在ではあった。長谷川章さんのこの本を編集できて、ようやく桂とタウトに少しは正面から向き合えたように思う。タウト本人の案内で、その思索を追想しつつ、桂の庭をそぞろ歩くうちに、桂離宮の「結構」が体に入ってきた。またドイツ・ロマン主義が対置されることで、日本文化へのタウトの眼差しを鮮明に感じられた。もしかすると、桂離宮がイマジネーションに彩られたどこにもない「架空の庭園」になってしまったかもしれない。それはそれで魅力的なのだが、だからこそ尚更、いま実際に桂を訪れるべきかどうか、迷っている。(米澤敬)

 
 

近刊情報

科学史から消された女性たち 改訂新版
アカデミー下の知と創造性

■ロンダ・シービンガー
■小川眞里子+藤岡伸子+家田貴子=訳
■A5判上製 416頁 定価 本体3800円+税
■2022年9月16日発売予定

自然哲学者キャヴェンディッシュ、物理学者デュ・シャトレ、昆虫学者メリアン…。アカデミーから排除されながらも、後世に残る仕事を残した才気あふれる女性科学者たちに光を当て、科学の価値中立神話をジェンダーの視点から突き崩した記念碑的書。

●著者のロンダ・シービンガーさんは、「ジェンダード・イノベーション」の創始者として知られるスタンフォード大学教授。9月にシービンガーさんのオンライン講演が相次いで開催されます。
・9/7(水)10:00〜12:30 お茶の水女子大学 国際カンファレンス「ジェンダード・イノベーションが拓く未来」
・9/10(土)13:00〜16:00 東海ジェンダー研究所 国際講演会 2022「ジェンダード・イノベーション」

●前回8月の新刊としてお知らせしましたが、進行が遅れてしまい申し訳ありません。ようやく書影をお知らせできます。*twitterで大反響!

 
 

近刊情報 2

てづくりノート
手芸デザイン60年

■小倉ゆき子
■A4判変型 172頁(オールカラー) 定価 本体3200円+税
■2022年9月下旬発売予定

レイジーデイジーステッチの4枚の花びらの小さな花の刺しゅうからはじまった、手芸デザイナー・小倉ゆき子の60年にわたる活動と作品の記録。時代とともに変化した、手芸の楽しみを伝えるビジュアルブック。

 

お知らせ

追悼・ラヴロック博士

●「ガイア理論」のジェームズ・ラヴロック博士が7月26日に亡くなられました。この日が103歳の誕生日でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。

●「ガイア仮説」を世に問うた記念すべき第1作 『地球生命圏—ガイアの科学』は増刷を重ねて現在は品切れとなりましたが、『ガイアの時代—地球生命圏の進化』は好評発売中。地球温暖化がますます深刻になる現在、必読書です。

 

kousakusha TOPICS

◆世界で25万部売れた「大人の科学マガジン テルミンmini」が9/1に復刻され、『テルミンとわたし』の竹内正実さんの記事掲載。またNHK大河「鎌倉殿の13人」の紀行で、7/17より竹内さんのテルミン演奏が流れています。NHK静岡で放送された「「大河ドラマ」ゆかりの地をめぐる演奏に秘められた思い」はこちら

◆8/6 日本経済新聞「リーダーの本棚」で大栗博司氏(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構長)が、愛読書として『無限の天才』紹介。「インドの天才数学者ラマヌジャンの伝記。学生のときに彼の未発表の数式を知り、博士論文のアイデアにつながった」

◆『月刊ムー』2022年8月号で星野太朗氏による『ヴァンパイアと屍体』の書評が掲載されています。「ヴァンパイア愛好家にとっては、たまらない一冊」

◆図書新聞8/13号にて津崎良典氏による『デカルトの生涯』書評が大きく掲載。「伝記の可能性と不可能性を極限まで追究した比類なき書」と。半5段広告も出しました。

『公園が主役のまちづくり』が3月の発売以来大好評! 早くも7月に増刷出来。日経アーキテクチュアでの著者インタビュー、「公園緑地」、「公園文化WEB」など専門家向けのメディアでの書評が続いています。

◆note連載「わたしの仕事と工作舎の本」。第2回「映画研究者/批評家 北村匡平さんが出逢った高山宏 『表象の芸術工学』」の「スキ」の数がぐんぐん伸びています。ぜひお読みください。

【編集後記】
●神保町ブックフェスティバルが3年ぶりに、10/29(土)・30(日)に開催されます。新型コロナの感染予防対策のためワゴンは限定100台程度、飲食の出店なし、状況によっては開催中止の可能性もあるそうですが、工作舎も出店申し込みをしました。お楽しみに! (岩下)