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2022年10月7日号
 
 

9月の新刊 1

科学史から消された女性たち 改訂新版
アカデミー下の知と創造性

■ロンダ・シービンガー
■小川眞里子+藤岡伸子+家田貴子=訳
■A5判上製 416頁 定価 本体3800円+税
■2022年9月16日発売

自然哲学者キャヴェンディッシュ、物理学者デュ・シャトレ、昆虫学者メリアン…。アカデミーから排除されながらも、後世に残る仕事を残した才気あふれる女性科学者たちに光を当て、科学の価値中立神話をジェンダーの視点から突き崩した記念碑的書。

●●●担当編集者より●●●
科学にひそむジェンダーバイアスを明らかにした名著が、このたび訳文、図版、レイアウト、邦訳文献をヴァージョンアップして、30年ぶりに蘇りました。
デザイナー佐藤ちひろと編集長米澤敬が高画質の画像データを求めてネット探索を続ける過程では、虫めずる博物画家マリア・シビラ・メリアンの晩年の肖像とされた図版が、別人(Ester Barbar von Sandrart)のものであることも判明し、本人の最晩年の肖像に入れ替えることができました。
表紙はこのメリアンの肖像。初版表紙のエミリ・デュ・シャトレ夫人の美貌には遠く及びませんが、最晩年までわが道を歩み続けた女性の満ち足りた表情が、長寿時代のロール・モデルとして後に続こうとする者たちを勇気づけてくれます。
帯に「知性に性の区別なし?」と掲げたところ、もはや当たり前のことなので「?」は取って欲しいとのSNS上の反応がありました。初版時に比べて頼もしい限りですが、その事実が社会や組織に反映されているかといえば、「道遠し」といったところが現実。情けない日本の実情を変えていく底力を養うためにもお薦めの一著です。 (十川治江)

 
 

9月の新刊 2

てづくりノート
手芸デザイン60年

■小倉ゆき子
■A4判変型 172頁(オールカラー) 定価 本体3200円+税
■2022年9月26日発売

レイジーデイジーステッチの4枚の花びらの小さな花の刺しゅうからはじまった、手芸デザイナー・小倉ゆき子の60年にわたる活動と作品の記録。時代とともに変化した、手芸の楽しみを伝えるビジュアルブック。

●●●担当編集者より●●●
BSカードって何? スモッキング? レイジーデイジーステッチ!? 世代にもよりますが、意外と知らない手芸技法の名称。染めと刺しゅうを組み合わせた「ダイ・ステッチワーク」は、考案した小倉ゆき子さん自身が名付け親です。
本書は、東京オリンピックの1964年から、2020年の東京オリンピックまでという計画で着手したのですが、時の流れは予期せぬ展開へ。「ひと針ひと針、疫病退散を祈りながら」の“あまびえ”刺しゅうによる締めくくりとなりました。
手芸デザイナー60年のキャリアを支えるのは、好奇心と探究心と行動力です。イギリスの刺繍の本との出会いの感動を自らの作品に込め、フランス人作家とのコラボのためにフランス語を習得、東アジアのいくつもの都市で講師もしました。Facebookで毎日15分ずつの新たな試みも発信中。そこにいるのは、きまって和服姿のいつものゆき子先生です。 (田辺澄江)

 
 

近刊情報

ゾンビと資本主義
主体/ネオリベ/人種/ジェンダーを超えて

■遠藤 徹
■四六判上製 356頁 定価 本体2500円+税
■2022年10月下旬発売予定

19世紀のハイチに「生ける死者」として現れ、ホラー映画の主役となったゾンビ。資本主義や社会問題と結びついたゾンビ表象を、現代思想の手法で読み解く。

*noteにて本文一部公開中

 

お知らせ

10/29(土)・30(日) 神保町ブックフェスティバル

神保町ブックフェスティバルが3年ぶりに開催されます。すずらん通りで出版社らによるワゴンセール「本の得々市」が開かれ、工作舎も出店します。今までと異なり今年は、飲食店の出店はなく、出版社のワゴンも間隔をあけて130社ほどが参加。

◆工作舎では限定特別価格でさまざまな本を準備中。毎年好評な紙型も用意できるか!? 工作舎ワゴンの場所は、インド料理のサンガム神保町店の前あたり。道路をはさんで湘南堂書店もあります。いつもと反対側ですのでご注意ください。感染症対策もお忘れなく。

◆開催日時:2022年10月29日(土)・30(日)10〜18時

 

kousakusha TOPICS

◆7月の増刷後も好調な『公園が主役のまちづくり—パブリックスペースのつくり方・活かし方』の電子書籍をはじめました。一般読者のみなさまが購入できる、Amazon Kindle、紀伊國屋書店 Kinoppy、honto、楽天Koboなど9書店で販売中。ためし読みもできます。

『蟲虫双紙』の福井栄一さん講演のお知らせ。2022年10月23日(日)13:30より、一般財団法人 山本清記念財団 文化講演「蝶の不思議:生態と文化誌」。会場は西宮市民会館。先着 50名様(ご予約不要・入場無料)。蝶のユニークな生態と多彩な文化誌を楽しくご紹介します。

◆アロマテラピーと自然療法の専門誌「aromatopia(アロマトピア)」9月号の特集「植物の言葉を読み取る」で、認定ヒルデガルトヘルスケアアドバイザーの長谷川弘江さんが『植物の神秘生活』をご紹介くださいました。また、フラワーエッセンス研究家の東昭史さんがパラケルススの『奇蹟の医の糧』を「特徴表示説と言えばパラケルススがまず浮かぶ」とおすすめの一冊に推薦してくださいました。

◆note連載「わたしの仕事と工作舎の本」。第3回「社会学者 松村一志さんが読む『英国心霊主義の抬頭』」

【編集後記】
●10月の新刊として準備していた『京味の西さん』が急遽、諸般の事情で発売見合わせになりました。このメールニュースではお知らせしていませんでしたが、ホームページやSNSを見ていた方、期待されていた方、申し訳ありません。いまだ流動的で対応に追われています。 (岩下)