科学史から消された女性たち 改訂新版
アカデミー下の知と創造性
■ロンダ・シービンガー
■小川眞里子+藤岡伸子+家田貴子=訳
■A5判上製 416頁 定価 本体3800円+税
■2022年9月16日発売
自然哲学者キャヴェンディッシュ、物理学者デュ・シャトレ、昆虫学者メリアン…。アカデミーから排除されながらも、後世に残る仕事を残した才気あふれる女性科学者たちに光を当て、科学の価値中立神話をジェンダーの視点から突き崩した記念碑的書。
●●●担当編集者より●●●
科学にひそむジェンダーバイアスを明らかにした名著が、このたび訳文、図版、レイアウト、邦訳文献をヴァージョンアップして、30年ぶりに蘇りました。
デザイナー佐藤ちひろと編集長米澤敬が高画質の画像データを求めてネット探索を続ける過程では、虫めずる博物画家マリア・シビラ・メリアンの晩年の肖像とされた図版が、別人(Ester Barbar von Sandrart)のものであることも判明し、本人の最晩年の肖像に入れ替えることができました。
表紙はこのメリアンの肖像。初版表紙のエミリ・デュ・シャトレ夫人の美貌には遠く及びませんが、最晩年までわが道を歩み続けた女性の満ち足りた表情が、長寿時代のロール・モデルとして後に続こうとする者たちを勇気づけてくれます。
帯に「知性に性の区別なし?」と掲げたところ、もはや当たり前のことなので「?」は取って欲しいとのSNS上の反応がありました。初版時に比べて頼もしい限りですが、その事実が社会や組織に反映されているかといえば、「道遠し」といったところが現実。情けない日本の実情を変えていく底力を養うためにもお薦めの一著です。
(十川治江)