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2022年11月8日号
 
 

10月の新刊

ゾンビと資本主義
主体/ネオリベ/人種/ジェンダーを超えて

■遠藤 徹
■四六判上製 356頁 定価 本体2500円+税
■2022年10月24日発売

19世紀のハイチに「生ける死者」として現れ、ホラー映画の主役となったゾンビ。資本主義や社会問題と結びついたゾンビ表象を、現代思想の手法で読み解く。

●●●担当編集者より●●●
「犬人怪物」「ヴァンパイア」「狼女」と、時を隔てて細々と刊行を続けてきた工作舎の「西洋化身シリーズ」(筆者による勝手な命名です)に、「ゾンビ」がついに仲間入りを果たした。先輩たちに負けず劣らず、なかなか一筋縄ではいかない新人だ。表象としては「悪を映し出す鏡」にもなれば、従属と抵抗が無限ループ化する「合わせ鏡」にもなったりする。常に揺れ動き、ひとつのところにとどまることはない。本書をいち早くお読みくださった、詩人で『機関精神史』発行人のお一人、高山えい子さんは「ゾンビはマニエリストだ」と看破された。
現在、ゾンビをテーマにした書籍は膨大な数に上り、一大ジャンルが形成されている。本書のテーマと重なる評論本もいくつかある。そうしたなかで本書ならではの魅力のひとつを挙げるとすれば、読者をぐいぐいと引き込む独特のグルーヴをもった書きぶりだ。著者の遠藤徹さんは「日本ホラー小説大賞」を受賞した小説家でもある。読者にさまざまな情動を喚起させるレトリックはお手の物といえよう。ぜひご体感いただきたい。(石原剛一郎)

*下の「お知らせ」にイベント情報あります
 
 

近刊情報1

本が湧きだす
杉浦康平デザインの言葉

■杉浦康平
■A5判変型 320頁(カラー48頁含) 定価 本体3200円+税
■2022年11月上旬発売予定

「一」冊の本を開けば左右の「二」。パラパラとめくれば「多」。閉じれば即座に「一」に戻る。「一即二即多即一」となる本の形態の絶妙。ブックデザインをテーマに、戦後の日本グラフィックデザインを牽引した杉浦康平の言葉を集成。松岡正剛、鈴木一誌・戸田ツトム等の対話も収録。

 
 

近刊情報2

十二支外伝
スーパー アニマル ミステリー ツアー

■福井栄一平
■B6判変型/丸フランス装 定価 本体2400円+税
■2022年11月下旬発売予定

十二支ばかりがなぜ偉い。猫や狐に鯨、はたまた獅子や人魚まで、十二支になれなかった動物たちの怪異譚を収集。波乱万丈、奇妙奇天烈、夢の舞台の幕が開く。

 

お知らせ

『ゾンビと資本主義』刊行記念対談

同志社大学生協 11月16日(水)
 著者の遠藤徹さんと『ゾンビ学』の岡本健さんとのトークイベント開催! 17:30より対面とオンラインのハイブリッド方式、参加無料、お申し込みは同志社大学生協へ。

週刊読書人10月21日号
 遠藤徹さんと『新世紀ゾンビ論』の藤田直哉さんの巻頭対談
:ゾンビで社会は変わりうるか
「…ゾンビは不可知の存在であるところにその可能性の中心がある。生死は二項対立的思考の中でも究極のものなので、それをまたいでしまうゾンビは、不可能な存在である。そして、そうであるがゆえに、不可能を可能にする力を帯びうるという逆説が成り立つように思うのです。」

 

書評

『科学史から消された女性たち 改訂新版』 10月29日 毎日新聞 内田麻理香さん評

「生物学的説明とは異なる形で、女性の科学者が少ない要因を探る。…初版は1992年で今回、改訂新版が出版されたわけだが、著者の洞察は今こそ共有されるべき輝きを放っている。…」

 

kousakusha TOPICS

◆神保町の書泉グランデ4Fにて、「工作舎在庫僅少本フェア」が12月31日まで開催中。パラケルスス『奇蹟の医書』、ゴドウィン『星界の音楽』など、魔術、オカルト、その他人文書の、入手が難しい貴重な書籍が揃います。お早めにお出かけください。

◆イシス編集学校にて工作舎とのコラボ企画【工作舎×多読ジム】。メーテルリンク『ガラス蜘蛛』、福井栄一『蟲虫双紙』、桃山鈴子『わたしはイモムシ』をキーブックに、三冊の本をつないでエッセイを書くという企画に9人が挑戦。第一弾はこちらから。

◆森須磨子さんnote連載『しめかざり探訪記。第12回福島県耶麻郡「会津民俗館」——会津民俗館で藁の民具を探訪する

【編集後記】
●10月29日・30日の神保町ブックフェスティバルは3年ぶりの開催とあって、大盛況でした。多くのお客様にお越しいただき、ありがたかったです。特に束見本の「イマジナリークラシクス」や、活版印刷の名残りの「紙型」、タイガー立石バッジなど、オリジナル商品が大人気で売り切れに! 来年またお会いしましょう。 (岩下)