Facebook icon Twitter icon Forward icon
2023年3月24日号
 
 

3月の新刊

キルヒャーの世界図鑑 新装版
よみがえる普遍の夢

■ジョスリン・ゴドウィン/川島昭夫=訳
■澁澤龍彦・中野美代子・荒俣宏=解説
■A5判変型上製 344頁 定価 本体3200円+税
■2023年3月22日発売

キルヒャーの膨大な業績は、澁澤龍彦らに影響を与え、U・エーコに「全著作を所有するためならば全てを投げ打つ覚悟がある」とまで言われた。キルヒャーの奇怪な図像から、奔放な想像力の世界を再生したロングセラー。1986年の邦訳初版から、40年弱の時を経て図像を全面リマスター&20ページ増補!!

●●●担当編集者より●●●
アタナシウス・キルヒャーの名をどこで知ったのかについては、全く覚えがない。いつの間にか、ヨーロッパ文化史中いちばん気になる存在になっていた。何といってもその著作の図像群が不可解、かつ不可思議だ。イエズス会士でもある当人は、おそらく大真面目だったのだろうが、どこかが突拍子もなくズレている。世界の調和をテーマにした『普遍音楽』(工作舎刊)を一読していただければ、その記述内容もかなり奇妙であることに気づくはず。ナマケモノの歌やタランチュラの踊りやハメルンの笛吹きなど、あまり本筋とは関係ないエピソードの目白押しなのである。もちろん本書の眼目となる『シナ図説』や『バベルの塔』や『地下世界』などは、図像を眺めているだけで、頭はクラクラ、心はワクワクしてくる。近代の目から見れば学問的には特に大きな業績を残しているわけではないものの、F・イエイツやR・カイヨワがキルヒャーの虜になったのも充分に納得できる。今回の改定版では、ほぼ全図像をリマスターすることができた。以前の版では見えなかった細部にまで、目が届くようになったはずだ。読者諸兄諸姉の想像力の翼が、よりいっそうダイナミックに羽ばたくことになれば、幸い至極である。(米澤 敬)

*購入特典のキルヒャー・ポストカードをつくりました。入手できる書店リストはこちら。
 
 

近刊情報

本草奇説
もの言わぬ植物たちも夢をみる

■福井栄一
■B6判変型/丸フランス装 176頁 定価 本体1800円+税
■2023年4月下旬発売予定

邪を避ける桃、人をうむ竹、死者を引きとめる梅。草や花や木にまつわる、不思議で奇妙で滑稽な怪奇譚。竹取物語や古事記から、あまり知られていない説話まで45の短編が大集合。

 

お知らせ

紀伊國屋書店梅田本店「8社合同 良書発掘フェア」

◆3月16日〜4月5日まで、紀伊國屋書店梅田本店にて「8社合同 良書発掘フェア」開催。みすず書房、平凡社、白水社、青土社、国書刊行会、作品社、晶文社、そして工作舎の8社のお薦め良書約4000点が集結します!

◆工作舎では、鈍器本から僅少本まで、ほぼ全点約400冊を出荷。最新刊の『キルヒャーの世界図鑑 新装版』も特典つきで販売。貴重書籍が並ぶ展示コーナーには、伝説の『全宇宙誌』と『遊 創刊号』を出品。ご覧いただくだけでも楽しめますので、ぜひお出かけください。詳細はこちら。

 

kousakusha TOPICS

◆町田市立国際版画美術館にて開催中の「自然という書物」展では、キルヒャーの「地下世界」「シナ図説」なども展示。その縁で『キルヒャーの世界図鑑 新装版』も特典つきで販売。また、4月1日に『ルネサンス・バロックのブックガイド』の監修者ヒロ・ヒライさん、橋本麻里さん、山本貴光さん、藤村拓也さんによるスペシャルトーク「BHチャンネル×版美—YouTube生配信!!」、5月13日には同書執筆者の桑木野幸司さんの記念講演会も。

◆愛知県知立市の正文館書店知立八ツ田店にて3月から「夢の工作舎フェア」開催中。 ご担当者がまさしく夢の中で本棚に工作舎の本が並んでいるのを見て、思いついたフェアだとのこと。『周期律』『ビュフォンの博物誌』など科学系の書籍約50冊が展開。4月下旬まで。

『生きねばや』2月14日 群馬県「上毛新聞」、2月23日 鳥取県「日本海新聞」で紹介。詳細はこちら

『桂離宮のブルーノ・タウト』、3月18日付 図書新聞にて赤木良子氏書評。「ブルーノ・タウト『アルプス建築』と『画帖桂離宮』を繋ぐもの  本書を通して、『画帖桂離宮』が単なるスケッチ集ではなく、 タウト自身のいう“建築理論書”であることが、初めて明らかにされる」と。

◆note連載「桃山鈴子 イモムシ本制作記」更新。「イモムシの○○○は十虫十色! 桃山鈴子2023新作展のお知らせ」

【編集後記】
●紀伊國屋書店梅田本店にて開催中の「8社合同 良書発掘フェア」に掲示した社史パネル「工作舎略譜」。1971年4月の準備室から始まる、50余年の歴史をA3横2枚分のパネルに詰め込みました。主だった書籍以外にも、工作舎のロゴ(三角形のメビウスの環の土星)が祖父江慎さんのデザインだったこと、奥付などに記すコーポレートメッセージ"editorial corporation for human becoming"の由来も記載。ともに1983年から今に続きます。(岩下)