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2023年6月20日号
 
 

6月の新刊

鳥禽秘抄
天空より舞い降りるのは天使か悪魔か

■福井栄一
■B6判変型/丸フランス装 248頁 定価 本体2100円+税
■2023年6月16日発売

羽ばたく鳥は常世の理に囚われない。トンビが龍を連れ去り、青菜がスズメになり、山野のクジャクは齢100を超える。人を惑わし、恩に報いり、未来を告げ、風の向くまま羽を広げる。十二支から始まった奇譚集、跡を濁さず一旦完結。

●●●担当編集者より●●●
朝早く、家の近所の善福寺川沿いを散歩していたら、いきなりハシブトガラスに体当たりされた。何か気に障ることをしてしまったのだろう。以後、気をつけます。逃げるように少し歩いて山桜の小さな黒い「サクランボ」をつまむと、今度は野生化したワカケホンセイインコの集団が騒ぎ出した。また毎年夏になると、深夜、東京23区の内だというのに、どこからかアオバズク(多分)の鳴き声が聞こえてくる。そういう鳥たちの常にない(と思われる)振る舞いに接すると、ついつい何事かの予兆ではないかとか、人間には感知できない変事が今まさに起きているのではないかとか、思ってしまう。昔の人が鳥を魂の乗り物と考えたのも、なんとなく合点がいく。小さな隣人だと思い込んでいるスズメやウグイスやツバメにしてからが、我々は彼らのことを、実はほとんど何も知らないのである。それでいて彼らは、人間の愚行や痴態のあれやこれやを、空の上から見通しているような気がする。福井栄一さんの古典語りシリーズも、ひとまず「鳥」で大団円を迎えることになったが、これもまた、読むほどに妖しく、読むほどにヒトであることを恥じ入らせる一冊なのである。(米澤 敬)

 
 

近刊情報

栄養こそが最高の医療である

■三島 渉
■四六判 216頁 定価 本体1500円+税
■2023年7月19日発売予定

肥満、便秘や下痢、皮膚トラブル、頭痛、食欲不振、疲れやすい、眠れない、朝起きられない、イライラしやすい、ぜんそく、とまらない咳、アレルギー、手足の冷え……これらの問題を「栄養」で改善する。健康のために何を食べるか、何を食べないか。慢性的な不調に悩む人をよりよい選択へ導く栄養マネジメント本。

 

お知らせ

ジュンク堂書店池袋本店で『キルヒャーの世界図鑑 新装版』パネル展開催中

『キルヒャーの世界図鑑 新装版』 から選り抜かれた図像14枚が、ジュンク堂書店池袋本店4F人文コーナーの壁に展示されています。リマスターされ、綺麗になった奇々怪界な図版たちをA3パネルでご覧ください。また、本書をご購入いただくと、ポストカード1枚の特典付き。加えて5種類のポストカードも販売いたします。

 

杉浦康平本が続々刊行中

◆卒寿記念の 『本が湧きだす』 に続くように、『杉浦康平と写植の時代』(阿部卓也著、慶應義塾大学出版会)が刊行され、話題になっています。5月には、『杉浦康平のアジアンデザイン』(新宿書房/港の人)も刊行。杉浦康平さんの関連書が集っています。

 

kousakusha TOPICS

◆2023年5月〜7月まで、紀伊國屋書店ニューヨーク本店にて、イモムシ画家の桃山鈴子さんの作品たちが展示中。作品集 『わたしはイモムシ』 (工作舎)、絵本『へんしん すがたをかえるイモムシ』(福音館書店)、そして美しいカラスアゲハのイモムシの原画で鮮やかに彩られています。詳しくは こちら。

◆荒波力著 『生きねばや』 が、月刊「俳句界6月号」、静岡新聞コラム「大自在」、6/1の「点字毎日 第1267号(点字版5142号対応)」で紹介されました。「俳句界」の名取里美さんの書評では、「化石俳句を生んだ化石の精神に近づいたことが、本書の真骨頂でもあるのだ」と評されています。 
また、6/27まで静岡のギャラリーやませきで 「魂の俳人 村越化石生誕100年記念展」 開催。

◆ 「現代思想 6月号 —特集 無知学/アグノトロジーとは何かー」では、アグノトロジーを提唱した一人であるロンダ・シービンガーが、非知の価値を見出す重要な役割を果たしていることが語られています。シービンガー訳者の小川眞里子さん、弓削尚子さんも寄稿されています。「無知としての道徳と自由」(大橋完太郎さん)の寄稿では、 『女性を弄ぶ博物学』 が取り上げられ、 『ビュフォンの博物誌』 を中心に論じられています。 また、表4には、シービンガーの 『科学史から消された女性たち』 『女性を弄ぶ博物学』 『ジェンダーは科学を変える!?』 『植物と帝国』 の広告を出しました。

【編集後記】
●「GW中に海外旅行に行こう!」と野望を募らせていましたが、2週間前での思いつき、かつ貯金も2036円しかなかったため、泣く泣く断念しました。無計画さで実行できなかっため、旅行欲だけが高ぶってしまい、旅行気分に少しでも浸り、旅行欲をなくすために『80日間世界一周』(ジュール・ヴェルヌ)を読みました。
ジュール・ヴェルヌのファンだったこともあり、主人公の計画性と、駆け足すぎる世界旅行の物語に、引きこまれました。工作舎では 『ジュール・ヴェルヌの暗号』 (ミシェル・ラミ)も刊行しているので、そちらも絶対に飛行機の中で読みたいと思います。【田波】