■四方田 犬彦
■四六判上製 380頁 定価 本体2800円+税
■2023年10月24日発売
なぜ知らない料理を食べたいと思うのか。「食べる」とは生理的な行為だけではなく、歴史がつくりあげてきた体験であり、料理のなかには「見えない政治」が働いていることを浮き彫りにする痛快無比の料理論集。
●●●担当編集者より●●●
『親鸞への接近』
執筆中の2015年のことだった。書き出すと早い四方田さんだが、この本には難渋し、何度も書き直す章もあった。そんな張り詰めた状況を和らげるべく、「先だってのご自宅パーティーでのお手製サラダが美味しかったです」とメールしたところ、即座にそれがお母さま直伝の「ロシア・サラダ」で、ただなぜ「ロシア」なのかはわからないとご返事があった。それをきっかけに料理をめぐるやりとりになり、勢いあまって「四方田犬彦のレシピ集ってどうですか」と返信したことから本書の企画が始まった。その後、親鸞論、
『女王の肖像』
、そして大作『パゾリーニ』(作品社刊)など計19冊を経て、本書は完成した。「四方田さんはなぜこんなに本を書けるのか」と、しばしば聞かれるが、その答えは明確で、常に5年先を見据えて企画を立て、日々執筆を続けているからだ。執筆の合間に余念がないのが、台所に立つこと。「台所こそがわが領土、わが王国」なのである。本書では、そんな生活の一端もうかがえる。例の「ロシア・サラダ」も気になるところだろう。大丈夫、ちゃんとレシピを公開していただいたので、ぜひ手に取っていただきたい。(石原剛一郎)
●●●刊行イベントのお知らせ●●●
11月4日(土)に、四方田犬彦
『サレ・エ・ペペ 塩と胡椒』
の出版記念に、特別講座と出版サイン会
『映画と食の政治学』
をシネマハウス大塚で開催します。通常のプログラムに加えて、パレスチナの情勢を鑑み「パレスチナの詩人ダルウィーシュを朗読する」も、講座に加わります。詳細は
こちら。