■J・ラヴロック
■星川 淳=訳
■四六判上製 304頁 定価 本体2500円+税
■2023年11月21日発売
NASAの宇宙計画に参画した著者は、「生きている地球」を目撃した宇宙飛行士たちの感慨を、大気分析、海洋分析、システム工学などを駆使して実証科学に置き換え、「ガイア仮説」を打ち出した。環境問題の盲点を洗い出したシステム論的地球像の金字塔。待望の新装復刊。
●●●担当編集者より●●●
カプラの処女作
『タオ自然学』
(1979)と同じく今なお鮮烈なインパクトを放つラヴロックの処女作
『地球生命圏』
(1984)がこのたび新たな装いでよみがえりました。
初版刊行時には、原題“GAIA”は魅力的なコンセプトながら一般には知られておらず、そのまま日本語版のタイトルにしても何の本か見当がつきかねるだろうということで、副題を「ガイアの科学」としたことを思い出すと、隔世の感にたえません。
この8月に邦訳が出たB・ラトゥール『ガイアに向き合う』などをはじめ、今や「ガイア」はラヴロック以外の著者の本のタイトルやシリーズ名としてはもちろん、映画やテレビ、アニメやゲーム、企業名などに幅広く使われるようになりました。
ラヴロックは、100歳にして新著『ノヴァセン』を上梓するなど、103歳の誕生日に他界するまで、独立独歩の科学者としての道を貫きました。初版時は32歳だった訳者の星川淳さんも今や71歳。新装版への「あとがき」では来し方を振り返りつつ、原子力をめぐる見解の著者との決定的違いとともに、共感する一面をも明かしています。次世代から次々世代へと末長く読み継がれることを願っています。(十川治江)