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2023年12月28日号
 
 

12月の新刊

西欧デモクラシーの哲学的伝統
アリストテレスにはじまる

■山下正男
■四六判上製 214頁 定価 本体2400円+税
■2023年12月27日発売

アリストテレスの哲学は、存在論から労働論、そしてコミュニティ論へとつながる。天才の西欧哲学を通して、日本のデモクラシーを展望する。家族から村、そして国家のあるべき姿を考え、独裁に対抗する術を考える哲学エッセイ。

●●●担当編集者より●●●
山下正男先生の著作は、単行本としては 『図解き論理的哲学史逍遥』 (2020年刊行)に続いて2作目となった。先生は御年92歳になられるが、執筆に捧げるエネルギーの大きさには驚かされる。そのエネルギーが「エンテレケイア」(アリストテレス)として結実した本書でも、独特の語り口はご健在だ。装丁も前書を意識したものとなっており、2冊合わせて「哲学逍遥シリーズ」と銘打てるかもしれない。
そんな本書について先生は「奇書だと思われても仕方がない」と語る。たしかに、庶民の意識構造からアリストテレスの論理学、印欧語言語学まで、目まぐるしくテーマが変わる(まさに哲学逍遥であり、本書の魅力の一つでもある)。一方で、これらを用いて西欧哲学を批判的に検討し、健全な哲学としてのデモクラシーを志向するという確固とした論理的姿勢を、その根底に感じ取れるはずだ。
山下先生は長年、京都の地で数々の哲学者と議論を交わしてこられた。その哲学的思考の足跡をたどることは、刺激的な読書体験となるだろう。(塩澤 陸)

 
 

近刊情報

「人間」って何ですか
人間学研究会60周年記念エッセイ集

■佐竹幸一+森岡修一+里見 脩+杉山靖夫=編
■A5判 256頁 定価 本体2600円+税
■2023年1月下旬発売予定

カントの『実用的見地の人間学』に感銘を受けて設立された人間学研究会は、60年間「人間とは何か」について取り組んできた。ソ連における障害者の社会参加から「たん焼 忍」誕生秘話まで、会員13名によるエッセイ・論集。

 

お知らせ


note新連載「工作舎の隠れ推し本」スタート!プロローグを公開しました。

◆ 工作舎の編集者・デザイナー・営業・経理が、「ジャンルをまたいだテーマが面白い」「デザインの仕掛けが魅力的」など、それぞれが「人に勧めたくなった」点を伝える連載記事です。更新は隔週で、毎回プレゼントがあります。 第1回の更新は1/12(金)。

 

kousakusha TOPICS

◆『フィルカル』Vol.8 No.3にて、小特集 「『ライプニッツ著作集』編集逸話」
編集担当の十川治江(工作舎)による「普遍の夢を追い続ける: 『ライプニッツ著作集』 編集逸話」(日本出版学会での講演録)、 酒井潔先生によるエッセイ「 『ライプニッツ著作集』 :ハノーファーから思い出すままに」が収録。お二人の貴重な裏話が満載です。

◆週刊読書人2023年12月1日号にて、宮下直 『ソバとシジミチョウ』 を三中信宏氏が書評
「…“ソバとシジミチョウ”はたしかにローカルな生物相の一部だ。しかし、そこから導かれる生態学的な知見は他のもっとグローバルな場面にも敷衍できるだろう。著者はそのことを身をもって示している。一読に値する新刊である。」と評されています。

【編集後記】
●不肖ながらも、noteの新連載 「工作舎の隠れ推し本」 の担当をしています。ページの組み方、写真の撮り方、スケジュールの立て方など、どれも一人ではなかなかうまくいかず、舎の先輩方の力を頼りに頼ってリリースすることができました。始まる前よりも、できなかったことができるようになった気がします。
●メールニュースは今年最後の配信です。工作舎は12/29~1/8まで、年始年末の休業とさせていただきます。来年は辰年ということもあり、竜頭蛇尾にならないように精進します。皆様、来年もよろしくお願いいたします。(田波)