■山下正男
■四六判上製 214頁 定価 本体2400円+税
■2023年12月27日発売
アリストテレスの哲学は、存在論から労働論、そしてコミュニティ論へとつながる。天才の西欧哲学を通して、日本のデモクラシーを展望する。家族から村、そして国家のあるべき姿を考え、独裁に対抗する術を考える哲学エッセイ。
●●●担当編集者より●●●
山下正男先生の著作は、単行本としては
『図解き論理的哲学史逍遥』
(2020年刊行)に続いて2作目となった。先生は御年92歳になられるが、執筆に捧げるエネルギーの大きさには驚かされる。そのエネルギーが「エンテレケイア」(アリストテレス)として結実した本書でも、独特の語り口はご健在だ。装丁も前書を意識したものとなっており、2冊合わせて「哲学逍遥シリーズ」と銘打てるかもしれない。
そんな本書について先生は「奇書だと思われても仕方がない」と語る。たしかに、庶民の意識構造からアリストテレスの論理学、印欧語言語学まで、目まぐるしくテーマが変わる(まさに哲学逍遥であり、本書の魅力の一つでもある)。一方で、これらを用いて西欧哲学を批判的に検討し、健全な哲学としてのデモクラシーを志向するという確固とした論理的姿勢を、その根底に感じ取れるはずだ。
山下先生は長年、京都の地で数々の哲学者と議論を交わしてこられた。その哲学的思考の足跡をたどることは、刺激的な読書体験となるだろう。(塩澤 陸)