Facebook icon Twitter icon Forward icon
2024年1月26日号
 
 

1月の新刊

「人間」って何ですか
人間学研究会60周年記念エッセイ集

■佐竹幸一+森岡修一+里見 脩+杉山靖夫=編
■A5判 256頁 定価 本体2600円+税
■2024年1月23日発売

カントの『実用的見地の人間学』に感銘を受けて設立された人間学研究会は、60年間「人間とは何か」について取り組んできた。ソ連における障害者の社会参加から「たん焼 忍」誕生秘話まで、会員13名によるエッセイ・論集。

●●●担当編集者より●●●
発売日の数日前、編・著者が集合する出版記念会に同席させていただいた。
まずブックデザインが話題にあがった。カバー写真の人物は女性か男性か、職業は何か、影から察していつ頃にどこへ行こうとしているのか・・・等々、見る角度によって想像が広がるのは、いかにも本書の表紙としてふさわしいと好評をいただく。60年におよぶ人間学研究会の歩みについては本書に詳しいが、現在に至るまでの継続は、佐竹氏によるところ大きい。きっかけは「カントのようでありたい」、つまり哲学者カントの「実用的見地における人間学」に思いを寄せたことだったという。1990年代には人間学研究所と実用的人間学研究会の二つを設け、一方を研究者や学者たちが語り合う場に。一方を税理士、料理人、編集者、建築家などさまざまな(実用的)職業の人達が集う場とした。
出版記念会の最後には良い機会だからと、今後についてそれぞれの意見が交わされた。「そろそろ潮時」のような空気もあったらしいのだが、この場では全員が「せっかくですから続けましょうよ」と頷く。その様子をうかがって私は控えめに思った。ここに1冊の本が生まれ、仲間入りを果たしたからかもしれない、と。
会場から外に出ると、ひさびさの雨もすっかりあがって晴れていた。(田辺澄江)

 
 

近刊情報

中世パリの装飾写本 改訂新版
書物と読者

■前川久美子
■A5判上製 268頁 定価 本体4500円+税
■2024年3月中旬発売予定

書物の中の芸術として、文字と調和し独自性を保った豪華な装飾写本の変貌を辿る。中世写本美術の入門書であり、読書の歴史を語る書物論。最新研究成果をとりいれた全面改訂&カラー図版増補!

 

お知らせ


4月刊行開始『俯瞰する知—原島博講義録シリーズ』+2/3(土)原島塾(HC塾) 150回記念講演会

◆ このたび、工作舎から『俯瞰する知—原島博講義録シリーズ(全10巻)』を刊行します。2024年4月に第1回配本、巻1「情報の時代を見わたす」、巻2「宇宙138億年から学ぶ」を同時刊行する予定です。
原島博先生は、情報工学を専門としながら「顔学」など幅広く活躍してきました。2011年からは個人講演会である原島塾(HC塾)を開催し、恋愛論から宇宙論まで多様なテーマを取り上げています。その基礎にあるのは、細分化された専門知に対して、世界全体を見わたす「俯瞰知」。本書は、専門家ではない視点で、新たな学びのありかたを試みてきた原島塾講演150回の集大成です。記念講演会の詳細は こちら。

 

八王子夢美術館「ムットーニワールド からくりシアターV」展

◆ 2/3(土)〜 3/24(日)に自動人形師ムットーニこと武藤政彦さんの作品展が開催されます。2009年にスタートした「ムットーニワールド からくりシアター」シリーズの最新展です。作品集 『ムットーニ・カフェ』 も販売します。この機会にお手にとってご覧ください。

 

kousakusha TOPICS

◆四方田犬彦著 『サレ・エ・ペペ 塩と胡椒』 を、1/12の週刊読書人で林浩平氏に書評いただきました。「ロラン・バルトに学んだひとりとして、著者は身体性に信を置き、ドクサ(世間の通念)を解体するのである」

『ゴジラ幻論』 『地球外生物学』 『分節幻想』 『反復幻想』 の著者、倉谷滋先生が、「脊椎動物の体の形づくりと進化プロセスの研究」で、2023年度朝日賞を受賞されました! 詳細は こちら。

◆【予告】2/22〜3/18、紀伊國屋書店梅田本店で「良書発掘フェア」を開催予定。人文系出版社が集う大規模な合同フェアです。開催時期が近くなりましたら、HPやSNSでお知らせします。乞うご期待。

◆note連載を更新しました。 『わたしの仕事と工作舎の本』 第6回は、フードデザイナー平井 巧氏が 、 『廃棄の文化誌』 の論点の一つでもある「有用性の喪失」は、食品ロス問題にも重なると述べています。

◆note連載 『工作舎の隠れ推し本』更新。 第2回は、アインシュタインの最初の妻ミレヴァの生涯を綴った 『二人のアインシュタイン』 です。 第1回『白蟻の生活』 のプレゼント応募も1/26まで。ぜひ X(旧twitter) facebook #工作舎の隠れ推し本 を明記のうえ投稿するか、saturn@kousakusha.co.jpにメールをしてご参加ください。

【編集後記】
●2月の新刊はありませんが、3月には『中世パリの装飾写本 改訂新版』を刊行いたします。2種類の応募者プレゼントと、一部の書店では特典「羊皮紙の切れ端」がつきます。プレゼントの詳細と特典が入手できる書店名は3月に公開します。お楽しみに。(田波)