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2025年1月24日号
 

12月の新刊

85歳の闘い キリマンジャロの山頂へ

■笹川光平
■四六判上製 224頁 定価 本体1800円+税
■2024年12月27日発売

ハンセン病制圧の啓蒙活動のため、日本財団会長笹川陽平(85)がキリマンジャロ登頂に挑戦。ペースメーカーを装着した最重度の障害を抱えながら、山頂まで6日間、標高差4000メートルを自らの脚で踏破した。世界最高齢の登頂者となった記録。

●●●担当編集者より●●●
中学生の頃だったか、当時70歳前後だった父親に富士登山を誘われたことがある。あまり乗り気になれず逡巡していると、幸か不幸か父親が心臓を患ってとりやめになった。そんな我が身に引き比べると、笹川陽平の挑戦は暴挙としか思えない。止める人はいなかったのか、とも思う。何しろ陽平氏は85歳、心臓にはペースメーカーが入っている。もちろん周囲の協力があってのことではあるものの、あっけなく暴挙を快挙にしてしまった。キリマンジャロは写真で見るかぎり、登りやすそうな山だが、6000メートル級、富士山の倍近い。もともと陽平氏は日常的に世界中、それもアフリカやアジアや南米の「奥地」を飛び回っており、日本にいるときも、毎朝、日本財団ビル7階の執務デスクまで、エレベータなどは使わず、階段を一気に駆け上っている。それにしたって、キリマンジャロ登頂は難業には違いない。本書の著者であり、息子でもある光平氏が、生まれて初めて父の涙を見たというエピソードに、当人の感慨の深さが現れている。誰かドラマにでもしてくれないだろうか。まあ、主役を演じきれる役者はいないだろうけれど。(米澤敬)

 

1月の新刊

ホーム・スウィート・ホーム

■杉本彩子
■B5判変型 248頁 定価 本体2800円+税
■2024年12月27日発行、2025年1月20日発売

「生き方の数だけ存在する住まいのかたちを見たい」と家を訪ねる。蝋人形と住む造形作家夫妻の2LDKや、陶芸家夫妻が蘇らせた築150年の京風町家など、16の「おうち」を俯瞰図と400点以上のオールカラーイラストで、考現学の視点から巡る!

●●●担当編集者より●●●
都築響一氏はメルマガ「ROADSIDERS’ weekly」vol.629で、本書の著者、杉本彩子さんを考現学の正当な後継者と評して下さった。「考現学」とは民家や街の様子、生活の変化を採集・分析する学問のことで、創始者の今和次郎(1888-1973)は「民家を理解するためには、理屈抜きにひろい心でよくみることだ。……ほんとうに描いてみたくなるようなものをみつけて無心にスケッチする。……聞きだしたり、調べたりすることがそのまま研究、学問になる」と述べている(「民家の旅」より)。これはまさに杉本彩子さんのアプローチそのものだ。暖かみのあるタッチで緻密に描き込まれた俯瞰イラストは本書の大きな魅力のひとつだが、暮らす人々の生き方に迫る濃密なルポルタージュは、現在の「スウィート・ホーム」の多様な在り方を見事に浮き彫りにしている。おそらく本書は今和次郎のリサーチのように、100年後に改めて見直されるだろう──いやいや、もちろん今の価値も重要なので、ぜひ手に取って、オールカラー、両観音ページ入りの贅を尽くした仕様をご堪能いただきたい。(石原剛一郎)

※書店でのパネル展・メディアの紹介などは下の[お知らせ]をお読み下さい

 
 

近刊情報

俯瞰する知 原島博講義録シリーズ
巻3 哲学と宗教をいま一度

■原島 博
■A5判変型 284頁 定価 本体2800円+税
■2025年2月中旬発売予定

ソクラテスからサンデルまでの西洋哲学、老荘思想に代表される中国の諸子百家、インド哲学と仏教の無の思想、そして日本思想の系譜を訪ね歩く。情報工学を専門とする著者が、古今東西の哲学と宗教を俯瞰して、次の時代を拓くヒントを探る。鷲田清一(哲学者)推薦。

お知らせ


丸善丸の内本店3Fフェアコーナにて、『松丸本舗リターンズ』開催中!

◆松岡正剛氏の著書 『編集宣言』 『自然学曼陀羅』 が並びつつ、 『バロックの神秘』 『ガイアの時代』 などがKEYBOOKSに選ばれています。2月末までの開催になります。ぜひ足をお運びください。



杉本彩子『ホーム・スウィート・ホーム』書店・メディアで大展開

◆紀伊國屋書店新宿本店5F建築 C14新刊台・A15設計、ジュンク堂書店池袋本店7F建築 考現学のコーナーにて、 『ホーム・スウィート・ホーム』パネル展が開催中です!
◆1/26(日)まで阿佐ヶ谷のギャラリー白線にて原画展も開かれています。
◆YouTube番組「ポリタスTV」で、「どう住まい、どう暮らす?家から見つめる生き方」で著者の杉本彩子さんがゲスト出演。
◆YouTube番組「本チャンネル」の今日発売の気になる新刊でも、杉本彩子さんがご出演されました。また都築響一さん有料メールマガジン「ROADSIDERS’ weekly 」vol.629で『ホーム・スウィート・ホーム』が紹介されるなど、多方面で話題になっています。

 

kousakusha TOPICS

◆日刊ゲンダイDIGITAL「本の森」で 『奴隷たちの秘密の薬』が紹介されました。
「…(18世紀)カリブ海地域で現地の病気や薬草に精通していた奴隷たちがその知識を秘密にしていたことを主軸に、大西洋をめぐる広大な「知の循環」の構造を浮かび上がらせている…」

◆サンデー毎日1/19・26号「遠回りの読書」で 大平一枝さんが 『編集宣言』を書評くださいました。
「…名もなき若僧のたった6時間の邂逅でさえ、こんなにも影響を与えた編集者が、時代にどんな知の宝を遺したのか。本書には、もったいないほど濃厚に凝縮されている。「H(へんしゅう)芸からE(エディトリアル)闘争へ」という誇り高い宣言とともに。」

note連載『工作舎の隠れ推し本』season2 が始まりました。第1回は、「存在」と親父ギャグ 『図解き 論理的哲学史逍遙』 です。本書のプレゼント応募は1月31日(金)まで。ぜひ X(旧twitter) facebook 「#工作舎の隠れ推し本プレゼント」 を明記のうえ投稿するか、saturn@kousakusha.co.jpにメールしてご参加ください。

【編集後記】
●丸善丸の内本店で開催されている『松丸本舗リターンズ』に行ってきました。ジャンルが入り混ざり文脈がついた棚は初めてで、背を読むだけでも楽しめました。(田波)