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2026年2月4日号
 

1月の新刊

俯瞰する知 原島博講義録シリーズ
巻5 科学技術のいまを問う

■原島 博
■A5判変型 264頁 定価 本体2900円+税
■2026年1月27日発売
戦争、エネルギー問題、生命倫理…科学技術は、どこまで人の欲求に応えてよいのだろうか。長きにわたり「科学技術」分野に身を置いてきた著者が、人の知と技の営みを改めて見直す。梶田隆章(物理学者/ノーベル賞受賞)推薦。

●●●担当編集者より●●●
X(旧Twitter)を中心に、しばしば文系/理系の対立構造が話題となる。役に立つ/立たないという軸で論じられ、多くの場合は理系優位(しかも基礎研究は蔑ろに!)とみなされる。 一方、現代社会はますます多様で複雑な問題に直面している。「困り事は科学で解決」という科学中心主義的な発想は限界を迎えつつある。そのような状況においてこそ、直ちには役に立つと評価されない思考や知のあり方が重要となるだろう。実際、科学技術社会学(STS)など文理の垣根を超えて議論されている。 本書は、各科学分野の歴史をたどりながら、科学そのものを問う科学哲学や、STSで論じられる諸問題を取り上げ、科学技術と社会の関係を多角的に考えるものである。 いまや、私たちの生活は科学技術と切り離せないにもかかわらず、それについてあらためて考える機会は少ない。例えば「工学」という言葉一つとっても、私は長らく「工業生産のための学問」として捉えていたことを白状する。大学時代、工学部はすぐ隣にあったが、なんとも無関心であったなと反省している。(塩澤陸)

 

1月の新刊


黙示録と神の国
西洋文明に伏在する終末思想の系譜

■長谷川 章
■A5判上製 1050頁 定価 本体13000円+税
■2026年1月27日発売
歴史の過程で大きく変容してきた「神の国」の思想。ユダヤ=キリスト教で「終末」はどのように語り継がれてきたのか。「ヨハネの黙示録」に着目し、西洋近代における哲学、思想、芸術の新たな解釈を試みた意欲作。

●●●担当編集者より●●●
西洋文明については、明治以来欧風化の道を驀進し、戦後はアメリカ文化に憧れて(洗脳されて?)きた日本人にとっては、特段、違和感を覚える対象ではありませんでした。ユダヤ=キリスト教が、科学にも文学にも、そしてもちろん哲学にも、深く根を下ろしていることをあまり意識することもありません。昨今のアメリカでトランプ大統領のやっている、少々不可解で乱暴に見える政策も、ユダヤ=キリスト教の文脈、とりわけ黙示思想との関連でとらえてみると、ほんのわずかではあるものの、理解できるような気がしてきます。本書は旧約聖書の世界から説き起こし、宗教改革、新大陸での都市建設の意味を問い直し、そしてマルクスやトーマス・マンやアドルノにまで至る近現代の西洋思想の奥の院に光を当てる試みでもあります。本書読了後、あらためて、ガザやウクライナの「今」に向き合ってみると、ちょっと背筋が寒くなるかもしれません。(米澤敬)

 

近刊情報

日本財団は、いったい何をしているのか 第十巻 教育大刷新

■鳥海美朗
■四六判上製 304頁 定価 本体2000円+税
■2026年2月12日発売予定
「ZEN大学プロジェクト」で旧来の日本の教育システムの根本的な改革に挑戦した日本財団。大学進学格差や受験制度を歪めた偏差値教育などの解決を見据え、次世代日本のための事業がスタートした。

お知らせ


紀伊國屋書店梅田本店にて、「9社合同良書発掘フェア」開催!

◆みすず書房、平凡社、白水社、青土社、水声社、作品社、晶文社、国書刊行会、工作舎の9つの人文系出版社によるフェアです。会期は2026/2/3(火)〜3/2(月)。
工作舎からは318点。そのうちの13点はサイン本を揃えました!ぜひお立ち寄りください。


長野県にて、宮下直氏の講演会・シンポジウム開催

『ソバとシジミチョウ』の宮下直氏の講演会・シンポジウムが長野県で相次いで行われます。2/1(日)は松本生物多様性連絡協議会が発足し、13時半より宮下直氏による記念講演「生物多様性から持続可能な社会を考える」が行われました。場所は松本市あがたの森文化会館、参加無料。会場では宮下氏の著書『ソバとシジミチョウ』販売予定。
◆2/7(土)には長野県飯島町の生物多様性シンポジウムが、飯島町文化館大ホールで開催され、宮下氏も登壇されます。こちらも参加無料。詳細は こちら。

 

kousakusha TOPICS

◆『ダ・ヴィンチ』2026年2月号「4人のブックウォッチャー 絶対読んで得する8冊」で、渡辺祐真さんが平井敏晴『中華と綺想』をご紹介下さいました。「熊と中華、いま日本はこの二つの脅威に晒されている。本書を読むと、この二つにはマニエリスムという共通項が見出される……」。中国・韓国に行きたくなる度が★★★★★!

◆岩手県立美術館にて企画展「レオ・レオーニと仲間たち」開催中。「スイミー」などの絵本はもちろん、平行植物の立体作品などレオーニの活動の全貌を検証する展覧会。ミュージアムショップでは書籍『平行植物』も販売。3/22(日)まで。

◆『わたしの上海游記』(2005 紀伊國屋書店)の著者・夏申氏が、『scripta』(紀伊國屋書店出版部発行)2025年夏号で、ggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)での呂敬人さんの展覧会を紹介しながら、『多主語的なアジア』の杉浦康平さんの言葉を紹介。「彼とはしょっちゅう議論をして、中国のことをいろいろ教えてもらい、私の考えも十分に伝えることができた。私のデザイン論をいちばん深く理解して、ダイナミックに実地に応用しています」

◆杉浦康平『本が湧きだす』が、浦安市立図書館 12月の特集「痺れるブックデザインの世界」の「ブックデザイナーの仕事」に紹介されました。「…宇宙を感じさせる彼のデザインアイデアが、どこから湧き出してくるのかが語られます」

◆ロンダ・シービンガー『奴隷たちの秘密の薬』の書評が日本科学史学会『科学史研究』2026年1月号に掲載されました。書評者は工学院大学の林真理先生。人体実験、医師の自己実験、人種差研究など、18世紀カリブ海植民地の医療実践の分析が「現代の医療倫理の議論では忘れられがちな、より深いレベルでの考察を提供してくれる」と評されています。

◆1990年代に邦訳したロバート・コールズ『子どもの神秘生活』。長田弘氏との共著『子どもの本の森へ』(岩波書店)の中で、心理学者の河合隼雄氏の言葉。「精神分析医が実に長い年月をかけて子どもたちに接し、その内面にある宇宙的な世界について聞き出している本です。…しっかりと悩みつづけることにこそ人生の意味があると知るのです。 」

◆米谷新『マハラジャ白内障キャンプから覗いたインド万華鏡』がMIJIA2026 1月号で紹介されました。
「インドにおいて、失明原因の多くを占める白内障は、単なる病気ではなく「労働能力の喪失=家族の貧困」に直結する死活問題です。 米谷先生は、マハラジャ(旧藩王)が主催する大規模な無料キャンプの運営メカニズムや、そこに集まる人々の背景を冷静かつ温かな眼差しで分析しています。」

【編集後記】
●あまりの寒さに風邪を引いたので葛根湯を飲みましたが、1週間ほど頭痛と喉の痛み、黄色の鼻水の最悪の三点セットを引きずっています。(田波)